南風一の世界

南風一の世界

2024/02/11
XML
カテゴリ:


  そして何にもない    南風一

昔なら母が紀元節と呼んでいた建国記念日
今年は三連休の中日で
外気はまだ肌寒く風は冬を思わせるが
庭には早々に沈丁花の香りがほんのりと漂っている

午前中は妻と買い物に出かけて
午後からは何も予定がない
外で庵治石を磨くにはちょっと寒いので
庭に面した座敷の日が当たるところで
電気カーペットの上に寝転んだ


義理の兄と一緒に母も手伝いに駆けつけて
引っ越しが終わった後には
引っ越し業者や義兄や母と一緒に
座敷で弁当を頬張った
その日も今日みたいに少し肌寒かった

座敷が庭に面して駐車場も一緒になっていたので
義兄は「今度また引っ越すときには、便利だね」と笑っていた
母の方は息子である私が実家の近くに家を建てなかったから
ちょっと複雑な心境であっただろう

そんな座敷にごろりと寝転がって
サッシ越しに見える空を見上げる


煙のような模様が入った白い雲が現れ
風に吹かれて東へ向かって
押されるように素早く動いていく

私はそうやって空を見上げて
電気カーペットの上に寝転がって

眠る

辺りは静かで
戸外から人の声は聞こえない
妻も二階で昼寝を始めたらしい
何にもしなくても誰からも怒られることがないので
ただ寝転がって眠る

今となっては
何にもない
辺りにも することも
何にもない


「青春17切符+1」3月26日発売。
購入は、

こちらからどうぞ
詩が良かったと思う方は
人気blogランキング





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2024/02/11 05:15:54 PM
コメント(0) | コメントを書く
[詩] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: