Laub🍃

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2016.10.27
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その子がどんなに汚くて、どんなに弱くて、どんなに頭が悪くても、あたしは赦してあげる。
逆にどんなに無垢で、どんなに強過ぎて、どんなに鼻持ちならなくても、あたしは赦してあげる。

あたしの話を聞く耳と、うなずいてくれる頭があればいいの。
あたしも同じように話をただ耳に入れて、ただ考えや気持ちに頷いてあげるから。

それなのにあたしの友達はいつもいなくなってしまう。
どうしてだろう。

あたしのお母さんやお父さんの言葉にはいつもこの反応で褒められて新しい服を貰って寝る部屋に入れて貰えたのに。

あたしが知らないだけ?



もしこんな家でこんな風に順応してなければあたしはこんな家族を置いて外で素敵なものを見付けられたの?

もう分からない。







あの日、あたしはあの家を出た。

今日もあたしは、新しく会った相手に、録画したように言葉を繰り返し、揺れ動く人形のように頷き続ける。
仕方がない。それしかあたしの『世界』の中には存在してないんだから。
ないものは再現しようがない。

それでもなんとか同情や一時的な好意は受け取れる。
簡単な仕事の手伝いくらいはできる。

だからあたしは今日も路銭を稼いで、人々の好意に縋って、新たな場所に足を延ばし、新たな人々に出会い続ける。

何一つあたしの中にみんなが残らなくても、


70億の新しい人に出会い続ければ、あたしはいつも新鮮な素直ないい子で居られる。

それに。
新たな人に出会った時の真新しい驚きだけは、あたしの中に唯一ある、『世界』の外側だから。





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最終更新日  2018.04.14 22:52:16
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