Laub🍃

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2011.07.02
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カテゴリ: 🌾7種2次裏
要さんが幽霊になった。

曰く死神として働くには何年かかかるらしい。


もう二度と会わないと思ったのに、今日も俺にしか見えない要さんは近くに居る。
幽霊とやらが存在するなら、茂に会いたかった。


「安居、気をつけろ」
「!」


要さんに俺は話しかけない。
訊いてもだめになるだけだ。
要さんも俺に話しかけない。





「……ありがとうございます」
「……」


そんな時のこの人は少しだけ、昔の要先輩を彷彿とさせる。


この人も色々間違ったけど、人類に尽くそうと思ったんだろうな。
俺達の存在が数十億の中で小さかっただけで。


俺達が産まれた世界はあまりに終わりに近くて、
その中でも施設はあまりに終わりのために作られていた。


幽霊として残る手段があったのなら、皆そうやって無理に命を繋がなくてよかったのか。


考えても答えは出ない。


幽霊の要さんはたまに寝る。
幽霊も眠くなるんだなとどうでもいいことを考える。

寝ている要さんは少し幼く見えて、つい手を伸ばした。

指はすり抜けてどこにも届かなかった。


今も昔も、届かない。




唯一届いたのは、あの殺し合いになった時くらいかもしれない。

ーだから、要さんはオレには見えるのか。







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最終更新日  2017.05.23 10:38:27
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