「読書のすすめ」の清水店長が推薦された本を読んでいます。
(詳細は 清水克衛『「ブッダを読む人」は、なぜ繁盛してしまうのか。』1
)
その中に、「 戦争
」を扱った本があります。
「 特攻隊員の母
」として知られた実在の人物
「 鳥浜トメ
」を中心としたノンフィクションです。
ちょうど研究授業で「 一つの花
」という戦争教材を授業していた時期でした。
当時の人たちの「人間らしさ」が、
本当に何気ない日常の描写から感じられ、
本から目を離すことができませんでした。
「戦争」の事実は、忘れてはならないな、と思いました。
多くの人に読んでほしい本です。映画化もされています。
『
ホタル帰る
特攻隊員と母トメと娘礼子』
(赤羽礼子/石井宏、著草思社文庫、600円)
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『 ホタル帰る
特攻隊員と母トメと娘礼子』![]()
(・印は本内の記述の引用、 #以下の緑文字
は僕のコメントです。)
・国のために尽くす義務は 「山岳よりも重く」肩にのしかかり、
動かしがたいものであるのに対して、
将兵一人の死などは
「鳥の羽よりも軽い」ものだという死生観
・自分の死を国に捧げよという教えは、
(少年飛行兵の学校) 入校の翌日から徹底して行われる
#今では考えられない当時の軍国主義の末端が
よく見える記述です。
自分の命を大切にできる今の世の中がどれほど大切なのかを
思います。
・「小母ちゃん、元気で長生きしてくれよ。
人生50年て言うけれど、おれなんかその半分にもならない
20年であの世に行っちゃうんだからな、
あとの30年は使ってないわけだ。
だからおれの余した30年分の寿命は小母ちゃんにあげるから、
小母ちゃんは人より30年よけいに生きてくれよ。
きっとだよ」
#この本は、当時の人の生の言葉をできるだけそのまま
収録しようとしています。
死に直面して発する人の言葉、そこから感じられる優しさは
本当に人の心を打ちます。
人として、意気に感じずにはおられない、
重みのある言葉です。
自分に投げかけられたと思って聞いてみたとき、
どう感じられるでしょうか。
・
(めいめいに親や友人たちに遺書や別れの手紙を) 書いていた少年たち、
2階の窓に坐ってハーモニカや尺八を吹いていた少年たち、
離れでごろんと寝ころがって外ばかり見ていた坊や、
おはぎが好きで食事のあとでもパクパクといくつでも食べる伍長、
ネコを怖がる子もいたっけ、
かと思うと近所の犬の仔といつまでも遊んでいる軍曹もいた。
話が上手で礼子たちに話をして聞かせるインテリ青年もいたかと思えば、
まるで童顔の無邪気な少年もいた。
#この本を読むまでは「特攻兵」とか「伍長」「軍曹」といった言葉に対し、
非常に固定されたイメージを持っていました。
しかし、一人一人の、どういった人となりだったかという詳しい描写を見るにつけ、
そのイメージがいかに真実から離れた、うわべだけの凝り固まったイメージかが
分かりました。
本当は一人一人違った性格や性癖の持ち主であり、
おそらくそれは現代の青年たちと少しも変わることのなかった
「少年飛行兵」たち。
それが「特攻兵」であり、「伍長」であり、「軍曹」でした。
今までの「戦争」に対するイメージがいかに通り一遍の
うわべだけのものだったか。
当時に思いをはせて、申し訳ない気持ちでいます。
こういったことを「知る」ということが、
本当に「歴史に学ぶ」ということであり、
「歴史の教訓を知る」ということなのではないでしょうか。
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