お墓掃除とお墓参りに出かけた。私の実家は肱川に沿った山間部に位置し、狭い農地を最大限活用するためだろう、この村のお墓はほとんど山の上にある。そのお墓まで登っていくのが辛い高齢者だけが村に残っている。我が家でも妹が登れないので私一人でお墓まで登った。
帽子をかぶり首にタオルを巻き、腰には蚊取り線香をぶら下げ、マムシ対策に長靴を履き、手には軍手と格好など気にしてられない完全武装で、部落を俯瞰しながらゆっくりお墓を目指す。
近隣の人に依頼してお彼岸など節目節目に掃除をしてもらっているので、滅茶苦茶汚く荒れ果てているという感じはない。落ち葉を掃き、シキミを整理し、墓石に水をかけて磨いた。線香を立てて、お水をあげ、父・母・弟に元気でいることを報告していたら、苦楽を共にして暮らした日日が想い出され、涙がにじんだ。この3人が私を育て慈しみ大切にしてくれたのだ。この3人のおかげで今の私はあるのだ。父母は仕方ないとしても、なぜ弟は42歳の若さで先に逝かなければならなかったのか。何十年経ってもそれだけは辛すぎる。長男で跡取りの弟の死・それで我が家のすべてが狂ってしまったのだ。


ゆっくり霊を慰め、墓から下った。日当たりのよい道を蛇が1匹横切っていた。青大将だ。蛇は苦手で町にいたら「ぎゃあ」と叫ぶが、故郷で出会う蛇は自然と一体化しておっとりしており怖さを感じなかった。
お墓参りが無事できて3年間の責務を果たした気がした。
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