Laub🍃

Laub🍃

2012.11.06
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カテゴリ: .1次長
彼女は歌を歌っていた。
 綺麗に高くまで通る声で、のびやかに、楽しそうに歌っていた。
 僕の前では絶対に見せない安らいだ姿だった。
 泉のほとりで橙色の花と金色の光に包まれて彼女は幸せそうに歌っていた。
 だから僕は彼女を閉じ込めた。あんな男の前でなく、僕にだけその歌を聞かせてほしかった。
 けれど彼女の喉から出るのは、ここから出たいと言う嘆きばかりだった。歌を歌うように強制したら、逃れたいと、嘆きと苦しみと悲しみの唄ばかり歌うようになった。
 どうして僕では駄目なんだ。
 僕は彼女に何かを期待するのはあきらめた。
 彼女を、僕の作った「それ」に食べさせることにした。



 今日も彼女は歌っている。僕の為に、僕だけの為に歌っている。
 幸せだ。とっても幸せだ。
最終更新日 2017.02.19 01:26:51





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最終更新日  2017.03.20 16:12:39
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