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'64年、正統派のバンドとして結成され、'66年のビートルズ日本武道館公演では前座を務め、徐々に音楽コントでお茶の間にその存在を知られたかと思ったら、60年代後半から80年代半ばまで続いた生中継コント番組「8時だヨ、全員集合!」(お化け視聴率番組でもありました)で、大ブレイク!‥‥もうおわかりですね。そう、ザ・ドリフターズ! 彼らは毎週土曜日放送の「8時だヨ、全員集合!」の舞台稽古に追われる最中に、なんと年1、2回のペースで映画出演もしていたのですよ!「寅さん」シリーズの併映作品でしたが、なんのなんの、寅さんに負けず劣らず面白かったです。全14作のドリフ映画で、モイラがもっとも好きなのは、'69年の「ミヨちゃんのためなら全員集合!!」全14作中の10作品!10本!■ザ・ドリフターズの全員集合!!<10本セット>■何かというと空威張りして大声を張り上げて怒鳴るくせに、経営手腕はほとんどゼロ。女房にも従業員にも逃げられた漢方薬製造工場主(いかりや長介)。いかりやは高校時代の後輩・加藤茶をこき使ってなんとか工場をたて直そうとするが、工場の煙突から出る漢方薬をいぶす悪臭を口実に、町のボスから追いたてをくらってしまう。ところがそのボスは、実はいかりやの工場の跡地が欲しかったのだ‥‥ボスの腹黒さが許せぬいかりやと茶、去っていった従業員の仲本、荒井、高木も戻ってきて、幼なじみのミヨちゃん(倍賞美津子)の力を借りて、ボスとたたかうことに!モイラは小学生の頃こそ、ドリフの全員集合を毎週欠かさず見て、大笑いしてましたが、中学に入ると、「ドリフなんて子どもっぽいや」と、あえてそっぽを向き始め、以来、大学を卒業して社会人になるまで、ドリフ映画を1本も観たことがありませんでした。だけど‥‥知人に勧められて、半信半疑で名画座に出向いてみたら、これがまあ面白いこと面白いこと。5人のメンバーの個性が生き生きと描き分けられ、何より構成がしっかりしていて、伏線もきちんと張ってあるのです。モイラはこの時、ドリフ映画というか、ドリフというグループそのものを見直しましたね。岩下志麻、倍賞美津子など、マドンナも毎回、ハイレベルの女優さんばかり!いかりやがマヌケな子分を持ったために、ひどい目にあうという設定は、テレビの全員集合と同じといえば同じですが、そこは上質のコメディ映画の王道で、笑わせるところはしっかり笑わせ、ほろ苦いペーソスも感じさせられました。テレビの全員集合といえば、それはもう大人(特にPTA)の間では、評判は最悪。「下品」「食べ物を粗末にしている」「暴力的」と‥‥小学校の朝礼では、よく先生が言っていましたね。「『ウ●コチ●チン』『ちょっとだけよ』などと言っちゃいけません」しかし、あの生中継のコント、今DVDで見返すと、実によくできてますよ。チャップリン映画はもとより、歌舞伎や狂言の手法まで取り入れてますからね。台本を執筆した構成作家の集団は、いつもいかりや氏から厳しいダメを出され、何度も書き直しを命じられたそうです。これから寒い冬。大笑いできる映画を観るといいですよ!心が温まって。●ザ・ドリフターズ結成40周年記念盤 8時だヨ!全員集合 3枚組DVD-BOX<通常版はっぴ無し>(2004/1/7)
2007.11.28
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今夜とりあげる映画は、秀作なのに、話の展開やキャストが地味すぎるせいかDVD化されていない山岳サスペンス映画「黒い画集 ある遭難」('61年 東宝)です。原作は日本の推理小説の巨匠・松本清張。(つい最近も「点と線」、テレビ放映しましたね)監督は「社長シリーズ」「若大将シリーズ」「駅前シリーズ」などの人気作品を撮った杉江敏男、そして、脚色は、な、なんと‥‥カルトの帝王・石井輝男!銀行支店長代理・江田(伊藤久哉)をリーダーとする登山パーティの一人・岩瀬(児玉清!若い!)が、遭難死。岩瀬の姉(香川京子)は、弟の死に不審を抱き、いとこで登山の達人の槙田(土屋嘉男)に、真相を探ってほしいと頼んだ。パーティのリーダーだった江田に、岩瀬の遭難場所への同行を求める槙田。江田は快く応じるが、登山が進むにつれ、槙田は江田の行動に不審を抱き、彼を怪しいと睨み始めるが‥‥香川京子と土屋義男が銀座の三笠会館で会食する場面以外は、ほとんど雪山のシーンばかりだったように記憶しています。サスペンス映画ですが、派手な立ち回りがあるわけじゃなし、コケおどし的なショッキングな場面があるわけじゃなし、まして男女の色っぽいラブ・シーンなどあるわけじゃなし、ただ雪山をエッチラオッチラ登るシーンばかりが目につく、地味~な映画です。しかし‥‥雪山の中での土屋嘉男と伊藤久哉の心理戦が秀逸です!伊藤久哉を臭いと睨み、疑問をそれとなく、しかし次々と投げかける土屋嘉男。表面では笑顔を作って疑問をたくみにかわすけど、内心は土屋嘉男を忌々しく思っている伊藤久哉。疑う者、疑われる者の心理描写が、実に素晴らしい。土屋嘉男は伊藤久哉を児玉清を遭難に見せかけて殺した張本人だと確信するのですが、ひとつだけ、たったひとつだけ、どうしてもわからない点がある‥‥それは‥‥殺しの動機。動機がわからないから、闇雲にはつっこめない苛立ちを抱えるわけですが、それでもひたすら冷静な土屋嘉男の表情は、ちょっと不気味なくらいでした。それにしても、松本清張の短篇小説を、ここまで構成のしっかりした上質なサスペンス映画のシナリオに仕立てた石井輝男の筆力には脱帽!「石井輝男=カルト」という公式が頭の中にこびりついていたモイラは、この作品を観て、思わず唸りましたね。「うむむ‥‥カルト映画の傑作を撮れる人というのは、正統派の映画のシナリオも、きちんと書けるものなんだ‥‥」そう、シナリオの構成力、表現力が素晴らしいからこそ、正統派からはずれたものも書けるし、撮れるのです。でも、そういうところをわかっていない、ただぶっとんだだけの、ひとりよがりな作品を作れば、「カルト映画作家」「ゲイジュツカ」という称号が与えられるとでも思っている、勘違いな若手映画人の多いこと!最近の若手が作った日本(海外にもいますが)映画観てると、「基礎の基礎から勉強せい!」と怒鳴りたくなるような作品、多いです、ほんとに。
2007.11.27
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こんばんは!万年映画少女モイラ、本日復活しました!復活を記念して(?)、今夜はたぶん一生忘れられないであろう名作映画をとりあげますね!その名作とは‥‥2000年、阪本順治監督の「顔」です。 顔 / 藤山直美母親が細々と経営するクリーニング店の二階に長年ひきこもりっきりで、毎日ただ黙々とかけはぎ作業をしながら、頭の中で牧場の動物とたわむれるといった幼稚なイマジネーションをめぐらしているだけの無気力な三十女・正子(藤山直美)。そんな正子の母が突然死。そりの合わない妹が帰宅し、正子のひきこもりぶりや、無気力さを、まるで彼女の存在そのものを否定するかのように罵倒する。逆上した正子ははずみで妹を殺し、長年ひきこもっていた家から出て、逃亡生活を送るはめに‥‥殺人犯として手配される正子だったが、さまざまな紆余曲折を経て、彼女は徐々に明るく、美しく変貌してゆくのだが‥‥女優・藤山直美ここにあり!という映画でしたね。ブサイクなだけならまだ許せるけど、無表情で生気というものがまるで感じられず生きているのか死んでいるのかわからないような女だったのが、自分でも予想もつかなかった妹殺害という行為をきっかけに家を出なければならない羽目になって、いろいろな壁にぶつかるけど、乗れなかった自転車に乗れるようになったり、できなかった泳ぎができるようになったり‥‥「自転車に乗れへんやったら、乗れへんままでええ。泳げんかったら、泳げんままでええ」正子はそう父親から言われていて、本人も「できんもんはできんままでええわ」と思っていたんだけど、警察の手から逃れるために、できないことをやらなければならなくなる羽目になり、「えいっ、やったるわ!」とトライする姿は、美しかったです。このモイラも、超がつくほどの不器用で、幼少期からできないことだらけ。第三者から「なんでこんなことができないの?!」と言われると、もうへこんでやる気も失せてしまう、そんな性格でした。正子のバージン(30過ぎて!)を奪うトラック運転手役の中村勘九郎、笑えましたね。しかしまあ、男性というのは、相手の年令や容貌など関係なく、バージンならうれしいものなんでしょうかね‥‥?「これは思わぬ拾いもの!」と、思うんでしょうか?倒産寸前のラブホテルの経営者役の岸部一徳も、正子がほのかに思いを寄せる借金まみれの子連れ男・石田役の佐藤浩市も、ほんとにいい味出してました。落ち込んでいる人たち、精神的にへこんでいる人たちに、おすすめの映画です!
2007.11.26
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おはようございます。万年映画少女のモイラでございます。実は最近バタバタと大忙しで、なかなかブログに手がまわりません。そういうわけで、しばらくまたお休みさせていただきます。しかし‥‥映画は永遠に不滅です!
2007.11.17
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こんばんは、映画狂のモイラでございます。きのうのクイズの正解を発表しますね!Q1 小林桂樹(TV生中継中の乱闘シーン、熱演でした!)Q2 久保菜穂子(健康的な色気がありました)Q3 石橋正次(ミスキャストでしたね、完璧に)Q4 金大中拉致事件(事件当時、マスコミは大騒ぎでした)Q5 「エロスは甘き香り」(なんかよくわからない内容でした)Q6 土屋嘉男(もう一度、土屋氏の宇宙人姿が見たいものです!)Q7 「この野郎、かかってきやがれ!」(名セリフ?)Q8 映画監督の井上梅次氏。(「嵐を呼ぶ男」の監督で、月丘夢路さんのご主人でもあります)Q9 嵐寛寿郎(「我は閻魔大王なり!」の恐ろしい声、忘れられない!)Q10 石浜朗(あの凄惨な竹光での切腹シーンを観て、卒倒した人もいたそうです)全問正解の方は‥‥ずばり、正真正銘の映画バカです。ではまた‥‥
2007.11.16
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こんばんは、万年映画少女のモイラでございます。きょうは、久々に、本当に久々に、「クイズ THE MOVIE!」をおとどけします。今回もまた「邦画篇」です。「なんだ、また邦画かよ‥‥」という声が聞こえてきそうですが、このモイラは、世界の一流映画人たちに大きな影響を与えた日本映画の名作の数々を国宝のように思っている人間でございますので、ご了承のほどを‥‥では始めます!Q1 「日本沈没」(森谷司郎監督)で、風変わりな地球物理学者・田所博士を演じたのは誰?Q2 新東宝のカルト映画「女王蜂シリーズ」のヒロインを演じた女優は誰? Q3 実写版「あしたのジョー」で、主人公の矢吹丈を演じたのは誰?Q4 阪本順治監督作品「KT」の題材となった'73年の有名な事件は何?Q5 藤田敏八監督、桃井かおり主演の日活ロマンポルノ作品の題名は?Q6 '05年作品「奇談 キダン」で、ちょっと癖のある大学教授を演じたのは誰? Q7 石原裕次郎の爆発的ヒット映画「嵐を呼ぶ男」の挿入歌のセリフの出だしの言葉は何?Q8 夭折した日活アクションのスター・赤木圭一郎。この芸名をつけたのは誰? Q9 新東宝の大カルトムービー「地獄」(中川信夫監督)で、閻魔大王を演じているのは誰?Q10 時代劇の名作「切腹」(小林正樹監督)で、竹光で腹を切らされる若い浪人を演じたのは誰?(マジで痛そうでした)今回はちょっと簡単‥‥ですか?正解は明日、発表します!
2007.11.15
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アクの強さ全開のいかつい風貌と、一度聞いたら忘れられないダミ声、圧倒的な存在感、卓越した演技力で、主に悪役として、スクリーンやお茶の間、舞台、バラエティ洋画やアニメの吹き替え、ナレーションでも活躍した名バイプレイヤー‥‥その名も‥‥小松方正!小松方正出演映画白昼の通り魔 [ 川口小枝 ]価格:2,037円(税込、送料無料) (2023/7/7時点)楽天で購入映画 けものみち DVD価格:4,950円(税込、送料無料) (2023/7/7時点)楽天で購入春琴抄 【Blu-ray】価格:5,021円(税込、送料無料) (2023/7/7時点)楽天で購入【中古】 竹山ひとり旅/林隆三,倍賞美津子,佐藤慶,乙羽信子,観世栄夫,新藤兼人(脚本),林光 【中古】afb価格:4,400円(税込、送料別) (2023/7/7時点)楽天で購入小松氏は長野県松本市の生まれですが、生家に経済的ゆとりがなく、親戚を頼って上京、苦学しながら神田の旧制中学で学び、卒業後、海軍に入隊。戦後、大蔵省(今の財務省)の管理局に入るも、学歴の壁にぶちあたり、一念発起して大蔵省で働きながら、中央大学法学部を受験し、合格。やれ、これでめでたくエリート官僚の道まっしぐら‥‥と思いきや、演劇に目覚めてしまい、役者になることを決意したそうです。役者になってからは、映画ファンならばご承知の通り、大島渚監督作品をはじめ、名作と呼ばれるさまざまな映画に、アクの強い脇役として出演し、その名が一気に世間に知られました。モイラがいちばん好きなのは、大島渚監督作品「絞死刑」の、いかにも冷徹な官僚といった検事役。「さすが元大蔵官僚‥‥リアリティたっぷり!」と、唸るような名演でした。あと、「ミンボーの女」の緑のカバンをホテルに預けるヤクザ役も良かったですね。新品北米版Blu-ray!【絞死刑】<大島渚監督作品>価格:8,743円(税込、送料別) (2023/7/7時点)楽天で購入ミンボーの女 【Blu-ray】価格:4,499円(税込、送料無料) (2023/7/7時点)楽天で購入そうそう、忘れちゃならないのが、この作品での悪役ぶり。すっごく印象的です。修羅雪姫 [DVD]価格:4,160円(税込、送料別) (2023/7/7時点)楽天で購入モイラが小松方正氏の名前を知ったのは、小学生の時。日テレ系の人気バラエティ「巨泉・前武のゲバゲバ90分」を、毎週楽しみに観ていたころです。「ちょっとエッチでコミカルな、どこにでもいそうなおじさん」という、親しみやすさを抱きました。最初はコメディアンかと思ったのです。マジで。でも、少し大きくなって映画に目覚めてから、すごい演技派の役者さんだと知り、大いに驚きました。晩年、小松氏は体調を崩し、人工透析を受けるようになり、それでも役者や声優としての仕事を続けるも、2003年7月、敗血症で亡くなりました。あの癖のあるダミ声、もう一度じっくり聞きたいものですね‥‥巨泉×前武 ゲバゲバ90分! 傑作選 DVD-BOX [ 前田武彦 ]価格:7,686円(税込、送料無料) (2023/7/7時点)楽天で購入にほんブログ村
2007.11.12
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大恐慌時代のアメリカ西部、銀行を次々と襲い、当局から恐れられた若い男女がいました。クライド・バローとボニー・パーカー‥‥そんな彼らの破壊的な青春を映画化したのが、アーサー・ペン監督の「俺たちに明日はない」('67年)です。【中古】 俺たちに明日はない /ウォーレン・ベイティ,フェイ・ダナウェイ,ジーン・ハックマン,アーサー・ペン(監督) 【中古】afb変わりばえのしない日常にうんざりしていたウエイトレスのボニー(フェイ・ダナウエイ)は、母の車を盗み、目の前で強盗をはたらく青年クライド(ウオーレン・ベイティ)の、無頼だが自由な雰囲気にひかれ、出会ってわずか数分で、彼の車に乗り込み、生まれ育った町を出た。西部のあちこちの銀行を襲いまくるボニーとクライド。そんな二人を、マスコミはある種英雄行為のように讃え、二人は世界を征服したような気にさえなるが‥‥自由の国といわれるアメリカの暗部を赤裸々に描いたことで、多くの人々から支持を受けた、60年代後半から70年代にかけてのアメリカン・ニューシネマというジャンルの中でも、この作品は、キャスティング、シナリオ、演出、あらゆる面で際立っています。非常に完成度が高く、何より二人の男女の人間描写がすばらしいのです。従来アメリカで描かれてきた無頼漢は、ほぼ決まって男前で、いい女を見ればすぐ手を出すのですが、ベイティ演じるクライドは、いわゆる「不能」です。こういう悪のヒーロー設定は、過去にあまり、否、ほとんどなかったかと思います。そしてダナウエイ演じるボニーですが、彼女は一見、男まさりで気が強く、「強い女度全開」のように見えるけど実はとてもナイーブで、また故郷に残した母への思いがとても強く、「ママに会いたい‥‥」と幼子のようにクライドに泣きつく様子には、こちらも涙しました。車で二人が逃走するシーンに流れるバンジョーの音楽がまた、小粋です。超有名なのが、ラストシーン‥‥(お知りになりたい方は、ぜひ映画をご覧ください)アメリカン・ニューシネマの金字塔的名作と言えるでしょうね!★もっとアメリカン・ニューシネマ!★真夜中のカーボーイ 【中古】【中古】洋画DVD 明日に向かって撃て!特別編(2枚組)【新品】【DVD】スケアクロウ ジーン・ハックマンにほんブログ村
2007.11.10
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無軌道な若い男女の挫折と破滅を描いた「青春残酷物語」('60年)のパート2として同年に製作された、大島渚監督の「太陽の墓場」‥‥前作よりは知名度が低いですが、これもまた松竹ヌーヴェルヴァーグの傑作と言えましょう。太陽の墓場時代は高度経済成長に突入する少し前。大阪のドヤ街を舞台に、チンピラヤクザ、(今は放送禁止用語ですが)バタ屋、家出少年、街娼、動乱屋と呼ばれるニックネームだけ見ても怪しげな元軍人、男たちを次々手玉にとるたくましい女、日雇い労働者たちが織りなす見た目の汚さ、そして何より人間そのものの汚さを、全面的にクローズアップした怪作!名画座で最初に観た時の感想‥‥「うげッ‥‥でも‥‥見応え満点!!!」とにかくオープニングからエンドマークまで、汚いこと、汗くさいこと、それと‥‥登場人物がやったらめったらギラついていること、この上なしです。暴力だけに頼って生きるほかない、すぐブチキレるチンピラ役の津川雅彦、ドヤ街の生まれ育ち(?)で、肉体を武器に生きるしかない花子役の炎加世子、社会に反抗して家出して津川氏に拾われたはいいけれど、表社会に未練たらたらで、ヤクザにはなりきれない家出少年の佐々木功、過去の栄光と肩書きから逃れられないアナクロ元軍人「動乱屋」役の小沢栄太郎、アル中で女房(北林谷栄)にこっぴどい言葉で罵られ、酒代ほしさに戸籍まで売ってしまうバタ屋役の藤原釜足、もう「これでもか」とばかりに、見事に世間の敗残者ばかりをかき集めた大変稀有な作品です。登場人物の中で、唯一(あまり好きな言葉じゃないけど)「勝ち組」と言えなくもないのは、炎加世子演じる花子だけ。あとはまあ、見事なまでに、「どうしようもないなあ‥‥」みたいな人たちばかり。でも、それがいいんですよね。人間の負の側面の奥の奥までを、えぐるようにしつこく、それでいてどこか醒めた視点で描き、ほんの、ほんのわずかですが、哀感や救いも漂わせている‥‥大島マジックとでも言いましょうか。大島監督はこの作品の演出に相当リキ入れたなあって、作品観ていてそれがひしひしと伝わってきます。でも次の「日本の夜と霧」では、力入れすぎが裏目に出て、失敗したみたいですね。キャスティングもすごいです!脇に大島組の常連さんのお三方である、戸浦六宏、佐藤慶、渡辺文雄、 伴淳三郎、川津祐介、小池朝雄、小松方正、田中邦衛、左ト全‥‥名バイプレイヤーばかりって感じですね。そして、新人の炎加世子が名演でした。男を手玉にとって生きようとする、どんな逆境にも負けない女を、名前の通り、燃えるように演じていましたね。名優たちの顔ぶれを見るだけでも、味わい深い映画かも‥‥
2007.11.08
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こんばんは。万年映画少女モイラでございます。本日からブログ再開です。言葉の通じない外国で迷子になり、右も左もわからない街中をあてもなくさまよった‥‥さらに悪いことには、何かトラブルに巻き込まれ、身の危険さえ感じた‥‥海外によく行かれる方は、そんな経験のひとつやふたつはおありかと思いますが、きょうとりあげる映画の主人公のケースは、かなり深刻です。その映画とは‥‥ロマン・ポランスキー監督、ハリソン・フォード主演の「フランティック」。DVD フランティック 【ワーナーの年末年始大特価キャンペーン 1500円】 (12/7 発売予定)学会のために妻同伴でパリに来た医師(H・フォード)。彼が宿泊先のホテルの浴室でシャワーを浴びているほんの数分のうちに、妻が部屋から姿を消してしまった。あわててパリの街中を探し回るが、この医師はフランス語が全くわからない!米国大使館に駆け込んでも、「奥さんが浮気相手と密会でもしてるんでしょ」と木で鼻くくったような応対。それでもどうやら、パリ到着時、空港でスーツケースを取り違えたことが妻の行方不明と何か関係があるらしいと睨む。そんな医師の目の前に現れる、ちょっとヤンキーっぽいブロンドのスレンダー美女(エマニュエル・セニエ)。彼女は途方にくれる医師の手助けをするのだが‥‥ややステレオタイプなきらいはあるけど、サスペンスの王道をきちんと踏まえ、役者もなかなかの名演、「闇」を上手に表現し、東京と同様、アメリカナイズされた現代のパリの街を、妖しく、少々薄汚く、リアルに撮っている点から、この作品、モイラは結構高く評価しているのですが、ポランスキーのコアなファンは、「凡作(注・ポランスキーにしては、という意)」と評価しているようですね。残念です‥‥それとモイラは、エマニュエル・セニエのファッションにドッキリしました。最初に登場する時は、ジーンズのジャケットにホットパンツ、かつてのナチの親衛隊員のような帽子、かなりヤンキー入ってましたが、クラブでフォード氏と同伴する時には、がらっと変わって、ボディライン見え見えの真紅のミニのドレス姿!「ああ、あんなドレスが抵抗なく着れるような体型になりたいなあ‥‥」スクリーンを観ながら、思わず深々とため息をついたものです。それにしてもポランスキー監督、ほんとにブロンドのスレンダー美女が好きなんだなあと思いました。
2007.11.03
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