Laub🍃

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2011.03.02
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カテゴリ: .1次長
「これからどうしようとかかんがえてもきまらないよ。
いつもいつもたのしいことばかりしてればいいだろ?」

そう言ってる父ちゃんをずっと見下してた。

だからずっと頑張って来た。やりたいことも我慢して、友達に馬鹿にされても頑張り続けた。
弟も頑張り屋だったから、一緒に励まし合ってやってきた。

そんな奴は、励まし合わずとも本能で歩める道を、楽しみを知るべきじゃない。

耐性がないから、全てに溺れてしまうんだ。
頑張り過ぎてぶっ倒れて、気付けば異世界に居た。
そんな奴は何人かこの世界に居るらしく、俺は奴らと一緒にはじめ頑張っていた。

新しい仕事は、案外楽しくて。
そんな世界で生きている自分も好きだった。

……博打にはまるまでは、そうやって自分の好きな自分で居られた。

あの日に戻れるのなら、戻りたい。

博打は悪魔の考えだした遊びだ。
俺や弟のようなタイプは、知らない場所に出張で行って時間のある時に辺りを散策するぐらいのローリスクローリターンの遊びが合っている。

どうしてこんなことになってしまったんだろう

博打に勝った日はいい。
だけど、負けた時に手の震えを誤魔化す時、一人で耐えていた俺にその道の先輩はあろうことか安酒と女の乳を教えてくれやがった。

物語の世界に没頭して現実を捨てる人とそう変わりない。うちの母の話だけど。

綺麗な世界で浮いていればいいのなら、がむしゃらに頑張る自分の成果が表れない世界に心が行くのなら、頑張る意味なんてない。


そうしてますます現実を捨てたくなるのだ。愚かなことに。

気付けば触っている女が変わっていた。
気付けば過去と未来が分からなくなっていた。
気付けば俺は立っている時がなくなっていた。

異能の空を駆ける力は、ただふわふわと漂うだけのそれになっていた。



娘を見ている時だけは、娘を見上げている時だけは、少しだけ嫌いな自分を忘れられる。
だから今日も俺は言う。

「お前は自由に駆けろ」

「どこに行ってもいい、ただし夢にも、悪い夢にも、絶対に溺れるな」

俺たちみたいな屑に、足を取られることなく。

ただ夢を、見せてくれ。
悪夢の中で溺れ死ぬ時、お前が目の前で駆けていたら……それを笑って見送る俺自身を、好きになれるから。

to be continued... ?





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最終更新日  2017.04.30 00:32:26
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