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2007.06.04

大阪は今夜も雨だった‥‥★「ブラック・レイン」

(4)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

「ザ・ヤクザ」（'74年）でハリウッドに進出した高倉健が、
ハリウッドの２大俳優、マイケル･ダグラス、アンディ･ガルシアと共演し、
なおかつ、松田優作の遺作となった映画と言えば‥‥ ジャンジャカジャ～～～ン!!

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ニューヨーク市警のニック（マイケル･ダグラス）、チャーリー（アンディ･ガルシア）両刑事は、
レストランでマフィアのボスを殺害した日本人ヤクザ佐藤（松田優作）を、大阪まで護送するが、
偽警官に騙され、みすみす佐藤を組の手に渡してしまった！
言葉のわからぬ東洋の異国で、途方に暮れる２人は、
大阪府警の松本正博警部補（高倉健）の監視下、
銃を持たないという約束で、佐藤を探し出すことに‥‥
そんな中、大阪のクラブで、警官になりすまして佐藤を連れ去ったヤクザが殺され、
チャーリーもまた、日本刀で惨殺されるのだった‥‥！

映画の舞台の９０％は大阪。
リドリー･スコット監督は、雨が憂鬱そうに降る夜の大阪の街を、
思わずうなるほど上手に撮っていました。
「ブレード・ランナー」の近未来の雨ばかり降る街も、大阪をモデルにしたそうですが、
よっぽど監督は大阪が好きなんでしょうね。
別に食いだおれ人形や、でっかいカニの看板といった、大阪特有の風景が出てくるわけじゃないけど、
東京とは違った大阪固有の泥臭さ、しめっぽさを、実によく表現していましたね。

マイケルもアンディも健さんも、実に息のあった演技をしていました。
アンディと健さんが、レイ・チャールズの「ホワッド・アイ・セイ」をデュエットするシーン、見事でしたね！
健さん、ハリウッド作品に出演経験はあるものの、
英語のセリフには、なかなか苦労したでしょう。ヤクザの組長役の若山富三郎も‥‥

でも、迫力満点だったのが、やっぱり松田優作！
護送される機内で不敵な笑みを浮かべるシーン‥‥
夜の大阪の街をバイクで疾走しながら、アンディの首を日本刀で叩き斬るシーン‥‥
若山親分の前で指を詰め、そのあと親分を刺すシーン‥‥
死期が迫っていたからこその、迫真の演技でしょうかね？
それにしても３９歳での病死は、早すぎました。これからもっと、国内外で活躍してほしい役者さんだったのに‥‥

しかーし！この映画、不満もあります。
ヤクザたちが一同に会する農村の風景‥‥ありゃ何ですか？時代劇じゃあるまいし、
いまどき着物姿で、しかも手作業だけで農作業なんてしませんよ。
しかも農民の一人は頭にチョンマゲ！モイラは劇場で唖然となりました。
それと、松本の息子を演じた役者。あれ、どう見ても日本人に見えない！
「スコット監督、もうちょっと日本の風習、民俗のこと勉強してよ‥‥」と、
マジで思いましたね。
それでもまあ、従来の日本や日本人を描いたハリウッド作品に比べたら、
我々モノホンの日本人が思い描く日本や日本人に、はるかに近い姿でしたが‥‥
実際、日本人や日本を題材にしたハリウッド作品の中には、
「いつの時代の風景や風俗だよ?!」みたいな描写や、
メガネにドブネズミスーツ、へらへら意味もなく愛想笑いし、手にはカメラといった、
スクリーンから思わず顔をそむけたくなるような「日本人」が出てきたりしますからね。
それに比べたら、この作品の健さんや優作は、２大ハリウッド･スターにまったくひけをとらない。
否、優作などは主役を食っていたくらいです。

★ああ追憶の松田優作★