山への情熱 音楽への愛

山への情熱 音楽への愛

2012年10月25日
XML
カテゴリ:

1階に6畳の和室がある。ずっと夫が自分の部屋として使ってきている。最初の15年間位は煙草を吸っていたため、壁やふすま・障子は茶色に変色してしまっている。その内に病気になって寝たり起きたりごろごろしたりの生活になり、遂にお漏らしをするようになって畳の上は夫のおしっこで濡れたり湿ったり異臭がしたりでひどい有様になっていた。

このような状況の中、平成元年にこの家を買って以来、畳の手入れを全くしていないのでこの辺で何か修理をしなくてはと思うようになったが、具体的にどうしてよいかわからないまま数年が経過した。だが、思いがけない所に縁があった。毎朝ウォーキングで歩くルートに畳屋さんがある。顔を合わせればいつも挨拶するし、作業場の様子やお人柄もだいたいわかっている。思いきって電話してみると、案外と手頃な価格で表替えができ、作業に必要な日数はわずか1日!。要するに朝搬出して日中作業し、夕方には搬入するということだ。

一度家に下見にきてもらった。そこで貼り替える畳表の価格を決め、実行することを決断した。しかし、問題は別の所にあった。畳を搬出するということは畳の上にあるもの全てをどかすということになる。衣装ケース、ベッドなどはどうにかなるとして、最重量級の本棚がある。これも購入後24年間この部屋に腰を据えている。わざわざ組み立てたものでこれをどうにかしないと畳は動かせない!!

意を決して夫に通告した。「この本棚でどうしても残しておきたい本があったら言いなさい」解答は「平凡社の百科事典を残しておけ」だった。

重労働を覚悟して本の整理と処分に取りかかった。夫の本、子どもたちの愛読した本、さらには自分の涙と汗が染みこんでいる楽譜集を処分することにとても気が咎めた。音楽事典、名曲解説辞典、世界文学全集、世界の名著、フロイト全集、日本の名著、LPのレコード、映画カタログ、能楽解説書、箏曲楽譜、ピアノの楽譜、ホルプの児童書、何もかも名残惜しかったがここ十数年開いたことのない本類だった。ええい!過去の自分とはおさらばだ!過去の栄光より未来の幸福だとばかり束ねていった。廃品回収の山ができた。

開くことはなかったけど捨てきれなかったのは山岳辞典や植物辞典など登山関係のものと夫のリクエスト・平凡社の百科事典、入江泰吉の古都写真全集、土門 拳の写真集、能楽写真集、LPだがバッハレコード大全集だった。高価な物だけが残った。つまり私はお金に支配されているということになる。再び押し入れの中に仕舞い込んだ。

息子の協力を得て本棚を分解した。すっきりした和室にお日様が差し込むようになった。本棚が日光を遮っていたのだった。やっと第一段階が終わった。 






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2012年10月26日 12時35分36秒
コメント(1) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: