Laub🍃

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2012.10.14
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カテゴリ: 💫復活表
 先生おめでとう、ツナおめでとう。ということで彼らの未来捏造&死ぬ気弾新種捏造話です。先生少な目かも……
 毎年の誕生日、彼らに幸多からんことを。

※元ネタ「こびとのげえむや」/ホラー  いい感じにぞわっとします好きですお薦めです
※ホラー未満



***



 俺は、ある日突然現れたリボーンと名乗る赤ん坊に体罰寸前の教育を受け、望まないまま流されるままマフィアの十代目への道を歩んでいる。どうしてこうなった。
 ある日突然王様だとかヤクザの跡継ぎって言われる話は漫画にもゲームでも見たことがある。けれど、こんなのは見たことがなかった。というか知らないままで居たかった。
「死ぬ気でたすけるぅぅうううっ!!!」
 毎回毎回服が破れて暴走状態になり、死ぬくらいならこうしておけばよかったという後悔を実行させるのは、死ぬ気弾。何か起こる度に半笑いのあいつに頭のど真ん中をそれでぶち抜かれるのだから堪ったもんじゃない。しかもはっと我にかえれば全裸で好奇の目線を浴びまくっていることが殆どだ。勘弁してほしい。



「……てめえの根性を叩き直すのには逆効果かもしれないが、新開発のこの弾を今回だけ使ってやる」

 聞けば、それは服を脱ぐこともなく、がむしゃらにつっぱしるでもなく、潜在能力を効率よく引き出してくれるんだとか。そして、撃たれる寸前に願っていたことが己の手で実現した瞬間、弾の効果が切れる。

「……うん」

 いつも滅茶苦茶なことをしてくるリボーンが乗り気でないことが少しだけ、違和感を起こさせた。

「副作用はまだハッキリしてねぇが、少なくとも実験で死者は出なかったから安心しろ」
「全くもって安心できないよ!!?」

 直後、額に衝撃。





 *





「いたた……あれ?」
「ダメツナ、もしこれが任務だったとしたら、かなりの高評価を貰えるところだったぞ」

 夢から醒めたような感覚で、手元にあるものを見る。……学生服のボタン?


「え?」
「市内の強い奴と喧嘩して相手には無傷で第二ボタンだけ取ってくる試練のだ。おい、まさか忘れてねぇだろうな」
「あ、いや、それは覚えてるんだけど……」

 実感が全く湧かない。まるで他の誰かが、……幼い頃に読んだ「こびとのくつや」の小人が、やってくれた、ように。

「服も着てる……俺の変な噂もない…………」

「マジかよ!!!」

 そう言ってリボーンは、それ以降全くその弾を使おうとしなかった。









「……で、その弾が今、ここにあるんだよねー……」

 あれから死ぬ気弾はパワーアップして、冷静に、かつ記憶も保持して戦えるようになった。
 けれど今はそれさえも尽きている。持ち主のヒットマンはもう居ない。

「いちかばちか、やってみるか」

 白蘭との抗争は佳境に入っている。今はヴァリアーが被害をおしとどめてくれているが、彼らへの負担はどんどん増えていっている。
 部下が沢山死んだ。山本やお兄さんやランボ、骸……はいつもだけど、も連絡がつかなくなってしまった。

 ロシアンルーレット宜しく燃える空を背に引き金に人差し指を。

       こびとさん
「頼むよ、俺の『無意識』」


 どうせ最後なら、思い切りよくいこうか。


 *


「…っツナ!」
「十代目、十代目、大丈夫ですかっ!!!」
「ちょっと獄寺さん!ツナさんは療養中なんですよ!!」

 薄ぼんやりとした視界の中、何人もの影が見える。

 山本、獄寺くん、ハル、お兄さん、ランボ、クローム、……

 そうか、良かった、守れたんだ。


 最後に京子ちゃんの泣きそうな顔。……

 俺は、俺の為に今泣きそうな、否、泣いている皆が泣かないですむ世界にできたらいいと思って、目を閉じた。



 *


 *


 次に目が醒めたのは、執務室の中。

「……チッ、居眠りしてるとは余裕だな」

 目の前には強面の男。


「ど……どなたですか?」


 やばい、こんな虎?ライオン?みたいな壮年知らない。シャマルと同じくらいか?いや、シャマルはもっとだらしない感じだけど……

「……あ゛ぁ?ふざけてんのか」

 怒ってらっしゃる。確実に怒ってらっしゃる。
 神様仏様リボーン様(?)、ああ走馬灯が駆け巡る。
 ずんずんと進んで来る男はそれだけで威圧感を感じさせる。そして殺気も。

「……テメェの冗談に付き合うほど俺は暇じゃねえんだ。……これ、見とけよ」

 その書類は、最近の会合などについて予定を調整するためのもので。

「……!」

 その中の一つ。……リボーンの命日、の記述に目を留めている間に、前方から巨大な破裂音と熱気。

「え、ちょ、ま……」

 無言。
 狼狽える俺の目に映る、何者をも捩じ伏せる迫力ある背中。
 そして襟元のふさふさには見覚えがあった。

 ……まさか、ザン……「ボンゴレ十代目、お久しぶりです。」

「え?」

 開いた穴、ザンザスの消えた方とは逆の方から、一人の美しい女性が現れた。

「あの……今、もしかして取り込み中だったりしますか?」

 丁寧で朗らかな口調で言う彼女に慌ててぶんぶんと首を振ると、彼女は年齢に見合わず落ち着いた雰囲気を纏い部屋の中に入る。
 見覚えのある白い特徴的な帽子に、目元の花のような印……まさか、ユニ?ユニなのか?
 そう思ってついユニを凝視すると、背後に静かに立っていたγ(だと思う)が胡乱な目をこちらに向けてくる。違う、違うんだ。何に対して言い訳しているわけでもないが、否定の言葉を頭の中でつづっていると、唐突にユニが言う。

「……と、いうことですが……あの、ボンゴレ……いえ、ツナさん。今日は体調が優れないということでしたら、また出直しますが……」

 やばい。

「あ、いや、大丈夫。ごめん、ちょっとぼーっとしてて…」
「ああ、このところお忙しそうでしたものね」

 ふふふと笑う彼女に心を緩め、そうして引き締める。そうだ、今はボンゴレのドンとして動かねば。中学の時の自分とは違うのだから。

「結婚式、とても素敵でした」

 ……え?

「……誰の?」
「あなたと京子さんの、です」

 小首を傾げ、大人になったユニが言う。

「…………ええええええええええええ」
「今になって実感がわいてきたって所ですか」
「ふふふ」

 楽しそうに笑いあうγとユニに全く付いていけない。

 ちょっと待て。


 ちょっと待ってくれ、これは、何だ。


 ……そういえば、俺が撃ったのは何弾だった?

 どうせ最期ならと思って、リボルバー全てに詰め……た、ような……


 まさか、俺が願って眠る度にこうなるんじゃないだろうな。

 ひくりとひきつる俺の背後で、誰かが「だから言っただろう、このダメツナ」と呆れた声を出した、気がした。 





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最終更新日  2015.08.23 22:15:11
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