★モイラの名画座★

< 新しい記事

新着記事一覧(全1143件)

過去の記事 >

2007.01.26

高倉健のアクション巨編★「君よ憤怒の河を渉れ」！

(9)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

さあて、きょうはハラハラドキドキのアクション&サスペンスの大作です。
その名も高倉健主演、佐藤純彌監督の「君よ憤怒の河を渉れ」（'76年　大映）！

DVD/君よ憤怒の河を渉れ/邦画/DABA-90997

東京地検のエリート検事・杜丘（高倉健）は、ある日突然、レイプと窃盗の濡れ衣を着せられ、逮捕。
しかし実況見分の時、すきを見て逃げ出し、自分を陥れた人物をつきとめようと北陸に飛ぶが、
レイプの被害者を名乗った女（伊佐山ひろ子）は、すでに何者かに殺され、窃盗罪で訴えた男（田中邦衛）も行方不明。
謎を解く鍵を探すため、杜丘は警察の目をかいくぐりながら、単身北海道に‥‥
そこで、牧場主の娘・真由美（中野良子）と知り合い、束の間の愛の交歓‥‥
けれども、本庁の凄腕刑事（原田芳雄）が杜丘を追って北海道まで来たうえに、
警察とはまったく別の誰かが、彼の命を狙っていた‥‥！
杜丘は牧場主（大滝秀治）のセスナで、東京に逃げることを決心。だが‥‥
彼は飛行機の操縦の経験が全くなかった‥‥!!

高倉健が、触ったことすらないセスナの操縦桿を動かし、
北海道からどうにかこうにか東京湾までたどり着くシーンは、ハラハラドキドキの連続でした。
特にセスナが前方の恐山に激突しそうになった時、健さんが咄嗟に操縦桿を思い切り動かして、
機体が山肌すれすれにぐわ～～んと上昇
もう一つの大きな見どころは、新宿の繁華街に、サラブレッドの群れがパッカパッカと疾走するシーン！
これは見ものでした！名画座で観たとき、客席から「すげえ～」という声まで聞こえましたね。
このシーンを撮影するための交通規制、さぞかし大変だっただろうと思います。

健さんは自分を罠にかけた連中の正体をつきとめるため、精神病院にまで入院患者として入ります。
病院には、窃盗罪で彼を訴えた田中邦衛がいたのですが、彼はすでに薬物で廃人にされていて、
健さんもその恐ろしい薬物を飲まされるはめに‥‥！

精神病院のシーンは、ちょっと漫画チックすぎると思いましたね。監視カメラのついた精神病棟なんて、まず日本にはないでしょう。そもそも任意入院で、いきなり閉鎖病棟に入れられるなんてこと、ないと思います。
でも、セスナ操縦、新宿に馬の群れ、世にも恐ろしい精神病棟、恐ろしく粗野な本庁の刑事（原田芳雄、好演！）など、「ありえない」ことの連続が、また面白いのです。
健さん、この映画ではほんとに、不死身の男ジェームズ・ボンドばりの大冒険を繰り広げてましたね！

でも、いくつか批判させてください。
真由美が熊に襲われるシーン‥‥あの熊、ぬいぐるみだって丸わかりですよ。
もうちょっとどうにかなんないものかと、思いましたね。
あと、真由美がヌードになるシーン。あれもバストの部分は吹き替えだって、丸わかりでした。
それから、健さんが危険な目に遭うたびに流れてた音楽‥‥あれ、ほとんど「第三の男」のテーマじゃないですか?!

この映画、中国で大ロングラン・ヒットを飛ばし、
中野良子さんは、中国では役名「マユミ」と呼ばれているそうです。
モイラも10年ほど前、北京に行ったことがありますが、
繁華街の露店で、中野良子さんのブロマイドが何種類も売っていました。（その横には、なんともミスマッチですが、中森明菜のブロマイドがありました。）
こういう光景を見ると、日本人として、なんだかうれしくなります。

★もっと高倉健！★