おぢさんの覚え書き

おぢさんの覚え書き

2018.10.08
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カテゴリ: 近代
「熱狂的愛国主義≒宗教仮説」 ​の記事を書いて以来、本を読みながら、熱狂的愛国主義(ショービニズム)について考えている。最初に読んだのは『近代日本のナショナリズム』。この本ではナショナリズムの思考やメカニズムについて考察している。
ナショナリズムとは大いなる謎である。第一次世界大戦勃発時、レーニンは世界の社会主義政党が自国の戦争の支持に回ったことに驚愕する。

ナショナリズムは、特定のネーション(国民・民族)に愛着し、これを優先する特殊主義の一形態であるように思える。他方、社会主義やマルクス主義は普遍主義的な思想である。普遍主義者の特殊主義への突然の折れ曲がり、ここに、この出来事の驚きの中心がある。
p.1 大澤真幸『近代日本のナショナリズム』

そうなのだ。藩同士で争っていては誰の利益にもならないと認識していながら、何故か国同士で争っていては誰の利益にもならないとは認識しない。しかも、それによって人類の悲劇が繰り返されていることがあまりにも明白であるにも関わらずである。
さらに、自他ともに普遍主義的であると認めるであろう社会主義者までも容易にナショナリズムに転じてしまうというのだから事は重大だ。

ナショナリズムは、特殊主義の一形態であると見なされ、これを批判したり、乗り越えようとする者は、コスモポリタニズムのような何らかの普遍主義的な思想に立脚しようとする。だが、第一次大戦の直後の出来事は、普遍主義によってはナショナリズムを克服しえないことを示唆している。
p.2 大澤真幸『近代日本のナショナリズム』

悲しいことに、その通りだろう。さらに、思想的にだけでなく現実的に国際化が進展したとしてもナショナリズムが容易には解消されないことは、多民族国家アメリカ、ロシア、中国、EUの状況を見れば想像に難くない。ナショナリズム自体が世界的になるというナショナリズム全盛の時代が現出している。

普遍性への志向と特殊性への志向、真っ向から対立するこれら二つのベクトルが、いかにして、どのようなメカニズムに媒介されて接続することができるのか。普遍性への志向が、どうして、特殊性への志向へと反転するのか。ナショナリズムをめぐる探求が解明すべき中心的な問いは、ここにある。
p.3 大澤真幸『近代日本のナショナリズム』



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さて、前回のナショナリズム全盛期80年前に戻るか。
蔣の民衆に告ぐる書を読む。彼は日本を永久的の敵として闘っている。日本は東洋の団結のために闘っている。どちらが愛の分量が多いか、愛の分量が多い方が最後の勝利を得るものと知れ。
p.35 昭和14(1939)年「近きより 24」『近きより2』第三巻第一号<新年号>

中国には中国のナショナリズムがあった。日本には日本のナショナリズムがあった。そして、東洋の団結を建前に、西洋の物質主義文明の進出に精神の国日本が中心となって対抗する、という物語がナショナリズムを煽っていた。東洋全体を日本の支配下に置く試みは、普遍化の建前で特殊化の範囲を拡げる試みだった。

支那民衆の、あの笑いを忘れたような顔は、不幸にして多くの野蛮未開の人種の中には一層多くある表情だ。
 絶えざる苦悶と恐怖とが、あの表情を作り上げたのだ。
p.46 昭和14(1939)年「近きより 8」『近きより2』第三巻第二号<三月号>

日本人こそ野蛮未開の人種であったことを正木氏はのちに知ることになる。
絶えざる、苦悶と恐怖を与えていたのも日本軍だった。この約一年前の日本軍兵士の陣中日記を覗いて見よう。

《1937年》十一月九日
 天気よし。
 一天〔点?〕の雲なきまことに日本晴れなり。
 児島姉より手紙とハガキ来る。
 捕虜をひき来る油座氏これを切る。
 夜に近く女二人、子供ひとり、これも突かれたり。
p.71 「堀越文男陣中日記」、小野賢二ほか編『南京大虐殺を記録した皇軍兵士たち』

《1937年》十月六日
《前略》九時目的地に到着する、出発地より八里楊行鎮、途中家屋の破壊せる様、惨たり、死体の臭気に顔をそむく、目的地にて捕慮〔虜〕十余人銃殺さる、水悪くコレラ患者あり《後略》
p.8 「斎藤次郎陣中日記」、小野賢二ほか編『南京大虐殺を記録した皇軍兵士たち』

捕虜を殺し、女、子供も殺す日本軍。

蔣介石の不屈なねばり強さに感心している外国人があるが、無力なる同胞の困苦窮乏に無神経になりさえすれば、誰だって長期抗争は出来るのである。キリストだってソクラテスだって、これを殺すには手間がかからなかった。太古の時代から為政者の妄想のため、国を亡した例はいくらでもある。むつかしいのは国民を真に幸福にし、生物学的にも隆盛に赴かしめることである。
p.48 昭和14(1939)年「近きより 8」『近きより2』第三巻第二号<三月号>


蔣も日本軍もそれぞれの国民の支持を集めていた。その支持はナショナリズムに基づくものだった。


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Last updated  2018.10.12 20:00:29
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たそたそ@ Re:土器-編年(02/14) こんばんは。 ブログのチェックされてない…
おぢさん@ Re[3]:無(03/15) なんだかねさんへ (続き)昔ある人がお…
おぢさん@ Re[3]:無(03/15) なんだかねさんへ お久しぶりです。永ら…
おぢさん@ Re[1]:土器-編年(02/14) 上毛野形名さんへ 長いこと返信もせず失…
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