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10年前、都内の診療所に勤めていました。その年に、「結核非常事態宣言」が出されました。
結核で入院する人が出ると、同じ職場の方を対象に
臨時の結核健診ということで、胸のレントゲンを撮って、
ツベルクリン反応を見て・・・ということをやりました。
ところが、日本ではほとんどの人がBCGをしているので、
結核に感染してなくても、ツベルクリン反応は陽性で、
かえって混乱したものです。
結核の患者数の増加を受けて、厚生省から「結核非常事態
宣言」ということになったのですが、終息宣言が出た記憶は
ありません。
そうこうしているうちに、結核のことを忘れて、10年が瞬く間に
過ぎていきました。
BCGは、この国の8割以上が受けていると言われていますが、
にもかかわらず、「結核非常事態宣言」です。
BCGは、役に立たないのか?とも思いました。
ですが、ここで予防接種反対運動を展開しません。
先進国の中では、日本の結核患者数が多いことは、
知られています。
予防接種の実施率が低いわけでも、衛生状態が悪いと
いうわけでもなく、医療が受けられない環境でもないのに
結核患者の数は多いのです。
BCGをやっていない、他の国よりも。
個人的な考えですが、予防接種には3種類のカテゴリーが
あると思います。
(1) 根絶を期待できるもの
(2) 社会的に必要と考えられているもの
(3) 効果に疑問を感じるもの
住む地域によって、意味合いは変わってきます。
日本の場合、BCGは(2)ですが、実施していない国から
みれば、(3)になるでしょう。
成人してから発症する結核の予防には、あまり貢献できない
かもしれませんが、日本人は結核にかかりやすいという
ことから、BCGに対する社会の信頼感というのは、
根強いものがあります。
BCGの是非はともかく、このことがきっかけで、感染症対策
には、体を作ることが大事と思うようになりました。
それと感染症に対する報道のあり方、社会の態度も
じっくり見て、しっかり覚えておこうと思いました。あとで同じような事態になった時、役に立ちますし、
なにより慌てないで冷静に見ていられます。