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白川静氏の『漢字』を読んだ。以前読んだ『孔子伝』なども眼からウロコ、つぎつぎと開けていく新しい世界をわくわくしながら読んだものだが、この本もさすが白川氏の著作、期待を裏切らなかった。漢字自体の研究、解釈にそくしながら、古代中国のひとびとの生活と思想が精細に論じてあった。
本の始めから終わりまで興味はつきないが、その中から二つだけ、紹介しよう。
・「学生運動は、もっと古い時代からあった。春秋のとき、鄭(てい)の郷校の学生がさかんに国政を批判し、騒ぎは収まらず、郷校は閉鎖されようとした。このとき子産は、言論の自由を抑止するのは、河水をふさぐのと同様に危険であると警告して、閉鎖に反対し、これを阻止した。紀元前542年のことである。」
・「征服者は、その征服した土地から、賦税を征取した。それを政という。それを司るものが、正であった。征取の権利は、征服者としてはきわめて正当なものであるとされた。ゆえにそれはまた、正義の意となる。正義とは、おおむね支配者の論理である。」
…紀元前542年の学生騒動とは。60年代末期に日本を含めて西欧諸国などで起こった。学生騒動を連想したり、中国の長い歴史の中の民衆の抵抗の伝統などを連想したりした。
…正義とはおおむね支配者の論理であるという言葉も至言だと思う。この言葉から、イスラエルが国連決議を無視してガザ侵略を続け、人々を殺し、傷つけ続けていることを連想した。イスラエルはある意味、パレスチナに対する支配者的位置にある。ガザの人びとを殺傷する時、彼らは支配者の論理としての正義を唱えているに違いない。
…甲骨、金文の文字から紀元前の世界がいきいきとよみがえる。その世界は決して今と無縁なものではないから、興味はつきないのである。
…化粧は神につかえるときにのみ用いられ、仮面の意味をもっていたとか、清の時代まで使われていたという残酷な処刑の話とか細部にも興味が尽きない。なお、そのひとつ、凌遅(りょうち)の刑については、現代中国を代表する清末西太后の頃の話として作家莫言の『白檀の刑』になまなましく描写されている。
(注)ワープロにない漢字を「かな」に直した部分がある。
【メモ】
★先ほど見たニュース…今日もイスラエルは国連決議も無視して殺戮を続けている。死者777人ということだが、死者も負傷者ももっともっと多いことであろう。家もなにもかもが破壊されていることであろう。
★国会では、総理は給付金を受け取るのかなどというやりとりをしている。論議をつくすべきことは、対策を急ぐべきことは多いのに。