わたしのブログ
2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
全1件 (1件中 1-1件目)
1
65年前、父が4歳の私に尋ねた。 「大きくなったら何になるか」 「お父さんのような立派な軍人になる」 と私は答えた。父は笑みを浮かべ、私の頭を撫でた。それが記憶に残る父の最後の姿であった。 25歳の時、自衛隊に入隊した。父への供養になると思ったからだ。起床ラッパで、朝6時起床、急いで戦闘服を着け、半長靴を履いて5分内にグランドに集合する。そして、点呼が始まり、区隊長や中隊長の訓示が行なわれる。それから朝食のあと、9時から厳しい、いろいろな訓練が始る。 3ヵ月後、前期教育の終了時、区隊対抗の射撃大会が行われた。私は所属する区隊の代表に選ばれた。標的は照準孔からは小さく見える。 私は精神を集中し、伏射の姿勢でゆっくりと引き金を引いた。轟音と同時に肩に銃床の強い反動が炸裂する。一発目、ど真ん中に命中し、10点を射止めた。傍の担任教官が歓声を上げた。続いて、残りの4発を連続して撃った。だが、その弾痕が標的のどこにもない、応援の同僚や教官のため息が聞こえた。私は惨めな思いだった。そして、審判団が標的を一つ一つ調べ上げたあと、成績を発表した。 「最高点は50点満点で、仲間二士、5発とも全て同じ一つの穴を貫通している。これは奇蹟、歴史に残る最高得点である」 大歓声が爆発し、私は同僚からもみくちゃにされた。私にはあの時、父の御霊が乗移った、としか思えてならない。
2010年06月13日
コメント(4)