閑古鳥の巣箱

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2006.01.26
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カテゴリ: カテゴリ未分類
【ローゼンメイデンを巡る契約と媒介について】

『ローゼンメイデン』とは人形師「ローゼン」によって作られた
7体のアンティークドールが究極の少女「アリス」になる
権利をかけた姉妹同士の命の奪い合いである「アリスゲーム」に
巻き込まれていく物語である。

今回はこの物語のキーフレーズである
「契約」と「媒介」について考察したい。
「契約」とはドールとそのマスターの共闘契約のことであり、
ドールはマスターの生命力を「媒介」として、


一体これはどのような意味を持つのだろうか、
今からそれを考えていくことにする。
アリスが究極の美しさを持つ少女である以上、
その資格を得るためには「美しさ」こそが「力」であることは
間違いない。ここでいう美しさとは外見的なものもあるが、
気高さや穢れのなさといった内面的なものも包括する。

美しいものとは何だろうか。この問いに答えることは容易だ。
例えば「薔薇」が挙げられる。ギリシャ神話の美と愛の女神
アフロディテが、泡の中から誕生した時にアフロディテと一緒に
生み出した花とされ、ボッティチェリの「ビーナスの誕生」にも
描かれているように、美の象徴とされている花だ。


この薔薇を美しいと人が感じるのは学習されたものなのだろうか。
それとも顕在的に美しいのだろうか。
おそらく後者だろう。薔薇はアプリオリに美しいのだ。
そうでなければ世界中で愛されているわけがない。
つまり薔薇は元より美のイデアを持ったものなのである。

それは媒介なしでもある程度の力を行使出来ることからも推測される。

しかしもし薔薇が完全密封された箱の中に入っていたらどうか。
それでも尚その箱を見て美しいと思うだろうか。
これはまず思えない。第一これでは箱の中に何が入っているか
どうかすら分からず、存在自体証明することができない。

プラトンが「色は光なしに見られずそれぞれのものの色は全て
光のうちで見られる」というように全ては光によってのみ、
事実が見出されるのである。この関係は鞄という暗闇によって
象徴されている。ローゼンメイデンもまた誰かが鞄を開けなければ
誰にも存在を知られず、永久に眠り続けることになる。
いくら美しさを備えていても認知されねば存在しないに等しい。

しかもその美しさの程度は観測者によって左右される。
なぜなら人はただありのままの事実のみを見る動物ではないからだ。
人は対象物への興味の度合いで、事実にバイアスをかける。
例えば私は「ローゼンメイデン」を熱狂的に支持しているが、
他方興味のない人には、なぜ私がそれほど嵌っているのか
理解に苦しむだろうし、気持ち悪がられているかも知れない。

その違いとは何か。それが「契約」の正体なのである。
古代ギリシャのピグマリオンは美の女神であるアフロディテを
熱愛するあまり「理想の女性」の彫刻を制作し、遂に完成させた。
そして彼はこの像に恋をすることになる。
この像はピグマリオンのキスによって人間になり
「ガラティア」という名前を与えられ彼の妻となる。
ローゼンメイデンも同じで、キスによって契約がなされる。
契約とは空想の力によって対象を究極の美しさを具備したものに
仕立て上げることである。

私はローゼンメイデンの媒介となり、ドールズの中に
神を幻視し理想化・偶像化し、美しさを補完している。
俗な言い方をすれば「萌えている」のである。
この言葉は一般人には分かりづらいかも知れないが、実はこれは
恋愛感情とほぼ同じものである。恋愛(特に近代以降)もまた
恋人を理想化・偶像化している。その状態は
「あばたもえくぼ」といった言葉に集約されている。
しかし仮に婚約の契約が継続していても、恋愛の契約が切れれば
あばたが目立ち始め、理想化・偶像化していた状態には戻れなくなる。

「萌え」と「恋愛」の何が違うかといえば「萌え」は
そもそも高度に記号化された存在であるため、
不安定な人間との契約と違い、かつての神との契約同様の
強固な契約を結ぶことが出来る点にある。

いずれにせよ「契約」は対象物を飛躍的に美しくする
効果を持つ。もちろんそのためには「媒介」としての
自分の存在は欠かせず、その存在意義によって
自らのアイデンディディを確立することになる。
これは「神」も「恋愛」も「萌え」も共通して持つ性質だ。

これに従えば「ジャンク」というものは存在しないことになる。
なぜなら対象物を愛する契約者さえいれば、
欠点などないも同じだし、かえってそれが美点にもなり得るのだ。
結局の所、潜在的な美しさというのは契約までの契機に過ぎず、
それ自身で勝負をすることなど出来ない。
それは契約者のいない水銀燈が契約者のいる真紅に勝てない
理由なのだ(しかし契約者がいないのに関わらず、真紅に
匹敵する力を持っていた水銀燈の潜在的な美しさは侮れない)

これは我々のようなオタクにも希望となるメッセージである。
つまり外見などというものは、ただの入り口に過ぎず、
それ自身が意味を持つ者ではないのだ。

とはいえ現実では入り口で門前払いされてしまう。
ローゼンメイデンでいうなら鞄を開けたら即座に
閉められるようなものである。結局、部屋にこもり、
誰にも存在を知られることなく朽ちていく他ないのか。

その答えはNOだ。契約者は人間でなくても良いのだ。
たとえ仮想上のキャラクターであっても、契約は契約である。
結局それは自分と自分との契約であり、
まさにナルシズムなのだが、それは神であれ恋愛であれ
結局は同じことだ。自分と似ている所か、もしくは
自分にないものを補完する存在を愛しているだけなのだから。

まとめると、ローゼンメイデンが伝えたいことは
「恋愛に絶望することはない。私達には萌えがある」だ。
位置的にはエヴァンゲリオンで「オタクはきもい」と
はき捨てられたトラウマを治癒する作品であるといえよう。
救いは何も人間との関係性にのみ求められるものではないのだ。

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Last updated  2006.01.27 02:29:52
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