クルマに革命をもたらすといわれる自動運転の分野で、世界の自動車大手が競うように異業種との提携を加速させている。背景には、「頭脳」に当たる制御ソフトで米 グーグル に主導権を握られれば、車体を提供するだけの「下請け」になりかねない、との危機感がある。
透明の壁に仕切られた3メートル四方のスペース。最初はぶつかり合って走っていた6台の小さな プリウス の模型が、1時間後には整然と走り始める――。米国で開催中の家電見本市 「CES」 で、 トヨタ自動車 が展示した自動運転のデモンストレーションだ。
賢くなっていくのは、内蔵の 人工知能 (AI)がぶつかった失敗を学び、互いに通信して共有していくからだ。トヨタは昨年末に出資した東大発のITベンチャー、プリファード・ネットワークス(PFN)の技術を活用。市販車への応用も探る。
独アウディが展示した 試作車 は、車を降りたドライバーがリモコンを操作すると自動で駐車したり、渋滞時の運転を代わってくれたりする。自動運転に欠かせない精密なデジタル地図情報を手に入れるため、BMW、ダイムラーと共同で地図会社を昨年買収した。
米 ゼネラル・モーターズ (GM)は5日、車載カメラ関連の技術をもつ イスラエル のモービルアイとの提携を発表。各社が異業種との提携を次々と打ち出している。
「今後10年間の自動車業界の変化は、過去50年の変化より大きくなることに疑いはない」。GMのメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)はCESでこう断言した。これまで燃費や加速力といった基本性能でしのぎを削ってきたが、今後は自動運転の技術が商品力を左右する時代になると考えるからだ。
この分野にはIT業界の巨人、 グーグル が虎視眈々(こしたんたん)と参入をねらう。運転手がいらない完全自動運転の 試作車 は、地球60周分にあたる約240万キロを超える試験走行を重ねた。
自動車大手には、 スマートフォン の「 アンドロイド 」のように グーグル に業界標準のソフト技術を握られると、それに合わせて車をつくるだけの存在になりかねないという危機感がある。米紙によると、独ダイムラーのディーター・ツェッチェCEOは昨秋、こう述べた。「重要なのは車の頭脳を他社製にしないことだ。我々は組み立てメーカーになるつもりはない」
■実現時期、見通せず
運転をクルマ任せにできる時代はいつ来るのか――。 グーグル は2020年までに完全自動運転車の市販をめざす構えだ。これに対し、CESで目標時期を明らかにした自動車大手は、「30年」とする韓国の現代(ヒュンダイ)グループ2社にとどまった。
日産自動車 の カルロス・ゴーン 社長は7日、提携する仏ルノーとともに自動運転車を20年までに10車種以上投入すると発表したが、これは信号機がある幹線道路などの限定だ。
今の自動運転技術では、デジタル地図がない場所や災害があった道などは、安全に走れない。 グーグル のおひざ元の米カリフォルニア州ですら、自動運転車にも運転免許を持つドライバーの搭乗を義務づける規制案を昨年末に発表した。
こうしたハードルを乗り越えるには、AIの飛躍的な進歩が必要とされる。トヨタが米国に新設したAI研究会社のトップ、ギル・プラット氏は、こう予想した。「20年までには誰も完成させられないだろう」トヨタ世界販売、過去最高 ホンダ、日産… April 28, 2026
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