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2007.03.28

不気味だけど楽しいファンタジー★「HOUSE　ハウス」

(12)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

北海道夕張市で毎年開催され、コアな映画ファンを魅了してきたゆうばり国際ファンタスティック映画祭。
ところが夕張市の財政破綻で、映画祭の存続の危機が危ぶまれ、
それを回避しようと一生懸命働きかけているのが、映像の魔術師にしてファンタジーの巨匠・大林宣彦監督！
きょうはその大林監督の劇場映画第１作「HOUSE　ハウス」 ('77年　東宝）をお届けします！

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夏休み、女子高生のおしゃれ（池上季実子）とその友だち、ファンタ（大場久美子）、マック、ガリ、クンフーたちは、
田舎にあるおしゃれの伯母( 南田洋子）の古い屋敷に、泊りがけで遊びに行きます。
車椅子で一人暮らしの伯母は、かわいくてにぎやかな女子高生たちが遊びに来たのに、大歓迎。女子高生も楽しいひとときをすごしますが、
やがて次々に奇々怪々な出来事が‥‥！
女子高生の一人が、井戸の中で生首だけで見つかり、一人はピアノに食べられ、
一人は柱時計の針に切り刻まれ‥‥
そう、この屋敷は人を食べて生きている家だったのです！
残された女子高生たちの、運命や如何に‥‥?!

この作品は「家」という、あまりメジャーでないハリウッドのホラー映画をもとに作られたものですが、
大林監督ならではの、独創的なアイディアと映像手法が、彼独自の世界を創り上げています。
伯母が許婚（三浦友和）を戦争で亡くすシーンは、昔の無声映画っぽく、セピア色に仕上げていて、
女子高生たちが学校の校庭で語らうシーンも、どこか幻想的、
特に田舎の屋敷で、女子高生たちが次々ピアノや時計に襲われるシーンなどは、
まるで万華鏡を大急ぎで回しているようで、観ていて頭がクラクラしてきて、
「この監督、ひょっとしたらLSDでもやってるんじゃないの？」と思ったくらいでした。
同時に、「すごい映像の作り手が現れたものだなあ‥‥」と感心したものです。
池上季実子と松原愛は、この映画で大胆にもヌードを披露していますが、
さぞかし、女子高生好きの男性たちをそそったことでしょう。
でもそれより美しかったのが、和服姿の鰐淵晴子さん‥‥！
この人は本当に「佳人」の名にふさわしいですよね。

それにしても大林監督は、少女を撮らせたら天下一品です。
この「HOUSE　ハウス」もそうですが、「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」「ふたり」「あした」‥‥
どれも、少女たちがみずみずしく、美しく描かれています。
大林監督の映像手腕も素晴らしいけど、桂千穂氏（もう７０すぎのオッサンですよ）のシナリオも、七人の女子高生の個性をきちんと描きわけていて、すごいと思いました。

この作品は、山口百恵主演の「泥だらけの純情」の併映で封切られたのですが、
封切られた当初は、「わけがわからん」と、評判があまり良くなかったようです。
でも次第に、この映画の素晴らしい映像手法に拍手を贈る映画ファンが増え、
今では立派なカルト･ファンタジーの名作として、その名を確立しています。

★もっと大林宣彦監督！★