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2007.04.19

悲しき愛の逃避行★「泥だらけの純情」

(3)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

40、50代男性のアイドルの筆頭にあげられるのは山口百恵さんですが、
60代男性があこがれ、胸ときめかせた女性と言えば、やっぱりこの人でしょう！

　吉永小百合 / 吉永小百合

なんたって「サユリスト」なんて言葉があるくらいですからね。小百合さんの人気は、相当のものだったんです。
今も現役なんだから、すごいですよね。
きょうはその吉永小百合さんの映画を、１本ご紹介しますね！
'63年の日活映画「泥だらけの純情」です！

『吉永小百合映画ビデオシリーズ』

真昼の東京の繁華街･新宿。外交官の令嬢・樺山真美（吉永小百合）は、チンピラにからまれているところを、やはりチンピラやくざで、麻薬を運ぶ最中だった次郎（浜田光夫）に助けてもらった。
しかし真美にからんでいたチンピラは、次郎との格闘の時、手にしたナイフで誤って自分を刺し、死んでしまった。
自らも怪我をした次郎は、兄貴分の花井（小池朝雄）に言われて自首したが、真美が真相を話し、あっさり釈放された。
真美は粗野なチンピラではあっても、正義感のある、心根のまっすぐな次郎に惹かれ、次郎も、今まで出会ったことのない深窓の令嬢の真美の純真さに惚れ、二人は土曜日ごとにデートを重ねるようになった。
デートと言っても、ボクシングの試合を見たり、街を歩いたりといった、幼いもの‥‥チンピラの次郎も、深窓の令嬢に手を出すのはしのびなかったのだ。
ところが次郎はデートを重ねるごとに、背広や靴を誂えるため、チンピラ仲間と恐喝事件を働き、ほどなく逮捕された。
それでも、まもなく次郎は釈放。これを聞いた組長は、警察が次郎を泳がせて、麻薬の取引現場を押さえようとしているのではないかと疑い、次郎の命を狙い始めた‥‥！
そして真美は、父の転勤により、外国に行くことになったが、次郎と離れ離れになるのは、身を切られる思い。
真美は家出し、次郎とともに手に手をとりあい、雪の降りしきる冬山へ行くのだった‥‥

これもまた、「身分違いの恋」といってもいいでしょうね‥‥なにせ純粋培養された外交官の令嬢と、貧しいバタ屋の息子でチンピラやくざなんですから。
小百合さん、出世作といわれる「キューポラのある街」では、貧しくとも明るく健気に生きる女子中学生を、はつらつと演じていましたが、
今回はがらっと変わって深窓の令嬢役。それも実に上手に演じていました。
浜田光夫も荒削りながら、チンピラを好演していましたね。
兄貴分役の小池朝雄は、もう言うことなし！
監督は「狂った果実」「月曜日のユカ」の中平康ですが、
この監督はほんとに、丁寧な演出をします。なぜこの人が、有名な映画賞らしいものをひとつもとれなかったのか、不思議です。
藤原審爾馬場当が、ほぼ原作に沿って、見事に脚色しています。
小道具、特に折鶴を上手に使っているのに、注目ですね。
上質で格調高い青春映画と言えるでしょう。
ラストはとても悲しい。悲しすぎます‥‥

お若い方々にも、ぜひ観ていただきたいです。こういう愛の形や青春もあるのだということを、知っていただきたいです。

★もっと吉永小百合！★