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2007.04.09

パニック･スペクタクルの金字塔！★「ポセイドン･アドベンチャー」

(3)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

70年代、ハリウッドではたくさんのパニック･スペクタクル映画が巨費を投じ、豪華キャストを並べて製作され、
素晴らしい傑作、「なんじゃこりゃ？」な駄作も生み出されました。
そのパニック映画ブームの先駆けとなり、今でも大傑作と謳われる名画と言えば‥‥
やはり、'72年に20世紀FOXが製作した「ポセイドン・アドベンチャー」でしょう。

ポセイドン・アドベンチャーコレクターズ・エディション〈初回限定生産〉

ポセイドン・アドベンチャー / ジーン・ハックマン

今まさに新たな年が明けようとしている大晦日、
ニューヨークからアテネに向かって航海中の豪華客船ポセイドン号は、
悪天候の中、大津波の襲撃を受け、船体がまっさかさまに転覆してしまった。
ニューイヤー･パーティを楽しむ乗客たちは、突然天地がひっくり返り、壁や天井に叩きつけられ、大パニック！
船長をはじめ、ほとんどのクルーが即死し、乗客たちは自力でまっさかさまになった船から脱出しなければならなくなった。
乗客の一人で型破りな牧師のスコット（ジーン・ハックマン）が、パニック状態のほかの乗客たちに、
「船底に上って脱出するほかない！」と叫ぶ。
スコット牧師に従う乗客たち。「救助隊を待つ」とその場にとどまる乗客たち。
しかし、まっさかさまになった世界で、船底にたどり着くのは容易ではない‥‥
８階建ての船体の脱出口は各階にひとつだけ。
しかも途中で、浸水、火災などの危険が、口を開けて乗客たちを待ち構えている！
果たして彼らは、無事船から脱出できるのか‥‥?!

まっさかさまになった巨大な船からの脱出劇。
そのさかさまの船体の、巨費をかけた見事なセット。
ジーン・ハックマン、アーネスト・ボーグナイン、シェリー・ウインタースなどの名優をそろえた豪華なキャスティング。
神に対して懐疑的な牧師、見るからにたたき上げのがさつな警部補、彼の元娼婦の妻、孫の顔を見にイスラエルに行く途中の初老の雑貨屋夫婦、最愛の兄を亡くして茫然自失の若い女性歌手、船にやたらくわしいオタク少年とその姉‥‥といった、登場人物の個性の豊かさ。
いつ死ぬかもしれないというパニック状態の中、船底に行く行かないで争う乗客たち。
撮影セットだけでなく、シナリオも実によくできていますね。
パニック・スペクタクルだけでなく、人間ドラマとしても、一級の作品です！

ただ少々気になったのは、あんなに神に懐疑的だったスコット牧師が、なぜあそこまで乗客を救おうと躍起になったか、
というより、なぜあそこまで仕切ったか‥‥です。
「なんであんたが仕切るのさ？」とツッコミを入れたくなりましたね。
そんなスコット牧師に、ボーグナイン演じるロゴ警部補が、「偉そうに指図しやがって！」と不平を言いますが、彼の気持ち、よくわかりました。
モイラは仕切り屋スコットよりも、一見横柄で傲慢だけど、彼なりに乗客を気遣い、何より元娼婦の妻を愛しているロゴ警部補のほうが、はるかに感情移入できましたね。

まだCGの技術がない時代の、手作りのパニック・スペクタクル‥‥
撮影セットは円谷英二先生の特撮ほどに緻密ではありませんが、ハリウッドならではのスケールの大きさを感じられます。

★もっとパニック･スペクタクル！★