ガンが以前通っていた空手の道場が、今年で設立10周年だそうです。
今日はそのお祝いの会。
稽古に通わなくなってしばらく経つのですが、お誘いいただきまして、ガンと一緒に行ってきました。
ガンは、先生にも仲間たちにも久しぶりなものだから、敷居が高くてたまらなかったようで、気が重いことの足が重いことのとうるさい。
皆親しくし合っていて俺だけ浮くんじゃないかとか、
ほかの中高生は制服着てて俺だけ浮くんじゃないだろうかとか、
髪染めてるのは俺だけで浮いた上に先生に叱られる(師範は男の茶髪がオ嫌イ)とか…
めんどくさい。
「めんどくさいのは俺の方だし。何で行くんだよぉ」
こういう義理は、大事にしておくものだからです!
子どもから大人まで、いまや百数十人の会員がいるそうです。
お昼の数時間、貸し切りにされたファミリー向けのレストランは大にぎわい。
入ってすぐ、師範に
「ガン、よく来てくれたなぁ!でかくなったなぁ!元気そうだな!学校、楽しいか!そうか、よかったな!」
と笑顔で迎えられ… 「髪、赤いけどな(笑)」
とも言われましたが…、
そして友達にも
「おお!ガン!ひさしぶり!やべえくらい久しぶりぃ!」
と迎えてもらい、ほっとひといき…したかな?
勉強を理由に通えなくなって、空手を
「捨ててそちらを選んだ」
と見限られても仕方ないのに、
「なんだ、来たのか」とは誰も言わず、
「よく来たね、またおいでよ」
と声をかけてもらえる場所があるのは、本当に幸せなこと。
通っていた当時のことを考えるたび、思い出すことがあります。
ある夏、隣市の道場から、合同練習のお招きを受けました。
通っていた支部からも数名の仲間とともに、ガンも参加させていただきました。
お訪ねした体育館では、先方の選手たちが、実にきびきびと練習をしていました。
ガンよりも年下の、小さな子どもたちまで、親の付き添いなくとも、整然と指示に従う。
休憩時には静かに体を休め、水分や栄養を補給する。
練習が再開されるとたちまち集中し、演武する形が見事なばかりか声援にも乱れがありません。
「精鋭」という言葉そのもののような道場でした。
一方、気押される付き添いの私たちとは裏腹に、いつもと違う体育館と、久しぶりに会う他支部の仲間に心浮き立たせ、興奮顔の我が道場の子どもたち。
休み時間には歓声をあげながら走り回り、先方の選手たちの度肝を抜く。
恥ずかしい!
こりゃ場違いであった!
先生に恥をかかせてしまった!
しかし、うちの支部も空手の道場。強くなるために、あのような雰囲気が必要かも…
でもその翌日、先生は、私にこう言われました。
「昨日は驚いたでしょう? うちと、全然違いますもんね。
立派な道場ですよね。実に、素晴らしいと思います。
でもね、あの先生は、踏み絵をさせるんですよ。空手以外、かけもちのことはだめなんですよ。
僕はね、うちの、今の空気が、大好きなんです。
空手が好きで、一生懸命励むのもいい。空手一つを選ぶのではなくて、野球やサッカーや、勉強をしながら、時間をやりくりして空手に来てくれる、それもものすごく嬉しい。
うちの子どもたち皆、楽しそうだったでしょう。
僕はあれがね、いいと思ってるんです。
親御さんにも、子どものそばで、嬉しいのも悔しいのも一緒に感じていただいてね。
ずっと後になってから、あのころは楽しかったねぇと、親子で空手を振り返ってほしいんです。
そういう空手をしてほしいと、思っているんですよ」
子どものころの短い間だったけど、泣いたり怒ったり、いろんな場面が凝縮されています。
将来、振り返ったらきっと、楽しかったと思えます。確信があるね、私。
そんな先生、ご自分も選手をつづけながら、審判員の資格もたくさん取られて、海外にいらっしゃることも多くなってきたそうです。
ガンがまた、
すぐにとは言わん、大人になってからでもいつでも、
またあの先生のもとで、稽古をする日がくるといいな、などと思いました。
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