Laub🍃

Laub🍃

2012.10.15
XML
カテゴリ: 🌾7種2次裏
ねえ、聞いたことある?幸運の女神様は前髪しかなくて、さっさと捉まえないとあっという間にどこかへ行ってしまうんだって。まるで君みたいだよね。
君の髪はあまりにも短くて、君はあまりにも速すぎて、真っ先にどこかへ突き進んでいってしまって、つかまえられない。

僕の縋る命綱の先には、いつも君が居たけれど、
君の縋る命綱の先には、僕は居られない。

だから最期、ちょっと嬉しかったんだ。
僕の引く命綱を、君の震えと鼓動が伝わっていたから。
僕の命綱から、血が君の許へ伝わることになっても。


君を未来に送ったのは、僕だという誇りがあったから……幸せだった。

それだけで何百年待っただろう、全てがもしかしたら僕の夢だったのかもしれないと思う頃。


まるで煉獄に頭を預けたかのように。

その視線は以前の凍てつく、あるいは灼けつくようなものではなくて、とても温かかった。

僕が何も言えない代わりに周囲には僕の知らない声が沢山木霊していて、ああちょっと妬いちゃうななんて思いながらも、君が未来で辿った道筋が分かるように思えた。
僕が送り出した君が誰かを助けたのだと思うと凍った心臓も少し温かくなるような気がした。

振動がいくつもあったけれど、なんとかまだここは守られている。

見えない糸で守っている。

大丈夫、グノームが地底を守るから。
世の中の人達が酷くても朝まで眠りはしない。

君が赤い部屋から帰って来た時のように眠いけどずっと起きている。

おかえりなさい、ただいま。
今度は僕がいってきなさいと言う番なのかもしれない。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2017.03.22 07:43:34
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: