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雨が降って、急に寒くなった。あちこち刈り残された田圃の稲が晴れるのを待っている。
田圃を隔てる畦は、今はコンクリート。畦が土であったころには、真っ赤に彼岸花が咲いていたのだが。
彼岸花が咲いていないことはない。それは、堤防の片隅に小さく一群隠れていたりする。
彼岸花は、マンジュシャゲとか葬式花とかそうれん花とか、いろいろに言われた。球根には毒があるともいわれたが、大切な救荒食物であるとも聞いた。球根をさらして毒を抜いて食べたといもいう。
かつての農林省があれこれと政策を進めるたびに、農村は荒れ、衰退していった。コンクリートの畦と彼岸花の不在はそのひとつの証明である。
農村は戦後復興のなかで利用されるだけ利用されて見捨てられた。
しとしとと降る雨の中で、かつて一面に真っ赤に彼岸花が咲いていた頃の村の姿を想った。