アメリカは非常に多様性を重んじる国だと思う。宗教、人種、言語が異なる人々が世界中から集まるからであろうか。この他者を認めようとする姿勢は性的マイノリティに対しても一緒だ。以前オリエンテーションの記事でgender pronoun(s)を自己紹介の時に述べることがマナーになりつつあると書いた。違ったpronounを使いことで意図せず相手を傷つけてしまうことを防ぐための措置である。自己紹介で聞きそびれてしまった場合は面倒くさがらずに"Could I ask your pronouns?"と相手に聞いてほしい。友人に「初対面の相手にpronounを質問するのは失礼か?」と聞いてみたところ、「むしろ聞かないことが失礼だ」と答えてくれた。日本ではgender pronoun(性別を指す代名詞)を訊く文化が存在しないため驚かれるかもしれないが、pronounを聞くことはアメリカではごく自然なことらしい。見た目だけで勝手に判断するのが一番リスクがあり大惨事に繋がりかねないので避けた方がいいだろう。
日本の大学はどうだろうか。10年前に私が通っていた日本の大学には授乳室やオムツを換えるスペースはなかったような気がする。そもそも家庭を持っている学生が大学に通うことを大学はあまり想定していないような気もする。日本でも性的マイノリティに配慮した動きが見られ始めているが、ハード面はまだまだ進んでいないような気がする。アンケートに答える際、大体性別欄は「男性」もしくは「女性」の2択であることがほとんどである。アメリカの場合は必ずといっていいほどprefer not to declare(申告することを望まない)といった第三の選択肢が用意されている。二者択一を迫ることで苦しむ人がいるをアメリカは知っているのだ。