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2008/01/25
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カテゴリ: カテゴリ未分類

人生に一本の薔薇を
長田弘


 小さな町に生まれた。
 古い大きな家に育った。
 偏屈だった。
 友人はいない。

 生涯どこへもゆかなかった。
 おそろしく単純な人生だった。
 独身で、髪は短くつめて、
 教会の窓ガラスに描かれている天使に似て、
 どこか悲劇的で、澄みきっていて、
 「かわいそうな人」と
 みんなは噂したけれども、
 彼女は気にもしなかったのではないか。
 どんなときも昂然としていて、
 近づきがたくつむじまがりだったが、
 一度だけ町の薬屋にでかけていき、

 薬屋の目をまっすぐに見すえて言い、
 それきり、何もいわずに、
 頭蓋骨と大腿骨を組みあわせた印のある
 薬を一箱、手にして帰っていった。
 「自殺するつもりなんだ」と

 彼女は自殺なんかしなかった。
 そのまま世代から世代へと世を過ごして、
 何事もないかのごとく歳をかさねて、
 鉄灰色の髪の老いた少女のように、
 或る日、静かに死んだ。
 一本の薔薇を。ー
 人生のぞむべきはそれだけである。


 ☆本屋で「本の時間」という小冊子を開いたら、この詩があった。
  一読むねをうたれた。
  人生には一本の薔薇で十分だ。いや一本の薔薇がなくとも、
  人生は生きるかちがある。 





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Last updated  2008/01/25 06:22:06 PM


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