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いらっしゃいませ。 こえめWorld へようこそ
今回も引き続き、彩葉さんにお話をうかがいましょう。
では彩葉さん、お願いします。
―11―彩葉
山本君が学校に出てきて、とりあえずホッとしました。
彼が休んでいたのは別に、わたしのせいじゃないですけど。
でも彼、明らかに様子が変なんです。
いつもだったら、絶対に、
わたしに足を蹴られて怪我をした、って、
言いふらすような奴なんですよ。
当事の山本は成績の事で、わたしに対して一方的に
敵対意識を持っていて、それで何かと突っかかってきていました。
それが、急におとなしくなっちゃったんですから、
わたしじゃなくても変だって気づきますよ。
それで、思ったんです。
あの実験の後、真矛と山本の間で、
何かあったに違いない、って。
真矛に聞いても良かったんですけど、
ほら、実験の次の日、真矛に、まるでわたしが魔法を使って
色を変えたみたいに言われた事もあって、
それ以来なんとなくね……。
だから直接、山本に聞こうって思ったんです。
それから数日たって、
山本が日直で帰りが遅い日でした。
放課後みんなはいつものように体育館の裏で、
魔法ごっこをやっていましたが、
わたしはおなかの具合が悪いとか何とか、適当な事を言って、
先に帰りました。
校門で校舎を振り返ると、
山本が窓から身を乗り出して
黒板消しをはたいているのが見えました。
わたしは少しさきの田んぼのあぜ道で四つ葉探しをしながら、
山本が通りかかるのを待っていました。
宿題の笛を吹きながら山本が角を曲がってきたとき、
わたしに気づいてビクッとしたように見えました。
笛を吹くのをやめ、わたしを無視して通り過ぎようとしたので、
ちょっとムッとしながら話しかけました。
「ねぇ、山本君。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
そしたら山本のやつ、急に走り出したので、
わたしも追いかけました。
彼は野球もサッカーも全くへたくそだったけど、
走るのだけは早かったんです。
それでもその時は、なんとか追いつけそうでした。
その先の曲がりくねった住宅街の道を
わたし達は、わき目も振らず走りました。
今思い出しても、危ない事したなと思います。
近くには、当事新しく出きたばかりの大型スーパーがあって、
そこが抜け道になっていたんです。
その時間帯はいつも、自転車や歩行者が、
引っ切りなしに通るんです。
いつ何にぶつかっても、おかしくない状況でした。
でも、そんな事は起きなかった……。
誰もまわりにいなかったんです。
とにかくわたしは、早くこんな馬鹿げた追いかけっこやめようと、
目の前にせまった山本のランドセルを
思いっきり引っ張りました。
その勢いで彼の横を通り過ぎるとき、
バランスを崩したのが見えました。
「ごめん! 大丈夫?」
立ち止まって振り返ると、
彼はしりもちを付いたまま腕組みして座り込んで
怪我でもしたように顔が歪んで、とても苦しそうでした。
理科室で蹴飛ばしたときとは違う、
なんだか後ろめたい、いやな気持ちになりました。
またいつもの癇癪が始まるぞと覚悟していたら、
「お、お前……魔女なんだろ?」
小さいけれど、はっきり聞こえました。
なに? 何言ってるの? それを言うなら真矛でしょ?
でも、言葉が出ませんでした。
その時の山本の声が、怯えていたんです。
「オレ、し、知ってるんだからなッ」
山本は普段、大人の前では《ぼく》って言ってるくせに
そうじゃない時には急に威張って《オレ》になるんです。
「あの後オレ、真矛から聞いたんだからなッ」
真矛! 真矛がそう言ったの?! そんな……。
わたしは、彼がわたしを怖がっていることと、
さらに信じていた友達から裏切られたショックで、
立っているのが精一杯でした。
山本がランドセルを抱えて走り去るときも、
言いたいこと何一つ、声を出していえませんでした。
このままでは何だか大変な事になるぞ、と思いながら
とぼとぼ歩きはじめると、
さっきまでしんとしていた通りが何時の間にか
日常の賑わいを取り戻していました。
(つづく) ( 次のお話 )
楽天ブログって、携帯で投票が出来なかったんですね。
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