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「お前らには本当のバリュー投資は理解できないはずだ。このニセモノめ」
「俺は解き放ちたいんだ。純粋な昔の概念を。俺が死ぬ前に。俺達の時代が死滅する前に」
と彼は言う。続きはこうだ。
「
俺は時間を無駄にしない。やる事がたくさんあるからだ。何もしないのがバリュー投資だと勘違いしているようなお前らとは違う。
何もしないで惰眠を貪り、怠惰の日々を送り、気が向いたら売買する。そんな投資家がバリュー投資を理解できるとでも?
お前らが分かった気になってバリュー投資を語るのも、その分かった気になったバリュー投資を喧伝するのも良いだろう。
俺には興味がない。
しかし、お前らが良い気になって教えたバリュー投資教の信者は日々増え続けている。
その信者の言動は目に余る。
多数派になったバリュー投資家のやりそうな事など、俺は簡単に想像が出来る。
一度得た多数派に属していることの安心感。
正しいのは自分の方だという優越感。
ファンダメンタル分析の手法を取得したという達成感。
それらを奴らが手放すはずがない。
本当の意味で少数派で居続けるという事がどういうことかは理解できないだろう。
残念。教えた先生が悪かったのだ。ゲームオーバー。はい、さようなら。
」
まだ彼は広場で御高説をのたまっている。
相変わらず、聞き役は僕しか居ない。
正直、もう彼の聞き役は辟易している。
誰か代わって欲しいと周りを見回してみても、人っ子一人いやしない。
唯一の聞き役の僕が居なくなったら、彼は一体どうしてしまうだろうか。頭の中の聴衆に話しかけるようになるのだろうか。
まだまだ僕が聞き役を続けるしかないようだ。白く大きな溜息は、しかし僕を嘲笑うかのように自由気ままに霧散していった。