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2007.06.08

巧妙な罠★「めまい」

(4)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

観ていて思わず、「やられた！」と叫びたくなるトリックを駆使したラブ･サスペンス‥‥
それが、アルフレッド・ヒッチコック監督の「めまい」（'58年　米）です！

　めまい [初回限定生産] / 洋画

ジョン（ジェームス・スチュワート）はサンフランシスコ市警の刑事だったが、
犯人追跡中に同僚が屋根から転落死したことから、高所恐怖症に陥り、自宅療養していた。
そんな折、学校時代の友人から、「妻の様子がおかしいから、尾行してほしい」と頼まれた。
その友人の妻マデリーン（キム・ノヴァク）は、
精神を病んで自殺した自分の曾祖母の墓や、若い頃の曾祖母の肖像画が飾られている画廊などに立ち寄っていた。
その肖像画の曾祖母とマデリーンの顔かたちだけでなく、髪型や手にした花まで酷似しているのに、驚くジョン。
そしてマデリーンは、ふいにサンフランシスコ湾に身投げ！
それを救出したジョンは、マデリーンを愛し始めていることに気づく。
ところが‥‥ 愛の始まりは、悪夢の始まりだったのだ！

当時２５歳のキム・ノヴァクが、二役を見事に演じている秀作です。
ブルジョア夫人で、上品なスーツがよく似合うブロンドのマデリーンと、
少々蓮っ葉で、どこにでもいそうな女店員のブルネットのジュディ。
同じ女優でこんなにも変わるものかと、目を見張りました。
でも、どちらも妖艶でしたね。
いわゆる正統派の美人ではないけれど、目鼻立ちになんとも言えない色気と妖気を感じさせる女優です。

高所恐怖症を利用したトリックには、思わず唸りましたね。
シナリオが実にうまくできています。
謎が徐々に解けてゆく大団円の盛り上がり方も、拍手！
観客の恐怖感を煽り立てるヒッチコック一流の演出にも、拍手！
米国屈指の港町で坂の街サンフランシスコを、写実的に美しく、そして妖しく撮っているカメラも素晴らしい！
ジェームス･スチュワートとキム･ノヴァクのキスシーンのバックに、
白い波が打ち寄せるサンフランシスコ湾‥‥目を見張るような光景でしたね！
スペイン領時代の古びたカトリック聖堂、煉瓦造りの鐘楼など、
レトロな風景がここかしこに登場するのも、見ものです！

この作品の結末は‥‥映画を観てのお楽しみ！
こわいですよ～～！

★ヒッチコックあれこれ★