三日月の夜にはミルクティーを

三日月の夜にはミルクティーを

2008.08.26
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カテゴリ: 中学生のころ
中学生の頃のある夏の日。

家族で立山登山に行くことになりました。

立山はいわゆる霊山で、昔は女人禁制の山。
ある年齢に達した男の子が、必ず登らなければいけない山だったようです。

雷鳥や高山植物が生息しているので、マイカーは乗り入れ禁止。
途中からバスに乗って、登山口である室堂平へ向かいます。

排気ガスの影響がほとんどないので、空気がとっても透明で気持ちがいい。

本当の自然って、きっとああいうのを言うのでしょうね。

御来光を拝むのが目的だった私たちは、室堂平で一泊。


ところが、頂上へ向かうにつれ、どうも日の出に間に合わなくなる予感。

「あなた、先に行っていいわよ。」

先に行くことを許された私は、ひとりでトットコトと。

ラッキーなことに、途中、登山のフル装備をしている女性ふたりを見つけたので、後を付いていくことにしました。

しばらくは道のようなところを歩いていたのですが、そのうち何故か岩場をよじ登ることに…。

「えっ。こんなところ…大丈夫なの?」

後から来るであろう家族が、こんなところを登れるのだろうかと心配してしまうような、断崖絶壁。
私も気を抜くと、足を滑らせてしまいそうです。

それでもなんとか頂上へ。
残念ながら御来光を拝むことは出来ませんでしたが、眼下に広がる雲海と昇ったばかりの太陽が、それはそれは美しく…。

遅れてきた家族と合流して、今度は一緒に下山することに。



「あれ?…こんなちゃんとした道があるの?」
「は?何言ってんの。この道しかないけど。」
「んん…?」

じゃあ、私が登ってきた道は、いったい何だったの?

もしかしたらあれは、登山道でもなんでもなくて、あの女性たちもよく分かってなかったんじゃないだろうか。






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Last updated  2008.08.26 16:31:30
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