Laub🍃

Laub🍃

2012.10.07
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カテゴリ: 🌾7種2次裏
こんなにも弱い僕を、安居は頼りにしてくれていた。

弱いと思われて、こづかれたり、それから守られたりするのは慣れていた。
だからこの視点は新しく知る視点で、憧れてはいたもののいざなってみると緊張してどうしようもなく途切れかけた鼓動と意識を高鳴らせるものだった。


弱くて、自分で何かを選ぶことに自信を持てない僕の選んだ岩の跡を、そっくり伝って、殆ど同じ動きで安居は登って来る。

それがどうしようもなく嬉しかった。

もう、諦めない。

もう戻れない。

もう帰れない。

もう逃げれない。



さあ早く行け、僕。

導くんだ。

勇敢に、昨日の夢を捨てて、望みを削って、最後に残ったたった一つに全部を託すんだ。

後のことは、まだ考えない。






身体が、途中で沢山のかつて落とした夢たちを追い越す度に記憶のトランクが弾ける。
捨ててきた沢山のものを取り戻すかのように。

これは多分走馬燈というものだろう。
映像が、言葉がどんどん上へ吸い込まれていく。いや、僕が落ちているのか。

そうだ、これらをこれからは守ろう。

そうすることはとても素敵な使命のように思えた。




他のなにかから、同じ形でこの洞窟を守っていよう。




宝箱のように暗い閉じた世界。

キラキラ光る宝物の渦のなか。

途方もない多幸感に包まれ、僕は目を閉じた。





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最終更新日  2017.03.22 20:22:02
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