Laub🍃

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2016.10.28
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カテゴリ: 🌾7種2次裏
もし7種が連続デスゲームだったら

*******

どうしようもなくせちがらい世の中だ。

神様は助けてくれないし、
過ぎた時間は巻き戻らないし、
死んだ人間は生き返らないし、勿論生まれ変わりだってあるわけがない。

しかしそんな世の中にあって、これまで神に愛され時間を有効活用し死にゆく者を見捨ててきた純粋培養の人間は望みを持ってしまうのだ。

『選ばれている』

自分と相手だけは、また生きて再会できるだろうという望みを。





安居は、震える ナツ を目の前にして呟く。

『俺はまた、茂を殺すのか……?』

「……え?」

「……おい、大丈夫か、安居」
「!」


肩を叩かれ、はっとしたように安居は意識を現在に戻す。

「……大丈夫だ。…おい、涼。こいつは後回しでいい。他の奴を先にやろう」
「……まあ、見るからに弱そうだしな。こいつを先に狩ったら、むしろ他の奴に警戒されそうだ」

そう言って、二人は走り去る。

遺されたナツはしばし茫然とした。



そこには、鈍く光る、よく砥がれたナイフが落ちていた。

「……ど、どうしよう……届けなきゃ…あ、で、でも、……」

ーこれがあれば、こんな場所でも、身を守ったり、食べ物をとったりできる…?

ナツは、ナイフを拾い上げ、布で巻く。

「……と、取り敢えず、欠けたりしないように……」





「……お節介だな。あんな奴に渡したらむしろ自分で自分を傷付けちまわねえか?」
「慣れればいいだけの話だ」
「ナイフを持ってることで逆に警戒される可能性もある。そんなに心配なら一緒に行動すればよかっただろうが」
「行動範囲が制限される。俺が下手に行動すればあいつまで憎まれる危険性がある。そうだろ」
「……」

それは茂と鵜飼とのやり取りで生まれた教訓か、と、涼は訊けなかった。

それよりも。

「了ー解」

涼と居れば安居の行動は制限されない、安居がどう行動して、涼がまとめられて恨まれても構わない……というか、諦めている。
そう安居が認識していれば、涼はそれで充分だった。

【続】





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最終更新日  2018.04.30 09:18:35
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