Laub🍃

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2011.10.12
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カテゴリ: 💫復活裏
 失敗した、と思うのはこれで何度目だろうか。

「てめえ…勝ったのなら勝ったらしい態度取れドカス……」
「え、だって…」
「この俺にまがりなりにも指示出すというのなら、そうやってオドオドしてんじゃねえ。そんな風だから舐められてるんじゃねえのか」

 そうやって、ザンザスは家を出て行ってしまった。俺の制止なんて、聞く耳持たず。あたりにはザンザスが勢い任せに放った攻撃でぼろくなった部屋の様子。

 俺が行ってもきっと、悪化させるだけなんだろう。そう思ってヴァリアーに連絡しようとしたけど、その前にベルがやってきた。

「あー、ツナヨシ!またボスがわがままいったー?しょうがないよねーほんとうちのボスは。シシッ」
「……だ、大丈夫だけど…ザンザスは大丈夫なの?」
「スクアーロとルッスが今向かってるから大丈夫大丈夫。ま、いつものことだし、気にしなくていーんじゃね?あ、これ、9代目から。修理費に充てといてって。貧乏人は大変だねー」

「じゃあ俺はまた殺し屋お掃除してくっかな♪」
「あ、あのさ、ザンザスにごめんって伝言……行っちゃった」

 嵐と霧の守護者はそれこそ嵐と霧のように去って行った。

「……気にしなくていい、か…」

 本当は、気にしたいんだけどな。媚びるとかそういうわけじゃないけど、ザンザスと、お互いある程度尊重できないものか。長い付き合いになるのだから、このままじゃ駄目だろう。

 ヴァリアーは確かに、ザンザスのことをよく知っている。だから俺は彼らと同じ場所には、あれだけ近くには、けして行けない。けれど裏表の関係として、補いたいし把握したい。

 ザンザスはきっと小さな暴君だ。手段こそ選ばなかったが、彼が拘っている目的はテレビの悪役よりも、小さくて希望に満ちた純粋なものなのだろう。

 沢山の妥協に塗れ、小狡くなってしまった俺はそれを既知のものとして、手のひらに包んでみたいと思うのだ。





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最終更新日  2016.09.09 14:45:57
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