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「誰も知らない」 2004年 日本映画
監督 是枝裕和
出演 柳楽優弥 YOU
カンヌ映画祭で、主演の柳楽優弥が最年少で主演男優賞を受賞し、当時非常に話題になった是枝監督の出世作です。 GYAO の無料動画で観賞しました。
2DK のアパートに、スーツケースを抱えた母親のけい子 (YOU) と息子の明 ( 柳楽優弥 ) が引越してきました。大家には「主人が海外出張中の母子2人です。」と挨拶しますが、実は、スーツケースの中には次男の茂、次女のゆきが入っており、長女の京子も人目をはばかり、こっそり家にやってきます。
子ども4人の母子家庭だと家を追い出されかねないと、その事実を隠したいけい子は、大家や周辺住民に見つからないように、明以外の外出禁止など、子どもたちに厳しく注意しています。子どもたちは出生届未提出らしく、 12 歳の明も含め、学校に通ったことさえありませんでした。
当初は、けい子が百貨店で働き、明が弟妹の世話をする日々が続きますが、新たに恋人ができたけい子は家に不在がちになり、やがて恋人と同棲を始め、子供達の生活費は現金書留で送り帰宅しなくなってしまいます。そこから兄弟だけの、誰も知らない生活が始まるのでした。
男女で
気持ちいいことをして、その行為が子どもを作るための行為だということを忘れている人がいます。そして、子どもを持つ覚悟がないまま子どもを作ってしまう人がたくさんいます。そして、時として、この映画のような悲劇が生まれてくるのです。
人類はその進化の過程の中で、子孫繁栄のため、非常な快楽を伴う交尾を獲得し、月に1回受精できる能力 ( ほかの哺乳類と比較して、非常に多いですよね。犬なんて年に2回だし。 ) を獲得し、生まれた子どもを保護し育てる能力を獲得しました。その結果、今地球上に人類はあふれかえっています。
見境なく している人や、激しく している人に対し、“動物的”とか、“野性的”と言う形容詞をつける人がいますが、確かに特定の相手とだけというわけではないという点では“動物的”かもしれませんが、快楽のためだけに するのは人間だけで、野生の世界では交尾の目的は子孫を残すことだけです。非常に激しかったり、普通じゃなかったり、時間や回数が多かったりして、より快楽を得ることを求めているのは人類だけであり、その結果として、女性のおなかの中に新しい生命が宿ることになるという可能性を忘れているのは、人類だけです。そして、自ら進んで新しい生命を宿すかもしれない行為を行いながら、その新しい生命を守っていく覚悟がない者が少なからずいるのも事実です。
人類は、お金というものがないと生きていくことが困難な複雑な社会を作り上げ、大人の保護がない子どもが生きていくことが不可能な世界を作り上げてしまいました。しかし、一方では、自らの子どもを守っていく覚悟のないまま子どもを作ってしまう快楽主義者が少なからずいる事実があるのです。
この映画は実話をもとにしているそうです。今もこのような子どもが世界のどこかで泣いているのかと思うと、心が痛んできます。そんなことを思ってしまう、衝撃的な映画です。子役にありがちなオーバーすぎる演技のまったくない、ほぼ無表情なリアルな演技の柳楽君がとにかくすごいです。
「八日目の蝉」の時も思いましたが、
子どもができるかどうかは、男性にゆだねられています。結果的にどこに出すかどうかという問題です。一時の快楽を得たいと思うのは、悲しいかな、あることだと思います。しかし、その行為が子どもを作る行為だということを、世の男性諸君はしっかりと自覚しておいてほしいものです。予期せぬ子どもを宿して苦労するのは大体女性の方です。その女性を大切に思うのなら、男性がしっかりすべきです。
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