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※突然ですが、「帰ってきて欲しい」の番外編を始めます。
「曽祖父の日記」
その1
「本屋の看板娘」 最初のページをめくり読み始める。
「何度来ても、いい眺めだねぇ・・・」
前世紀のものを模した、アンティークなブラインドを引き上げて、正直な感想を口にした。
「何度もって、今日で二回目よ、ここに来たのは」
雪がぼくの横に来て、オーバーね、そう言いながらガラス窓を開けてテラスへ出てゆく。
そこには、デッキチェアが2つ、小さな丸いテーブルをはさんで並べて置いてあり、
デッキチェアを使う客の上に充分な影を落としてくれる、大きめなパラソルが差しかけられている。
パラソルのポールの一番下の部分は、テラスの床板部分に開けられた孔に差し込まれているのだが、
それらは、デッキチェアとテーブルを余裕をもって囲める直径の環状の板になっている。
このリゾートホテルの売りは、オーシャンビューと、このパラソルがオートムーバーであること、
常に降り注ぐ太陽光を感知して、フルオートでその反対方向に日影を落とすべく、太陽を追尾することが可能だ。
ただし、落陽の時間には、ちゃんと停止する (落陽の眺めを邪魔しないため)
あとひとつは、このテラスを形成する建材だ。
見た目には、建材に白いペイントを施してあるように見えるが、
実はすべて木目調の合金製であり、白く塗られたペンキには特殊な成分が含まれていて、
乾くと表面に潮風にも強い特別な柔らかい皮膜を作るため、グラスを直接テーブルの上に置いても、あの高くて硬い音を立てないように出来ている。
目前に広がる海を中心に自然界の眺望がもたらす贅沢なムードを損なわない、実に繊細な心配りだ。
ぼくと雪は,手を繋ぎ、テラスの端まで歩くと、フェンスの手摺に空いている片方の手をのせ、大きく胸一杯に空気を吸い込む。
もうすこしで、素晴らしい光景を堪能する、その時が訪れる。
南の海に沈む太陽は、とても大きく見える。
やがてそれは、
海を熔かして、吸い上げながらひとつになり、海に飲み込まれてゆく・・・
黄金色の落陽・・・
見とれて、引きずられて、そして言葉を失くした者の、心をひとかけら奪い去りながら・・・
陽は沈んでゆく・・・明日を照らすために・・・
応援のランクリ頂けると嬉しいです
どちらも一日一回有効です
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