真理探究と歴史探訪

真理探究と歴史探訪

2017年01月10日
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そこで上の画像は、会場入口の冒頭に特別に展示された縄文時代中期(約4500年前)の土器類を撮影したものだ。

ここで興味深いのは、この多種多様の形状や文様で成形された土器類は、新潟県糸魚川流域の「六反田南遺跡」(糸魚川市大和川1161)という当遺跡の一箇所のみで出土していることである。

解説によると・・・良好に復元できる土器が、これほどまとまって出土することは少なく、縄文社会の動態を知る上で、極めて重要な情報をもたらしてくれる・・・とのことであった。



この展示された数々の縄文土器の中でも、特に上の画像に映る土器(冒頭画像の最上段に展示されたもの)は、とりわけ意匠が優れており、その流麗で躍動感にあふれる文様に、思わず感嘆の溜息とともに見惚れてしまうのだった。


さて糸魚川といえば「ヒスイ(翡翠)」の産地、そしてその原石を加工した「玉類」の生産地として有名である。装身具としての日本のヒスイは、縄文時代前期より約7000年の歴史があるとのことだ。

その一貫して威信財として扱われたヒスイ製の装身具は、大まかには縄文時代の前期に硬玉製の「大珠」がでてきて、後期・晩期には「勾玉」となって、弥生・古墳時代へ継承されていくという流れである。

この糸魚川に近く、日本海からわずか200mの海岸部にある六反田南遺跡では、ヒスイの原石とその加工用の砥石が出土しており、この遺跡の集落では打ち割られたものや剥片(はくへん)が主であることから、粗割など限られた工程のみが行われたと想定されているそうだ。

そこで下の画像は、その縄文遺跡で出土したヒスイ原石と、加工過程の剥片を撮影したものである。

月は翡翠、そして・・・

◎関連記事・・・ 「ヒスイ」と「黄金」と・・・

◎関連記事・・・ 糸魚川のヒスイ



ところで、上にも玉類の装身具が古墳時代まで継承したと記したが、近年発掘された玉造り専門の集落工房跡として奈良県橿原市の「曽我玉造遺跡」がある。

この遺跡は古墳時代の五世紀後半~六世紀前半、玉類(勾玉・管玉・丸玉・小玉などの玉製品)を大規模に生産していた王権直属の工房遺構で、同遺跡の立地は中央忌部氏や蘇我氏の本貫(大和国高市郡忌部里・蘇我里)に近接することなどから、同工房は蘇我氏の管轄下に忌部氏が直接経営していたものと推測されている。

驚くべきことに、この曽我玉造遺跡で出土した勾玉や管玉等の完成品は約13,000個にのぼり、未完の玉類を含めると億を数えるとのことだ。

ここで、さらに注目したいのは、同工房は他地域のそれと同じく六世紀前半には突如廃止され、それ以降は出雲のみが独占的に生産を続けてゆくことになったということである。

この全国的な変化の背景には、統一権力の関与が想定されるのだが・・・。


縄文時代の「自然と融和する心」が存分に投影された土器類や玉類の数々、特に今回のメインであろう「六反田南遺跡」で出土した展示物を観ていると、その優美で繊細な意匠や文様に心魂を洗われた感じがして、氣分爽快になったことを憶えている。

時代は今、あらゆる分野で「対立」から「融和」へ向かっており、地球人類の先導役を日本が担わされているとするなら、私たち日本民族の根底に潜む「縄文遺伝子」の活性が、大いに期待されるところである。





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最終更新日  2017年01月10日 13時54分24秒


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