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2014.11.05
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手の届く距離 3cm-1

「ヴォレンティエリ!」

イタリア語で、「喜んで!」という意味。週4でバイトに入り、3週間もすれば、なぞの呪文に聞こえていた言葉が、イタリア語で交わされる注文で、脳内変換に時間がかからず何をすればいいかわかるようになった。そして、注文が入ればまず、何をおいてもこの合言葉これを言う。残念ながらイタリア語をマスターするにはかなり道が遠いが、意味不明のカタカナを口にしていた初日とは、大分変わった。

「返事は板についてきたね、川原。北村、休憩入りまーす」

忙しさのピークが過ぎたところで、キッチンもホールスタッフも一人ずつ順番に休憩に入るようにしている。遅い晩御飯を摂ったり、タバコを吸いに行く人もいる。そのタイミングなのだろう。部活でもそうだったが、相変わらずフットワークの軽い祥子先輩がキッチンに入ってくる。ホールではくるくるとよく動き、よく笑い、楽しそうに仕事をしている。

「川原君、採点してあげるから、ペンネアラビアータ、ペルファボーレ」
「ヴォレンティエリ」
「心がこもってない」

どう転んでも本当に先輩だが、やたら偉そうに先輩風を吹かせて注文をしてくる。頭一つ以上小さい先輩の仁王立ちではたいした迫力でもないが。


「遊んでないで、キッチンも休憩回すぞ。川原、祥子ちゃんの注文作って休憩入ってくれ」
「わっかりましたー」

素直に、皿洗いで冷たくなった手で水を止めて、個人的なオーダーに取り掛かる。
自分の分もアラビアータを作るべく、覚えた料理の二人分量を手早く作る。賄いは基本、セルフサービスだ。自分の分は大盛り、プラス目玉焼きを乗っけるアレンジ。以前、勝手にオリジナルパフェを作って食べていた先輩スタッフには驚いたが、基本、何でもありのようだ。
残るキッチンの二人に声を掛けてから二人分のアラビアータを持って、スタッフルームに向かう。



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最終更新日  2014.11.13 18:19:38
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