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2007.06.16

永遠のジェームス･ディーン！★「エデンの東」

(5)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

1955年9月30日に、愛車ポルシェ550スパイダーと共に散った若きスター・ジェームス・ディーン‥‥

ジェームス・ディーン f/ポスターイレパネフレームセット

主演はわずか３本ながら、その名は世界映画史に永遠に刻まれています。

ザ・コンプリート・ジェームス・ディーン・コレクション〈初回限定生産・9枚組〉

彼の代表作として、真っ先にモイラの頭に浮かぶのが、
アメリカ文学の巨星ジョン・スタインベック原作、名匠エリア・カザン監督の
「エデンの東」 ('55年）です！
旧約聖書のカインとアベルの物語を題材にした原作小説の
後半部分だけを映画化したものですが、
鋭く奥の深い人間描写と、美しい北カリフォルニアの田舎の風景描写、
そして何より、当時無名だったジェームス・ディーンの名演が、多くの映画ファンのハートをとらえた
文句なしの名作でしょう！

第一次世界大戦前の北カリフォルニアの農場‥‥
双子の兄アロンは素直な優等生で父親のお気に入り。
一方、弟のキャル（ディーン）は、どこかひねくれたところがあり、父に愛されていないのではと疑っていた。
父の愛を得ようとして努力しても、いつも裏目に出て、ますますひねくれるキャル‥‥
そんな時、彼は父から死んだと聞かされていた母ケイトが、遠くの街で娼館めいた酒場を経営していることを知った。
自分が兄のようになれないのは、こんな堕落した母の血を受け継いでいるからか‥‥？
悩みながらも、どこかで納得してしまうキャル。
そんな時、父がレタスの冷凍輸送に失敗し、多額の借金を背負ってしまった。
キャルは父の窮地を救うため、母から借りた金で大豆の買占めを行い、
儲けた金を父にプレゼントしようとするのだが‥‥

父の愛を得ようとして、大豆を買占め、
大豆畑に腹ばいになって、芽が出るのを楽しみに見ているジミーの表情‥‥
「これが新人か?!」と感嘆するほど、いい味出していましたね！
アロンを愛し、彼と婚約しながらも、アロンにはない処世術やたくましさを持つキャルに惹かれるエイブラの心の揺れ動きも、うまく描かれていました。
父がレタス輸送に失敗し、失意のどん底の中、息子たちの手前、懸命に笑顔を作り、
アロンはそれを見て、「パパは冷静なんだね」と微笑するけど、
キャルは「兄さんにはパパの気持ちなんかわからないさ‥‥」と、つぶやく場面も印象的でした。
自慢でお気に入りの上の息子が、父の本心を察することができず、
扱いにくい困り者の下の息子が、父の傷心を痛いほど察している‥‥
親子関係のズレ、人間の皮肉というものを、たったこれだけの会話で、えぐり出すように表現できるカザン監督の力量に、舌を巻きました。
父の愛を得ようとしても得られないキャルという、一見不良っぽいけど、とても心優しく、繊細な青年を、
ジミーは本当に上手に演じていましたね。
あの美しいテーマ音楽も、忘れられません‥‥

もし、ジミーがこの名作映画の主役に選ばれなければ、
あんな衝撃的な死に方をしても、今でもその名を語り継がれるようなスターには
おそらくなっていなかったかと思います。
ほとんど無名だったジミーを主役に抜擢したカザン監督の慧眼に、大拍手ですね！

★James Dean Forever!★