中年層の障害者の広場

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2009.08.18
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カテゴリ: 介護ニュース
 介護保険の要介護認定について、厚生労働省は4月に見直したばかりの調査項目の判断基準を、大幅修正することを決めた。

◆ 要約

◇ 認定見直しで要介護度が軽くなる傾向が出たため、10月から基準を大幅修正する。

◇ 相次ぐ修正による混乱の原因は説明不足。厚生労働省は信頼回復を急ぐべきだ。



現場の混乱は厚労省の責任

 「(介護保険が使えない)非該当が倍以上になったことが、今回の見直しの問題点を象徴している」

 要介護認定見直しの影響を検証するため、先月末に開かれた厚労省の検討会。「認知症の人と家族の会」の高見国生代表理事は、4月からの認定で、要介護度が軽くなる人の割合が増えたことを厳しく批判した。

 厚労省が4、5月に要介護認定を申請した約28万人を調べたところ、非該当になった人の割合が2・4%と前年同期(0・9%)の倍以上に増えるなど、軽度者の割合が増加した。「見直しで要介護度が軽くなるのでは」という介護関係者の不安が現実のものとなった形だ。

 当初、「一概に軽度が増えるわけではない」としていた厚労省はこの調査結果を受け、10月から新しい判断基準を導入して、「軽度化」傾向を改める方針だ。

 要介護認定は、介護の必要度を判定するための手続きだ。市町村の調査員が「起きあがり」「食事摂取」などの項目ごとに能力や介助の方法などを調べてコンピューターで分析し、介護認定審査会を経て、要介護度が決定される。

 厚労省は4月に、調査項目数を82から74に減らしたほか、調査の判断基準も調査員の主観が入りにくい形に改めた。その理由として、「調査員ごとに判断のばらつきがある」「要介護度が介護の手間を必ずしも反映していない」ことなどを指摘。だが、見直しにあたっての説明は不十分で、結果として混乱を生じさせた。

 そもそも、見直しに関する検討が始まったのは3年前。調査項目数に関しては早くから公開で議論が行われたが、判断基準については非公開で、変更の影響に関する事前検証も不十分だった。新基準を盛り込んだマニュアルが市町村の調査員の手元に届いたのは昨年末。十分な研修をする時間もなかった。

 また、同省が利用者向けの説明をホームページに掲載したのは、今年3月に入ってから。従来の認定方法に問題があったにせよ、それを前提に生活を成り立たせてきた利用者が不安の声を上げたのは当然だ。

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2009年8月18日 読売新聞



介護現場の混乱を受け、厚労省は3月に判断基準の一部を修正、4月には、利用者が希望すれば従来の要介護度を維持できる「経過措置」も導入した。

これについては、「希望通りに要介護度が決まるのなら、何のための認定制度か」との批判の声が相次いだ。

10月からの新基準では、74ある調査項目中、43項目の判断基準が変更される。例えば「薬の内服」や「洗顔」。現在は、実際に行われている介助に基づき、「全介助」「一部介助」「介助されていない」から選ぶが、「介護者から必要な介助を受けていない場合は軽く判定されてしまう」との指摘があったため、介護者が本来、必要な介助を行った場合を記載して軽くならないようにする。

厚労省は自治体を通じて、調査員への新基準の研修を徹底させ、批判が強かった経過措置についても同時に廃止する方針だ。

税と保険料で成り立つ介護保険制度では、公平性の担保が何よりも重要だ。その点で、4月に認定を見直したこと自体は理解できる。しかし、制度の根幹にかかわる見直しであったにもかかわらず、説明不足が度重なる修正を招き、制度への信頼を損なってしまった。

その点で厚労省の責任は大きい。見直しに関する検証を続けるとともに、信頼回復を急ぐべきだ。





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最終更新日  2009.08.18 14:59:45
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