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2026.04.11
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カテゴリ: ライトノベル


「あの梅の木は」  第 8



「俺はここで待ってるから」


裕也が指さしたのは、中野と杉並の区堺に沿って曲がるその角、

つまりは石橋豆腐店の角が見える児童公園のベンチだった。


「わかった・『伊藤ハムの太いソーセージ状のハンバーグ』を

下さい、でいいのよね?」


「うん、それでいい。悪いけど頼む」


頷いた香織は道の向こう側に渡り、やがて石橋豆腐店の角を曲がった。


待つこと約10分、手提げの買い物袋を下げた香織が道の両側を

確認しながら道を渡り、歩道を進み公園に入って来た。


一目でご機嫌斜めだとわかる顔つきだ。


「よ、悪かったねえ、まあこれでも飲んで」

裕也は待ってる間に近くの自販機で買ったコーラを差し出した。


香織は手にしていた手提げを裕也に預けてコーラを受け取ると、

ゴクゴク喉を鳴らして500ミリの半分近くまで飲んでしまった。


「おー、豪快だねえ」


「誰かさんのお陰でねー!すっごい喉渇いた、フー・・・」

「はいはい、ほんと悪かった。で、どうだった反応は?」


「結構引いてたよおばさん。それからご主人に『また伊藤ハムの

ハンバーグだって、うちで扱ったこと無いのにねえ』って怪訝な顔

されちゃったよー、先にお母さんから頼まれた分を注文しとくん

だったよ~」


「やっぱりなあ、そうかーやっぱり・・・」

「ねえ聞いてる?」

「あ、わるい、聞いてるよもちろん。俺ん時と同じだやっぱりな」


「何がやっぱりなの?ちゃんと説明してよね」

「うん、あれだよ『桜の木と梅の木』の『伊藤ハムのハンバーグ』

バージョンってことなんだよ」

「えー、木の場合は桜と梅の2種類だけど、今日のは『伊藤ハム

のハンバーグ』だけじゃない。どう同じなのよ」


「簡単だろ、香織んちの庭に桜の時は売ってあって、梅のときは

売るどころか扱ったことも無いっていう、『有る無しバージョン』

ってことさ」

「裕也・・・」

「何?」

「あんた簡単に言ってるけど、それってもう世界がここだけじゃない

って、一つだけじゃないって認めちゃってるってことになるんだよ、

それ分かって言ってる?」

「勿論さ・・・そうなるだろ?」

「ちゃんとあたしの目を見て言って」


裕也は目に力を込めて

「それしか考えられないだろ」

「本気だ、こいつ・・・」








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最終更新日  2026.04.11 15:55:26
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