トヨタ自動車が9日、ハイブリッド車(HV)「プリウス」を全面刷新し発売した。大型人気商品の生産は先月末から始まっており、中部地方のサプライヤーや販売店は立ち上げに向けて入念な準備を進めてきた。新型プリウスは新たなクルマ作りの手法「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」の第1弾でもある。新規の投資や生産態勢の整備に苦闘する各社の現状を追った。
「人が足りない。期間従業員は採用できず、日系ブラジル人などの派遣社員や外国人研修生制度を活用してなんとか生産ラインを回している状況だ」。愛知県の西三河地区のある1次サプライヤー幹部は明かす。
新型プリウスの生産がいま、愛知県全体に人手不足感を引き起こしている。
1次サプライヤーが集積する刈谷市に事業所を持つ労働者派遣会社は、「プリウス生産の事前準備で9月頃から引き合いが急増した」と話す。部品各社は事務員を生産ラインに送って生産を確保し、事務系を派遣に頼る構図だという。だが派遣会社によると、こうした事務系人材さえも今は足りない状況だ。愛知県の直近の有効求人倍率は1.55倍と全国平均を0.3ポイント上回る。
トヨタがサプライヤー各社に示したプリウスの生産計画によると、2016年1~3月は月4万台規模と、近年にないボリュームの生産が続く見通し。トヨタは立ち上げに際し、6カ月に及ぶ長期間の高稼働や全社的な要員確保という特別な稼働体制で臨む。「過去に例を見ない異例のケースだ」。今夏に開かれた労使協議では、高水準の生産や職場への負担増を懸念する声が労働組合側から上がった。
現在プリウスを生産する堤工場(同県豊田市)では、59秒に1台完成する速度でラインが進む。トヨタでは各工場の応援に加え、2年目の社員を生産ラインに投入するなどして対応している。
部品各社もこうした生産サイクルに対応する必要があり、「2時間の残業は織り込み済み。場合によっては土曜日や日曜日も返上して対応している」(サプライヤー幹部)。生産開始前には各社にトヨタの調達部門の幹部が足しげく訪れ、欠品を起こさないよう何度も生産ラインを見学したという。
プリウスがこれまでのトヨタ車と大きく異なるのは、TNGAと呼ばれる生産手法を導入した第1号車種という点だ。
サイズごとの車台の統一、部品や設計の共通化などを進め、浮いたコストを製品力強化に惜しみなく投じる。熱を鋼板に加えることで強度を高めるホットスタンプなどの製法を取り込んだ。一部ではこうした新技術による歩留まりを懸念する声があるものの、全体の生産に影響を与えるほどにはなっていない。
新型プリウスの生産に向けた各社の設備投資で、大きな影響を受けている分野がある。部品生産に不可欠な金型だ。新規部品の多いTNGA車の生産のため、金型メーカーに各サプライヤーからの発注が相次ぐ。
今後「カムリ」や「カローラ」などTNGAモデル車種の投入は目白押し。すでに県内の金型メーカーだけでは注文をさばききれず、あるサプライヤーは「関東の金型メーカーに初めて発注した」と話す。
新型プリウスを生産するのは愛知県内の工場だけ。月4万台という大規模な生産はトヨタのみならず、中部地区の各部品メーカーの対応力を示す場となっており、少なからず課題も浮上した。今後も国内での生産を進めていく中で、人口減少や高齢化の進展、中小メーカーの廃業などの逆風を克服し、安定した生産態勢が確保できるかが改めて問われている。
出典:
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO95269930X11C15A2L91000/
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