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●抗酸化栄養素による細胞膜の防御ガンを予防する方法は、基本的には細胞を健康に保つことにほかありません。組織の健康は、古い細胞と新しい細胞が入れ替わることで保たれており、皮膚の細胞は28日間、骨は約2年で入れ替わります。これを「細胞の再生」というのですが、若い人ほど細胞の再生は活発で、老化するにしたがい遅れていきます。年齢とは関係なく、中高年でも再生が活発な人は実際の年齢よりも10歳も20歳も若く見え、骨はがっちりして、心臓や肺の働きがいいので行動体力・防衛体力も優れています。その反対に細胞の再生が低下していると、皮膚の弾力が失われてシワができ、カサカサして乾燥していきます。また、外見が老化するだけではなく、体内の臓器が老化し、さまざまな病気が起こりやすくなります。骨などは構造が弱くなって、些細な衝撃で骨折することすらあります。細胞の再生が行われるためには、たんぱく質、脂肪、炭水化物、ビタミンA、B群、C、D、カルシウム、マグネシウム、亜鉛など多くの栄養素が必要とされます。つまり、十分な材料とそれを組み立てる酵素や補酵素が活性化されて新しい細胞が作られていくのです。どの栄養素が不足しても、新しい細胞は正常に作られなくなります。最近では害を及ぼす治療には意味がなく、細胞の働きを正常にさせることが、ガンを撲滅させるためのもっとも正しい方法と考えられるようになっています。細胞の働きが正常であれば、仮に発ガン物質が入ってきても、ガンにはならずにすむというわけです。細胞の働きを正常にするには、まず、第一に解毒が重要です。仮に発ガン性物質が体内に入ってきても、腸の働きがよく、また有害物を分解する乳酸菌が十分にいると、発ガンのリスクは低くなります。有害物が体内に残ってしまったときに、粘液が上皮に潤いを与えられれば、ウィルスや発ガン性物質が細胞に接するのを防げるからです。タンパク質とビタミンAが十分にとらえられていると粘液が作られ、腸の上皮が潤うわけです。それでも有害物質は細胞に達してしまう場合があって、その結果、活性物質が発生して細胞膜上の不飽和脂肪酸が酸化されます。それにより、細胞内にある遺伝子が発ガン性物質にさらされやすい状況が作られます。こういった場合に、身体はスーパーオキシド・デスムターゼ(SOD)で対応しています。SODはミネラルの亜鉛、銅、マンガンによって活性化し、活性酸素を消去して細胞の変性を防ぎます。酸素はエネルギーを作るために必要ですが、そのときに活性酸素を発生させます。したがって、生物は進化の過程で酸素を取り入れると同時に、活性酸素を消去するSODを作って自衛してきたのです。SODの活性の強い動物ほど長寿であり、人間はもっともSODが強いのですが、老化とともに活性が弱くなり、40歳を過ぎると急激に減少します。最近、老化予防やガンに対する効果で注目されるようになったセレ二ウムも、ある種の酵素(グルタチオンパーオキシタ-ゼ)を活性化し、細胞膜の酸化を防ぐことでガンを予防する効果がわかっています。アメリカで発生率が高いガンに大腸ガンと乳ガンがありますが、脂肪の摂取が多いことに加えて、セレニウムの不足が関係しているといわれています。しかし、ビタミンなしでミネラルは働かず、ミネラルなしでビタミンは働けないのです。その上、どの栄養素が足りなくても、多くても一番少ない栄養素のレベルでしか体全体は機能してくません。リチャード・カニンは著書「メガ・ニュートリション」に「現代人にあって、セレニウムとビタミンEのサプリメントをとらないことは自殺行為だ」と記しています。脂肪の摂り過ぎに気をつける一方で、栄養補助もまた重視すべきだということです。細胞は遺伝情報をもとにアミノ酸とミネラルを材料にして酵素をつくり、自らが酸化されるのを防いでいます。それらの酵素の活性が弱かったり、活性物質が手に負えなくなったりしたときには、食事からとる栄養素が抗酸化物質として働きます。ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEが抗酸化酵素エース(ACE)と呼ばれる代表的な栄養素です。緑黄色野菜の色素成分を総称してカロチンといいます。ニンジンから発見されたベータカロチンは、体内でビタミンAとして利用されることと、活性酸素の除去に働くという二つの働きがあります。イギリスの医学誌「ランセット」が19年にわたり、2000人を追跡調査した結果、ベータカロチンの摂取量が1日4mg以上だと肺ガンの発生率が0.5%以下になり、1日の摂取量が2.3mg以下だと発生率が3.5%になり、摂取量が1.7mg以上違うだけで危険率が7倍も違うことが明らかになりました。ビタミンEは細胞膜の不飽和脂肪酸に溶け込み、活性酸素が発生したときに酸化されて、細胞膜の酸化を防ぐ働きがあります。ビタミンEは、コレステロールや脂肪性ビタミン、ステロイド系ホルモンなど、脂肪が含まれていたり脂肪に溶ける物質すべての酸化を防いでいるので、「体の守護天使」と言われています。ビタミンCは水溶性で、細胞内外の体液に溶けて還元作用を行うことで、幅広く生理作用に関与しています。還元作用とは、酸化を防ぐ反応のことですが、ビタミンCには、細胞膜の酸化を防ぎ、またビタミンEの効力を回復させる働きがあります。このように抗酸化栄養素はチームで働くので、アンチオキシダント・チームと言われています。アンチオキシダント・チームは野菜、果物、穀物、豆類など植物性食品に多く含まれます。緑茶に含まれるカテキンをはじめ、最近ではさまざまな抗酸化力をもつ食品や薬品の開発が盛んです。ただし、肉類を食べ過ぎていたり、脂肪の摂取量が多かったりすると過酸化脂質が作られやすい体質になり、活性酸素に対する抵抗力が弱くなります。したがって、ビタミンとミネラルは同時に摂取することが望ましいわけです。ビタミンやミネラルが食材から不足している現在、補充する意味からサプリメントを活用するのは妥当な選択だと思われます。では、いったいどのようなサプリメントを摂取すればいいのでしょうか?それは、また次回(その3)でお話しましょう。
2003.12.31
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●ガンの発生とフリーラジカルガンの発症に、発ガン性物質が関与していることはよく知られています。発ガン性物質として、タバコの煙に含まれるタールなどの成分、農薬、放射能、紫外線、食品添加物などがあげられますが、これらの物質はドミノ倒しのように次々に創られます。強い発ガン性物質ほど、活性酸素を発生させます。活性酸素は、私たちが酸素を取り入れてエネルギーを作ったり、白血球がウィルスを処理したりするときに必要なものですが、その量が増え過ぎると、酸化反応によって細胞を傷つけてしまいます。活性酸素は別名をフリーラジカルといって、強い反応性をもちます。分子や原子は軌道上に二個ずつの電子を対にして持つことで安定していますが、フリーラジカルとは一個しか電子を持たない原子または分子のことで、他の分子から電子を奪って安定しようとする性質があります。厄介なことに電子を奪われた分子も、電子が一つになることでフリーラジカルに変化し隣の分子から電子を奪おうとする連鎖反応が繰り返されるのです。1.スーパーオキサイドアニオンラジカル最も一般的な活性酸素で、安定した酸素分子の一方の原子にある電子が1つかけた状態です。酸化力が非常に強く、寿命は10万分の1秒です。2.一重項酸素通常の酸素(三重項酸素)から電子が2つ欠けた状態です。反応性が強いために次々と他の活性酸素に姿を変えていきます。皮膚が紫外線にあたると皮下組織内でよく発生します。3.過酸化水素酸素原子と2つと水素原子2つが結合してできた活性酸素の仲間で、殺菌剤としてよく知られています。反応性が強く、細胞膜の内外を行ったり来たりすることができます。銅イオンや鉄イオン,スーパーオキサイドアニオンラジカル+水素イオンと出会うと、ハイドロキシラジカル+一重項酸素に変わります。寿命が長いのも特徴です。4.ハイドロキシラジカル過酸化水素を半分にしたような構造を持ち、酸化力が最も強い活性酸素です。反応が早く、寿命は50万分の1秒です。過酸化水素と反応すると、スーパーオキサイドアニオンラジカル+水+水素になります。活性酸素が発生することによって、まず、最初に酸化されるのは細胞を覆っている細胞膜の脂質です。バターや脂身などを室温で放っておくと黒ずんで酸化するように、脂肪はもっとも酸化しやすい物質です。酸化した脂質を過酸化脂質といい、これは換気扇にこびりついた油汚れと同じものです。フリーラジカルが体内に発生すると、それと同じものが組織や血管の細胞膜に作られていると想像してみてください。細胞は、個々の周囲に膜を作ることによって、他の細胞との敷居を作っていますが、細胞膜は単なる境界ではなく、表面にホルモンや神経伝達物質を受け取る受容体を持ち、多くの生理活動に関与しています。細胞膜上の脂肪が過酸化脂質になると、細胞内にある小器官がフリーラジカルにさらされるようになります。特に大切な小器官はDNA遺伝子ですが、莫大な遺伝情報を蓄えられるために長い鎖がくねった構造をしているので、傷つけられる可能性が高くなります。紫外線もまた、フリーラジカルを生じさせます。現在、世界ではオゾン層の破壊が進み、地表に達する紫外線の量が増えていることが不安をあおっています。紫外線によってある種の生物は死滅させられ、生体系を狂わされます。また、南半球のオーストラリアでは皮膚ガンの発生が増えています。強い日差しを受けると日焼けして皮膚が赤くなりますが、このときすでに紫外線の作用により遺伝子に傷がついていることを示していると考えてください。遺伝子が傷ついて、その修復が間に合わないと、間違った遺伝情報が伝えられ、ガン遺伝子の情報が読みとられます。この段階をイニシエーション(発現)といいます。さらに、正常な遺伝子の活性を損なわせ、ガン遺伝子の生存を助ける促進要因の存在によって、細胞が増殖と分裂を繰り返し、一個のガン細胞が誕生します。この段階をプロモーション(促進)といいます。ガンは無制限に発育し、他の細胞を冒し、転移するという特徴があります。この段階をプログレッション(増殖)といい、プログレッションを繰り返して、やがて大きなガン組織が生じていきます。胃ガンや肝臓ガン、肺ガン、大腸ガンなど、それぞれ発ガンの原因物質は異なりますが、フリーラジカルによって遺伝子が傷つけられ、修復できなくなることでがん細胞が生じるという原理は共通のようです。つまり、フリーラジカルを生じさせるとともに、それを増やすようなライフスタイルを送ることで何倍もガンが発生しやすくなってしまうというわけです。では、この厄介者のフリーラジカルから大切な細胞を守ってくれるのはないのでしょうか?それは(その2)でお話いたしましょう。
2003.12.30
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