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2007.06.14

哀しい再会★「ひまわり」

(6)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

戦争によって、人生を大きく変えられてしまったカップルの悲劇を、
写実的に描いたイタリア映画の傑作‥‥それが、1970年の「ひまわり」です。

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恋に落ち、美しい海と火山の町ナポリで結婚式を挙げたジョヴァンナ（ソフィア・ローレン）とアントニオ（マルチェロ・マストロヤンニ）。
しかし、時は第二次世界大戦中。アントニオも召集令状を受け取り、
精神病を装って病院入りして徴兵を逃れようと試みるが、詐病がバレ、
兵卒として、極寒のソ連の前線に送られた。
アントニオの母とともに、彼の還りを待つジョヴァンナ。
数年後、戦争は終わるが、アントニオは生死不明のまま。
「アントニオはきっと生きているわ‥‥！」
ジョヴァンナはひとり、異国ソ連に旅立ち、モスクワでアントニオを探し始めた。
しかし、そこで彼女が見た光景は‥‥！

モスクワ郊外の原野一面に咲き乱れる、大輪のひまわりの花‥‥
夫を探すジョヴァンナが、そのひまわりの花の群れの中に
疲れきった哀しい目をしてたたずむ姿が、忘れられません。
ひまわりは「情熱の花」とも形容されますが、この映画のひまわりの群れは、
情熱の花とはほど遠い、ひどく哀しく、寂しいものでした。
それでいてひどく美しく、おびただしい黄色い花々が、目に痛かったです。
あの広大なロシアの大地で、アントニオがわりとあっけなく見つかるくだりは、
ちょっとご都合主義かなとも思いましたが、
まあそれは、映画というフィクションの「お約束」なんでしょうね。

戦争によって男女が引き裂かれ、運命を大きく変えられる‥‥
有史以来、数限りなくとりあげられた題材で、
この作品を、「典型的なメロドラマ」と鼻で笑う人もいますが、
その「典型的なメロドラマ」の方程式に則り、
イタリアの２大俳優を起用し、美しい映像やヘンリー･マンシーニの名曲、
練り上げられたシナリオで、格調高い人間ドラマに創り上げたヴィットリオ・デ・シーカ監督の力量に拍手です！
イタリアン・ネオレアリズモの傑作「自転車泥棒」でもそうでしたが、
この作品でも、「悲しみ」が写実的に表現されていました。
アントニオが召集されるまでのくだりに、コミカルなシーンがいくつかあったので、
中盤、終盤の悲劇がなおのこと、ひしひしと観客の心を打つのです。

それにしても戦争って、ほんとに罪深いですね。
戦争によって、ジョヴァンナやアントニオのようなカップルが、何人出たことか‥‥
涙、涙だけではなく、しっかりした人間描写に裏打ちされた傑作映画です‥‥

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最終更新日 2007.06.14 21:50:20
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■コメント

Re:哀しい再会★「ひまわり」(06/14)

hasechan7291 さん

「ひまわり」は私も見ました。名作です・・・。 (2007.06.14 22:01:51)

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Re[1]:哀しい再会★「ひまわり」(06/14)

モイラ2007 さん

hasechan7291さん、こんばんは♪

＞「ひまわり」は私も見ました。名作です・・・。
-----
早々のコメント、ありがとうございます！
あの哀感は、ハリウッド映画では出せませんよね。

(2007.06.14 22:12:10)

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Re:哀しい再会★「ひまわり」(06/14)

沖！さん

たしか、吉田兼好の物語にもこんなのありましたね。
夫が戦争から何年もかけて帰ってくると、妻は既に別の男と・・・

最近モイラさんお勧めの映画を沢山借りてきました。
またレビューを書きますので読みに来て下さいな。

(2007.06.14 22:36:00)

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Re[1]:哀しい再会★「ひまわり」(06/14)

モイラ2007 さん

沖！さん、おはようございます♪

＞同じ物(ひまわりや町の風景）でも、撮る人が違うとこんなに迫力が出るのか!と思いながら昔見ました。

監督が名匠であることは、今さら書くまでもありませんが、
カメラマンも才能ある人ですよね。
あのひまわりが一面に咲いている原野の場面は、圧巻です。

＞たしか、吉田兼好の物語にもこんなのありましたね。

え？それは知りませんでした。吉田兼好にですか‥？

＞最近モイラさんお勧めの映画を沢山借りてきました。
＞またレビューを書きますので読みに来て下さいな。

それはそれは楽しみですねえ。
どんな映画を借りてご覧になられたのか、
今からわくわくです。
(2007.06.15 09:09:15)

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はじめまして♪

lavender80 さん

ご訪問＆書き込み、ありがとうございました。
「ひまわり」は子供の頃TVで見て、号泣した記憶があります。
哀愁漂うメロディに、一面のひまわり畑。
戦争が引き裂いた二人の運命に、胸がいっぱいになりました。

母の若い頃は映画全盛期だったそうで、
「ローマの休日」をはじめ、オードリー・ヘップバーン出演作や
グレース・ケリー、マリリン・モンローなどの映画をロードショーで見て、
「スクリーン」を愛読していたようです。
最近は、よく父とシネコンに老人料金で行っているようで、
年寄りは徳だと喜んでいます（笑） (2007.06.15 17:57:52)

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Re:はじめまして♪(06/14)

モイラ2007 さん

lavender80さん、こんばんは♪

＞ご訪問＆書き込み、ありがとうございました。

いえいえ、どういたしまして。
”Help!”の日記をお読みいただき、ありがとうございます。

＞「ひまわり」は子供の頃TVで見て、号泣した記憶があります。
＞哀愁漂うメロディに、一面のひまわり畑。
＞戦争が引き裂いた二人の運命に、胸がいっぱいになりました。

モイラは高校生の時に名画座で観て、やはり泣きました。

＞母の若い頃は映画全盛期だったそうで、
＞「ローマの休日」をはじめ、オードリー・ヘップバーン出演作や
＞グレース・ケリー、マリリン・モンローなどの映画をロードショーで見て、
＞「スクリーン」を愛読していたようです。

うわ～、亡きモイラの両親と同じですね。
もっとも、父が映画を観るのは仕事がらみも多かったようですが。

＞最近は、よく父とシネコンに老人料金で行っているようで、
＞年寄りは徳だと喜んでいます（笑）
-----
いいご夫婦ですね～、素晴らしい！
仲良く肩寄せ合って、いそいそとシネコンに行かれるご両親様の後姿が、
目に浮かぶようです。
(2007.06.15 20:59:00)

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