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では続きを。
伊勢谷友介の初監督作品で、監督目線で役者加瀬亮を
語っていたインタビューを読んだことがあるので
それもあって非常に興味ある作品でしたね。
カクト
(2003日本)
オープニングからの数分は音声とデジタル映像みたいな感じで
ちょっとこれはどういう映画だ??
なんて思っちゃうんだけど、、、
リョウ( 伊勢谷友介
)と先輩の電話での会話とかが断片的にあり、
部屋を出たリョウに声をかける熱帯魚屋の女性( 桃生亜希子
)を無視。
うだうだと大声で学生たちがしゃべっている喫茶店。
そこに居合わせた真治( 加瀬亮
)は、そんな煩さにイラつくのか
貧乏ゆすりしながら Newton
読んでるのね。
今、地球に何がおこっているか?
みたいな特集の・・・・
タイミング見て立ち上がり
ぶつかったウェイトレスが学生にコーヒーこぼして
バタバタしている混乱を見計らって無銭飲食・・・・・オイ
そのことを、友達か彼女かだれかに電話で言うんだ、
またやっちゃった、って。泣きそうな声で。
このままみんな自分勝手で生きてったら、人類が滅亡する、
そしたら火星に住むことになる、
って、電話の相手に必死に訴えかける。
相手に「どーせお前とは他人だから」、とか言われたようで、
その些細な相手の言葉にいきなりブチ切れて一人で大暴れし、
ケータイぶん投げて壊しちゃうし。
雑誌で伊勢谷友介が言っていたけど、このシーン、
カメラ固定でそのフレームから真治の暴れっぷりは外れ、
外れたところで(ケータイが)壊れてるしよっ!とまた切れる。
その様子が、計算されているのか、天才的にすごい。
ビルの屋上で
夕日を見つめる真治。
きっと後になってわかるんだろうな・・・
もっと世界がシンプルだったらいいのに・・・
友達、家族、それから・・・自然と文化、神、矛盾、自分でしょ・・・
愛、平和、え~・・・・戦争、真実、正義と悪と、罪と罰・・・・
(ため息)・・・・次は、火星だな・・・
結構好きなシーン。
当初、この役は天使という役だったそうだけれど、
真治という形をとっていても、とても天使に近い感覚がある。
それに、伊勢谷友介が主役にはなったけど、当初は
主演が加瀬亮だったとか。作品を見たあとは、
そうじゃなくてこの役柄の、この位置が一番加瀬亮には合っている、
なんて勝手に解釈してます。
中心人物とは直接からまないんだけど、
彼らの行くところにいたりして
確かにちょっと天使っぽいかも・・・存在が。
ただ、真治は天使ではなく、弱いもろさみたいな部分を持つ青年で
今度は自動車泥棒・・・・
エンジンかけっぱなしの車を、即盗んで逃走っ
どうすんだよっ、なんて盗んでおいて運転しながら泣いてるし・・・
リョウは、渡されたマリファナをなくし、大パニック。
一生懸命フォローしようとするマコト( 高野八誠
)や
ナオシ( 伊藤淳史
)がそんなリョウを見捨てず
最後まで寄り添ってくれる、それがすごく救い。
ナオシは人懐っこくてちょっと明るくて、この存在が
全体のトーンを落としすぎずに良かった。
小さい頃TVに出たことがある、とかちょっと素っぽいし。
真治は誰かに電話したかったのか、出ない相手にまた切れ、
(外れた電話から聞こえるのはただの時報)
ボックス破壊しそうな勢いで大暴れする。すごいです。
泣きじゃくる真治に、偶然通りかかった警官中村( 香川照之
)は
とても優しく声をかける。それだけのことで
本当に明るく吹っ切れてしまう真治が、
そんな簡単に?と思う一方で、
妙にリアルでした。
雪がちらつく中、また電話している真治。
以前、電話で切れたことを誤り、
神様ってもしかしたらいるんじゃないかな、って思って・・・
と、警官との出会いを語る。
大事なのは、自分で責任をとること、
切れて投げ出さないでちゃんと向き合う、
オレもう大丈夫だから・・・
今までのこと、謝ろうかって・・・いっぱい迷惑かけてごめんね・・・
電話かける真治は、目深にかぶっていた帽子も
顔をかくさないようにかぶりなおし、
晴れやかな顔で電話。相手は彼女なのか友達なのか
結局よく分からなかったけど・・・
ほんの数年前の映画なのに、
ケータイにはアンテナがあり、まだ公衆電話のボックスもあり
ケータイない人は公衆電話・・というのも、
ちょっと懐かしい。
出入りしていたヤクザ連中がパクられ、
ちゃんと自分と向き合ってくれたマコトやナオシの存在も
リョウに笑顔を取り戻させた・・・と思う。
夜明けの屋上で、取りとめもない会話をする3人もいいシーンだった。
変わってくって、
気持ちがいいな・・・なんて晴れやかな顔の真治。
いつもコンビニ弁当だった、ちょっと寂しい中村も
マコトも新しい彼女ができて、、、
明るい朝に部屋を出たリョウは、熱帯魚屋の女の子に
今度は自分から挨拶をする、、、
とても分かりやすいとはいえるけど、、、
もっと暗い、救いの無い映画かと思ったら
エンドロールではそれぞれの、
少し明るい明日に続くシーンがあって
ちょっと元気になりましたね。
曲も、全体的にすごくカッコよかったっ!!
思ったより面白かったのでした。
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