厳しかったK先生が、仏さんのように変身したのは、その後の永い教員生活の中にあったようである。多くを語らなかったK先生だが、最後は有名校の校長まで勤められたのだから大したものである。
私の手を更に強く握り締め直した男がいる。
「分かるか?俺だ!」
「分かるはずがないではないか?」そう心でつぶやきながら、眼の奥を見つめた瞬間出てきた言葉に、自分が驚いた。
「A君だ!」少しうわずってかすれた声だ。
「ウムウム・・・」相手は更に強く手を握り締めてきた。
眼が笑い、その表面がかすかに潤んでいる。
次に手を取った男は、「久しぶり!分かる?」
そこには私より10センチほど背が高く、鼻筋が通り、洒落た眼鏡をかけたインテリ風の紳士が立っている。
当惑した私の顔を察してか 「昔チャボといわれていました?」
「エエ-チャボ?」・・。 チャボとは小型のニワトリの事か?・・ わからん??
「私の特徴は鼻に傷が・・・」そういった瞬間、見覚えのある鼻の傷で玉手箱の電灯のスイッチが入った。
当時の木造のクラス風景が脳裏に広がり、そこに背が小さく、一番前に席があり、キョロキョロ、ウロウロしてい奴がいる。
「M君だろ!」
M君は両手で私の手を握りなおしてきた。
「50年ぶりだな!」声も全然変わっている。
それから次々と玉手箱は開かれ、あっという間に1時間は経過していた。
「さあ皆さん宴会場へ行きましょう!」
幹事のO君は立ち上がり、宴会の行われる場所を説明した。
久しぶりに見るO君の高潮した横顔も昔のままである。
(つづく)
季節を味わう旅(23) 2009年08月28日
季節を味わう旅(23) 2009年08月17日
季節を味わう旅(22) 2009年08月08日
PR
カレンダー
カテゴリ
コメント新着