2008.04.20
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カテゴリ: 野球
球界には不思議な格言がある。「ボール球を巧く使え」という言葉もその一つである。
プロアマを問わず指導者の立場にある者は口にしたことがあるだろう。
中継を観ているとそのように語る解説者も多く、その影響からか素人さえもセオリーのように思っている者が多い。

しかしそれは大きな間違いである。いや、広義の意味で正しいのは間違いない。
しかし指導や解説の中で言うことにおいては間違いなのだ。

なぜなら「巧く使え」などという言葉に何ら「指導の要素」がないからである。
考えてみればわかることだが、「巧く使え」という文言は、付け加えれば全てが正論になる修飾語だからだ。

「ボール球を巧く使え」「緩い球を巧く使え」「厳しい球を巧く使え」

当り前である。



デメリットがあることさえも「巧く使え」で終われば「巧く使うこと」ありきの内容になる。
反論したとしても「だから『巧く使え』と言っているんだ。『巧く使え』なきゃ言われる通りデメリットしかない。」と言われてしまう。

つまり「巧く使え」を付けると、最善手を保証した結果からの逆引きとなる。
どのようにして最良の結果に導くか、その手順を教えるのが指導であるし、それを事前に解き明かすのが解説というもののはずなのに、それでは全くの逆である。
「ボール球を巧く使え」という前に、どの場面でどのようにボール球を使うことが「巧い使い方」なのか、それを説明してこそ指導であるし解説といえる代物になるはずだ。

それを語らずして「巧く使え」というのは、「最良の結果を出しなさい」と言っているに過ぎない。
それでは打撃において「ホームランのサイン」や「タイムリーヒットのサイン」を出しているぐらいの馬鹿らしさである。

「ボール球を使って最良の結果を出しなさい」などというのは格言とは言えない。むろんセオリーでもない。
「ボール球をこのように使うと最良の結果が出る」と言えてこそ初めて格言たりえるのだ。

そして「ボール球をこのように使うと最良の結果が出る」を実践し、期待の結果が得られなかったばあい、そこは柔軟に対処しなくてはならい。


それができていないのがホークスである。


しかも根拠ある組み立てを指導していないが為に、ストライクとボールを交互に散らす程度の配球になってしまっている。
そのボール球が本当に意味があるのなら、打者はボール球に引っかかっているはずだ。
2ー3のカウントになる前に打者は討ち取られているはずである。
なのにそうはなっていない。
ボール球を打者は簡単に見逃しているだけでなく、次の球への布石だと見透かしてしまっている。



近年の野球は機動力野球に原点回帰されている。
それは千葉ロッテ、日ハム、中日と連続して同系統のチームが日本シリーズを制したことからも明らかだ。

機動力野球は守備力重視の野球でもある。
攻撃面ではビッグイニングを作るよりも1イニングに確実に1点を取り、9回で9点をせしめる野球である。
守備面では1イニングに最高でも1点までの失点に抑える野球である。
打たせないのはもとより、走らせないことを重要視しなければならない。

その為には無闇に2ー3のカウントを作ってはいけない。
2ー3のカウントを作らない為には、2ー2の並行カウントを作るかどうかの選択肢から考えておかなければならない。

2ー1のカウントを作れたら、ここで一球遊ぶか勝負かであるが、好投手を作るためには大きな割合で勝負した方がいい。
むろんその勝負の中にはボール球で勝負というのもあってよい。
要は打者がボール球を振ってくれるかどうかを見抜くのは捕手の洞察力なのだ。
アジアを制した上記の3チーム既にやっているし、楽天も既にやってのけている。
その事からいってもイーグルスの野球はホークスの先を行っている。
昨年ホークスが負け越したのは必然だったのである。

ホークスの捕手は洞察力で配球を考えるのではなく、こうしておかないと首脳陣に叱言をいわれると思ってやっているように見えてしまう。
その首脳陣からして論理や観察や洞察ではなく、今までこうしてきたからという慣例にそった野球観に囚われているように思えてならない。
ホークスがそのような古い野球を見直さない限り、今季のBクラスは確定したといっていいだろう。





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最終更新日  2008.04.20 14:53:59
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