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後回しにしていた出張が溜まっていて、今週の高速バス移動は合計2500キロ程になりそう。それでも出張で高速バスを選べるようになった点に、修羅場の1年が終わったことを実感。本音を言うと「移行組」各社の運用(特に乗車オペレーション)が心配なのだが、もう高速ツアーバス連絡協議会も解散するし、これ以上立ち入る義務はない。前にも書いたように8月1日の夜に鍛冶橋の現場を走り回らせてもらったのを「記念」として、個別の契約がある一部の会社を除き、私はもう、「移行組」各社とは無関係なのだ。とはいえ友人たち(おおむね「既存組」のバス事業者か、愛好家。そしてなぜか?愛好家というのは「既存組」のことは詳しいが旧・高速ツアーバスのことは詳しくない)からの質問で多いのは乗車オペレーションについてだ。乗合化するということで、どうも「既存組」の「座席指定制」のオペレーションを採用すると考えていた面々が少なくなさそうだ。しかし実際には「移行組」のほとんどが、高速ツアーバス時代と変わらないオペレーションを行なっている。ちなみにけっこうな数の「移行組」を受け入れたYCATなど、羽田線や県内高速バスなどの「定員制」、成田線などの「予約定員制」、西武バスなど「既存組」高速乗合バスの「座席指定制」に加え、「移行組」各社は従来通り「チェックイン型」を採用しており、さらにそのチェックイン型には「完全予約制」で申請した会社とそうでない会社が混在しているという複雑さ。しかし現場は多少のバタバタはあれど回っている。新宿地区なども、停留所名称こそ「高速バス西新宿」で統一されているが(ちなみに私の命名)、各社が用意した待合施設で必ず事前チェックインをする必要があり、ウェブ画面や予約確認メールなどでは停留所および発車時刻ではなく、待合施設の場所と集合時刻が案内されている。ここがどうも、「既存組」の運用に慣れている面々には不思議に映るらしい。この「既存組」高速乗合バスの運用(以下:乗合型)と、旧・高速ツアーバスの運用(以下:ツアー型)の差が生まれた背景はシンプルで、前者が鉄道(というかマルス)の考え方をベースにしているのに対し、後者が航空やホテル、さらには旅行業界の考え方を元にしている、というだけの話。蛇足ながら法制度上は特に運用方法について制約はなく(当たり前か)、どちらの運用が自社の商品や販路構成と合っているか、という点で選べばいい。余談だが、共同運行化する前の中央高速バス富士五湖線は、富士急便のJTB発券分のみがチェックイン型だったのは懐かしい思い出。ポイントは、「座席をいつアサインするか」という点に尽きる。乗合型が、予約時点で座席番号まで決定する(乗客に伝えるかどうかは別。きわめて例外的に一度決めた座席を事業者都合で変更するケースもあるが、その場合も必ず代替の座席を確保する)のに対し、ツアー型は、座席定員まで予約を受け付け、出発直前に事業者側が全予約をまとめてアサインするという違い。それぞれにメリットとデメリットがある。ツアー型の長所は、座席アサインが合理的にできること。乗合型のように虫食いに席が埋まることはなく、遅く予約したグループ客が離れ離れになることはない。窓側などの希望も(よほど希望が集中しない限り)反映できる。女性客は後方、男性客は前方にアサインする「女性安心」マークを「移行組」各社がそれこそ「安心」してウェブ上で表記できるのもこの運用だからだ。乗下車場所ごとに号車を分け、配車を合理化することも容易だ。さらに、それを上回る長所が販売面。旅行業界は(JTBなど「総合大手」を除き)商品を企画するホールセラーと、店舗を構え複数のホールセラーの商品を代売するリテーラーとに分かれるが、リテーラーに販売を委託する際の運用は簡単な方が喜ばれる。ツアー型だといちいち電話等で号車・座席番号のやり取りをする必要がないのだ。「移行組」の高速バスには、TDRなどテーマパークを組み込んだパッケージの一部として組み込まれている例が多いから、簡単には乗合型には変えられないだろう(TDRについては、「既存組」の長距離高速バスはあまりうまくいかなかったが、運用がツアー型であったならば歴史は変わっていたかも知れない。もちろんそれ以外の要素も大きいけれど)。したがって乗客は自らの号車・座席番号を知らぬまま乗り場に集まるので、必ずチェックイン作業が必要な点が短所。チェックインが必要な以上、乗客は早めに集合場所に集まる。これが「集合場所でのタムロ」問題につながる。<「既存組」にも路上の高速バス停があるじゃないか?>という指摘もあるが、コンビニや飲食店で適当に時間をつぶして直前に集合する乗客が多い「既存組」とはここが異なるのだ。今回の待合施設設置の件は、本質的には待合そのものよりも「集合」と「乗車」を分離する意味の方が大きい。そこまでしても(また、チェックイン要員のコストをかけても)、夜行路線に関してはツアー型の方が合理的な面は多いなと私は感じている。だから、制度上乗合化したという理由で運用も乗合型に変える会社はほとんどないだろう(続行便を出しづらい状況では若干流れは変わるかもしれないが)。もっとも象徴的なのが神姫バスだ。姫路・神戸~新宿線の「既存」の高速乗合バス「プリンセスロード」の基幹システムは発車オーライネット(持ち席管理でSRSも使用)で運用は乗合型。一方で今回の件で乗合化した神姫観光バス運行の「ハートライナー」の基幹システムはドリームジャーニーで、当然運用はツアー型(神姫バスの高速バス予約センターで、プリンセスロードが満席の日などハートライナーの案内をしたりしてるのかなあ)。ただ、そんな「差」を冷静に見つめ、お互いに学べなければ進歩もない。「異文化」を重ね合わせ、オペレーションの進化や、システム開発のアイデアという面で業界を前に進めることこそ、私が業界のお手伝いできる最大の役割に違いない。
2013.08.08
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昨日、高速ツアーバス連絡協議会の年次総会を1ヶ月遅れで開催し、8月末の解散を決議した。本来ならば、万歳三唱?したり、メディアを招いて派手に伝えてもらったりすべきところかも知れないが、関越道事故と、事故以降の論調を踏まえ粛々と終わらせた。それでも、国土交通省と日本バス協会から幹部の皆様に来賓としてご臨席いただき、懇親会も盛り上がった。高速ツアーバス業態の成長も、同協議会の設立も、そして事故後の修羅場を乗り越え無事に移行完了できたのも多くの関係者のご協力の賜物であり、まずは深く感謝。組織としての解散自体はともかく(これにも、業態がなくなったんだから即解散という考えと、少なくとも各社の事業が安定するまでしばらくは残すべき、という考えがあるが)、今般の制度改正について、突き詰めて考え抜けば様々な思いが、私自身にはある。まず高速ツアーバス連絡協議会としては、「あり方検討会(旧)」冒頭の意見表明(2011年1月)において、<安全性・公平性を担保しつつ、柔軟な営業を可能とし、高速バス市場の最大化を支援する「新制度」を時間をかけてでも構築する>ことがゴールだと表明している。公平性とは「停留所の権利へのイコールアクセス」であり、柔軟な営業とは「レベニューマネジメントなど今日的なマーケティング手法」を指す。その点、今回の制度改正は、その両面において(若干の不足点はあるものの)協議会の意向が実現したと言える。もっとも同発表を私は、<IT化など消費環境の変化、現制度の限界を踏まえ、短期的、長期的両面のアプローチで制度の最適化を目指す「ロードマップ」を作成し、期限を決めて「新制度」の構築を目指してはどうか>とまとめており、もう少し長期的に物事を考えていたと、今振り返ればそうわかる。そしてあの資料を作り発表した際、組織の意向としてはそれ以外の選択肢はないと納得しつつ、私個人としては複雑な思いが拭えなかった。一本化を進める役回りをなんとか務め終わった今でも、複雑な思いは消えたわけではない。ひとつには、国の制度のあり方の話。高速ツアーバスは規制が甘いとよく言われるが、実際には旅行業法における消費者との契約に関する規制も、道路運送法における貸切バスの運行に関する規制も、特に後者の方は決して甘い内容ではない(乗合バスよりも貸切バスの方が危険であっていいわけではない)。だが、それを守っていないヤツがいる、つまり問題点は規制の「実効性」にあるのだ。だからといって事業モデル自体を禁止するというのは、どう考えても理屈に合わない。もっともその点は、議論の中で名古屋大・加藤先生が、<高速ツアーバスという事業モデルには、法令遵守意識の低い貸切バス事業者が運行にかかわりやすい「リスクを内在」している>と述べられ、これは非常によく考え抜かれた発言であったので、これを機に、一本化という結論へ向け急速に議論が収斂し始めた。「理屈」の方はそれで片付いたのだが、もう一つの観点は、業界のために本当にプラスになる結論かどうかという点である。「あり方検」では(私は「ツアーバス側」で参加していたわけだが)、「既存側」から集合場所問題が持ち出されるたびに、<では停留所の権利の開放を>と、オウム返しを続けた。「戦略」としては、<では一般的な貸切バス、特に観光バスツアーや、幼稚園などの通園通学バスの路上乗降は問題ないのか?>と返す手法もないではなかったが、ここは停留所の権利一本にしぼった。停留所の権利という話は、間違いなく「既存側」のアキレス腱であった。結局、ご存じのとおり、高速ツアーバス各社の移行に際し国土交通省が停留所の確保を「支援する」ということで決着した。結果としては「ツアー側」は停留所を確保し安定感を持って事業を継続でき、「既存側」は高速ツアーバス各社を従来よりおおむね不利な乗降場所に追い込むことができた。「あり方検」当時から描いていた構図がほぼそのまま実現したわけだ。しいて言えば、事故の影響とそれを受けた移行期限短縮の結果、「ツアー側」の状況(特に停留所と管理受委託制度の詳細)が想定よりは不利な条件にはなってしまったが。問題は、この結果が業界に何をもたらすのかという点だ。短期的には、続行便設定の難しさなどから繁忙期を中心に「ツアー側」は事業規模の縮小を余儀なくされる。もっともそれは高速ツアーバスの6割を占める大都市間3路線において影響はあるものの、地方路線が98%を占める「既存側」にとっては大したメリットはない。ただし「既存側」の本丸たる地方向け、短中距離路線においてもやがて本格的な競争が始まり得るリスクを「既存側」が明確に認識するきっかけになれば、中期的には業界の再成長を呼び込むと私は見ている。ではその先はどうなるのか? 高速ツアーバス業態(募集型企画旅行)は短・中距離路線に不向きだと何度も書いてきたものの、それでも福岡~宮崎や大阪~徳島などでは「ツアー側」が一定の存在感を勝ち取ってきた。そして高速ツアーバス業態には参入障壁はない。旅行業免許や貸切バス事業許可は要件さえ満たせば取得できる(繰り返すが、残念ながらその要件を守っていないヤツがいたことが問題なのだ)。一方、今月以降、高速バス市場に参入を望む者は、すべからく、停留所の権利という見えない壁を乗り越えなければスタートラインにも立てない。業界の顔ぶれが、2013年8月1日時点で事実上固定されたことになる。そのことが、長期的に見て業界の活力を奪ってしまわないか、私には不安である(ちなみにこの「停留所の権利」に関して、以前ご紹介した大分交通・蛯谷さん達の論文が、運輸政策研究機構のサイトで読めるようになったのでご確認されたい)。この問題は、今回の制度改正に関わった者の責任として、いつも念頭に置いて仕事を進めていきたい。さて話は変わるが、連絡協議会が無事に解散することで、個別に契約をいただいている一部の会社を除くと、私はもう「移行組」各社とは無関係になる。本音を言うと、私にとって「同志的」感情を共有するのは「既存組(の中の、改革派)」の人たちであり、旧・高速ツアーバス各社の多くとはしょせん「仕事上の関係」という意識であった。しかし今回、移行期間が1年に短縮されるという修羅場を経験し、特に停留所調整やその後の段取りを主体的に担当したメンバー達とは初めて「仲間意識」が芽生えたのも事実である。いつだって、どんな背景があれど、戦友は貴重な存在である。今後はむしろ私は「既存組」のブレインとして彼らとは競合先として向き合う機会の方が多いだろうが、バイタリティ溢れた彼らが再び業界を引っ掻き回してくれることを、恐れと期待を込めて心から祈っている。
2013.08.06
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皆様もよくご存じの通り、7月31日から8月2日にかけて、高速ツアーバス各社の高速乗合バス業態への移行が完了しました。さまざまな理由で移行を断念した会社が数社ある以外は、希望した全社が移行することができました(「受託」側の事業者数の減少をもって「撤退」と伝えるメディアがありますが、間違いではないものの本質としては「希望全社が移行完了」でいいと思います)楽天に転職して、当時はまだ「ひよっこ」だった高速ツアーバスにたずさわり始めてから7年、事務局長として高速ツアーバス連絡協議会の設立にかかわってから5年、そして「バス事業のあり方検討会」さらには例の関越道事故を経て、全社移行までお手伝いしてきました。7月31日は放送局を4局ハシゴという一生に一度しかないであろう1日を過ごし、夜は新宿での国交省視察に立合い。8月1日は、同じくテレビ出演の後、まだオペレーションが安定しない東京駅の乗り場(鍛冶橋駐車場)に呼ばれ現場のインチャージをやりましたので、感慨にふけるような時間はなく、本日ようやく「終わった」ことを実感しているところです(それにしても、「西口」バイト時代にも経験がない8バースの運用を、大声を出し走り回ってインチャージを務めさせてもらった2時間は非常に非常に楽しく、なんとか無事に移行完了へ導けたご褒美は、この2時間だったかもしれません)。まずは、関係した多くの皆様に心からお礼を申し上げます。いろいろな方々のいろいろなご決断があって、バス業界の歴史が動いたと思います。また、(正直なところレベルはさまざまながら)なんとか移行を完了させた旧・高速ツアーバス各社にも、心からねぎらいの言葉を送りたいと思います。もちろん、後者についてはこれで終わりではありませんから、引き続き全力でがんばってもらいます(とはいえ、高速ツアーバス連絡協議会は8月末で解散予定ですから、コンサルティング契約をいただいている一部の会社以外は、私とは無関係になります)。これでよかったのかどうかは、歴史に決めてもらうしかありません。また、31日、1日に出演した番組のうち、確認できたものを備忘録的に挙げておきます。【7月31日】・TBS系『ひるおび!』※スタジオ生出演・TBSラジオ『荒川強啓 デイ・キャッチ!』※スタジオ出演・TBS系『NEWS 23』【8月1日】・テレビ朝日系『やじうまテレビ』・フジテレビ系『とくダネ!』・TBSニュースバード(CS)『ニュースの論点』※スタジオ生出演これ以外についても、多くの番組のご取材のお手伝いをさせていただきました。最後に、既に皆様からのご質問を多くいただいております。新宿の乗車フロー(待合施設と停留所の関係)、乗合化してもなぜチェックイン業務が必要なのか、運賃制度、完全予約制の話、「西口(京王新宿高速バスターミナル)」に海部観光が乗り入れている件、神姫観光バスの「ハートライナー」の件、などなどです。なるだけ早く、(書けることについては)このブログでお答えしていきたいと考えています。しかし制度がどう変わっても、あの事故をことを忘れることはできません。一方、業界が成長することも非常に大切なことです。さまざまな面で、私の役割を着実に務めていこうと考えています。引き続きよろしくお願いいたします。
2013.08.04
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