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「グリとグル」 グリークの未完のピアノトリオの一部?「アンダンテ・コン・モート」を練習した(vn 自分、vc ルース、pf セス)。これは隠れた名曲なり! ササッと弾いてしまえば、おそらく10分もかからない小品。まったりしがちだが、情熱、焦燥、哀愁、回想、寂寥、いろんな光景や心情がギュッと凝縮されているおいしい曲。そして、ハ短調特有の不思議な重量感、安定感。 いやぁー、燃える。かっこよい。 敢えてイチャモンつけさせてもらうと、ピアノトリオという編成の利点をあんまり活かしきれていないのがもったいない。 トリオって、三者が鋭角的かつ戦闘的に調和を生み出していくところに面白さがあると思うのだけれども、この曲って、最初から最後までバイオリンとチェロが同じようなことをやってる。グルになってピアノと対峙している感じ。それぞれ別行動をとることもあるものの、あくまで一瞬。音型は一緒だったり。 いい曲なのに演奏会では滅多に取り上げられないというのも仕方ないか。中途ハンパだし。***** 三、四年前、ノルウェーを旅したとき、僕はベルゲン音楽祭でこの曲をナマで聴く機会があった。しかもグリーグの生家/博物館に隣接されている室内楽ホールで。 in ノルウェイの森 グリーグは特に好きな作曲家というわけではなかったけど、あのときの強烈な印象が脳裏に焼き付いてて、以来、いつか自分も弾いてみたいと想い焦がれていた。譜面も衝動買いしちゃったことだし。 ついに実現して感無量!
Aug 1, 2008
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「今はもう動かない、おじいさん……」(評価:★★★★★ 満点五つ星) 数年前にアカデミー賞外国語映画賞を獲ったイラン映画。やっと観ることができた。 別れることになった夫婦と、その周囲に連鎖的に起こる悲劇。 同居している老父は痴呆。それまで介護していくれていた妻が家を出ていったため、男は家政士を雇い、父の面倒を見てもらうことにする。やがて「事件」が起こり裁判沙汰に。 <感想> チョー秀作。オスカー受賞も当然か。推理小説っぽい緊迫感もあるし、信仰する宗教と現実とのはざまで彼らが悩む場面とかも興味深い。 全ての役者さんの演技が自然。特に家政士さん。あと、夫妻の一人娘を演じたお嬢さんも良かった。 中東の映画はあんまし観る機会はないけれど、今までに観たものはなぜか全て素晴らしい。
Sep 3, 2014
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「闘う君の唄を闘わない奴らが笑うだろう」(評価 ★★★★☆ 四つ星) 米アマゾン・プライムでアラ・マリキアンさんに関するドキュメンタリーを鑑賞。日本(語)ではおそらく未公開。 彼はアルメニア系レバノン人バイオリン弾き。ウィキ(英語)は https://en.wikipedia.org/wiki/Ara_Malikian 音楽鑑賞気分でお気軽な態度で観たら甘かった。あまりに重い作品なので心の準備が必要。 彼は父の影響で幼少の頃よりバイオリンの才能を開花、しかし紛争に翻弄され壮絶な青春時代を過ごす。 定住先スペインのクラシック音楽界では当初は異端児扱いされ嘲笑されたようだけれども、今となっては誰もが認める意識高い系無国籍系多国籍系バイオリニスト。 本作でもあれこれ彼の演奏を聴ける。ビバルディ「夏」とかを飛んだり跳ねたり寝転んだりしながら弾く場面とか、視覚的にも楽しめる。見かけはロン毛のヘビメタだし、一歩間違えるとただのイタいおじさんにも見えかねないのだけど、音楽に関する氏の強い意思を感じられる。多様な音楽を演奏しまくってるわりに、結局はクラシック音楽が一番なんやと言ってのける。 最後の最後でバッハ「G線上のアリア」をしっとりねっとり。
Nov 2, 2024
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日記には細かく書きませんでしたが、ここ一ヶ月強、アメリカ国内を激しく移動しておりました。 先月は公用で南の州を廻ってたし、先週は大西洋沿いの港町で休暇を過ごしてたし。←「夏至の週」は労働しないことにしている僕であります。 で、さっき数えたら、合計15州ぐらい訪れてました。飛行機や鉄道ではなく自動車で。たいていの行程を運転手を務めたのでさすがに疲れました。北へ南へ、そして東海岸とアパラチア山脈のあいだを行ったりきたり。日本列島を何往復かしてるぐらいの走行距離なはず。 やっぱりアメリカはでかい。もし欧州とかでこれだけの距離を移動したら、言語が変わったり通貨が変わったり、文化比較も楽しめちゃうはず。 ま、ここアメリカでも、注意深く観察すれば方言や訛りも着実に存在します。地域の名産とか伝統とかも一応あるし、そういう違いを楽しむのもまた旅の醍醐味。 細かいことですが、コーラ飲料のことを、「コーラ」と言う地域と、「ソーダ」と言う地域、「ポップ」と言う地域がある、とか。 車の運転作法も州によって特徴があったり。噂どおり、米国内で最も礼儀のいい安全運転をすると実感したのは北端/東端メイン州の人びと。日本並みで感動しました。 建築様式も地域によって違います。教会や住宅など建築物の微妙な違い、わかる人にはわかるそうで。 スポーツ観戦にしてもしかり。町なかのバーを覗いても、欧州サッカーの勝敗に一喜一憂してる町とそうでないとことか。 ボストンでは、当地のバスケットボールチームがNBAで22年ぶりに優勝して大騒ぎしてました。夜を徹して。***** なにはともあれ夏は始まったばかり。やりたいこと、やらなきゃないことが公私にわたり山ほどあります。 夏至は過ぎてしまったわけだし、妙に焦っている今日この頃。
Jun 24, 2008
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「ぼくは死にましぇーん」(評価 ★★★☆☆ 三つ星) 頑固な画家と、彼の作品を売って金儲けする画商の話。日本未公開。 imdbのサイトは、https://www.imdb.com/title/tt7605922/?ref_=ttexst_exst_tt 内容的には別に興味はなかったのだけれど、そもそもアルゼンチン映画はあんまし観ることがないし、期待しすぎず気軽に鑑賞に臨む。<感想> 一応最後まで観られたし、いい映画だと思った。もっとお笑いの要素と毒々しさを加えたほうがよかったか。 気難しい芸術家をうまぁくおだてて作品を完成してもらい、それをいかに高額で販売するかが画商の腕の見せどころ。さらに、真の巨匠の作品は、本人が死んでから値段が上がるという皮肉。 欧米や日本のような映画大国で作られたものだけを観るのではなく、こうゆう地味ながらも佳作な映画をもっと観てみたいわけで、その点でインターネット、てゆーかネットフリック様には感謝申し上げたい。
May 15, 2019
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バイオリンやビオラを(マジで)弾く人の多くは、あごの左下(首)に「バイオリンだこ」があります。 僕も昔はあったような気がするけど、いつの間にか消えてました。練習量が減ったからか、構え方を変えたからかはわかりません。「首、蚊に刺された?」とたまに訊かれる程度。 このバイオリンだこ、バイオリニストの勲章と誇る人もいるし、キスマークにも見えて恥ずかしいという人も。 僕の友だちのアリソン嬢(プロオケでご活躍中)は、ヒッキーちゃん(hickey:キスマーク)とのあだ名で呼ばれてます。彼女のはほんとにすごい。白人さんは肌の色が白いから日本人よりも目立つのかもしれません。 でも、当のアリソンちゃん本人としては、キスマークと思われるのが不本意だそうで、その部分に入れ墨をしてぼかそうかななどと大胆な計画を企ててるらしい。それもどうかと思うけど。***** そういえばここだけの話、僕はかつて、飛行機内で出会った美女をナンパ(!)しようとしたことがあります。 首もとに「たこ」があったので、彼女がバイオリン弾きであることが一発でわかりました。 なんとかお知り合いになりたかったのですが、唐突に、「すみません、もしかしてバイオリニストですか?」と直接聞くのはあまりにも野暮というもの。自分なりに悩んだ挙げ句、ちょっと間接的に近づいてみました。 「あなたには芸術家のオーラが漂ってますね」とか白々しいことを言って口説き始めます(笑)。 「もしかして音楽家?」、「ピアノというよりは弦楽器でしょ?」などとじわじわと攻め寄り、最終的には「あなたはバイオリニストに違いない」とトドメの一撃……。これで見事に美人バイオリニストのハートを射止めるはずでした。 実際、ヨーロッパのどっかのオケで弾いていらっしゃるプロの方でした。しかし逆効果。うざったく思われたのか結局ナンパは失敗。その後彼女からの音沙汰はありません……(笑)。 世のヒッキーちゃんたちは、そうゆう輩には慣れていらっしゃるのかもしれません。***** 身体のどこかにたこができる楽器って、ほかにもあるんでしょうか。ほんとかどうかわかんないけど、チェロを弾く人は、楽器を押さえつける関係上、左胸(心臓の辺り)に跡が残るとか。ひざの内側も? 今度、チェリストの裸を見る機会があったら是非ともチェックせねば(?)。
Jun 14, 2007
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「不思議の壁 Wonderwall」(評価 ★★★★★ 満点五つ星) 欧州サッカーの強豪マンチェスター・シティを一年近くに渡り取材したドキュメンタリーを鑑賞。 同じイングランド北部でも、実力や規模の劣るサンダーランドを取材した番組(鑑賞した感想はここ)も非常によくできた番組だと思ったけれど、今回も楽しめた。 同市の同志マンチェスター・ユナイテッドとの因縁の対決(「ダービー」)や、宿敵リバプールとの対戦の裏側も見られてお得。あと、意外にも弱小相手に負けちゃったりもして、サッカーはどう転ぶかわからないから面白い。 そもそも彼らは頻繁に試合があって超ご多忙。勝者だから勝ち抜いて忙しいというのもあるんだろうけど、図表にして紹介してほしかったぐらい。次から次へと相手を変え場所を変え闘いつづける。 よって、監督(ペップ・グアルディオラさん)の手腕が試されるわけで、この人、只者ではない。素晴らしい監督さん。資料を収集/解析したうえで的確な戦略を練り、選手にわかりやすいく提示する。上から目線で偉そうにしてる印象を与えない。自分が信頼できる人材を指導陣に擁し、さらにはサッカー以外の畑(水球とか)の人の知識も活用。 あと、名監督たるもの、試合当日は選手たちに対しどのような言葉をかけるのか。試合直前、前半終了後の休憩時間、そして試合終了後。そこまで映すかというぐらい舞台裏が撮影される。 いやぁー、ためになる。サッカー指導者でもなんでもないあなたやわたしにとっても、彼の言動から学べることは多いはず。 このグアルディオーラ監督や指導者たちはスペイン人、所有者や会長職はお金持ちのアラブ首長国連邦人。選手にもガイジンさんが多く、なんだかイギリスの団体らしくはないのだけれど、国際的なのはたぶんよろしいこと。 彼らのように潤沢な資金がある団体は有利。これは紛れもない事実。同様のことはこのドキュメンタリー制作そのものにも言えることで、資金があったからこそここまで取材でき編集できたわけで。 協賛してくれる企業や応援してくれる市民を説得させられるだけの実力とがないとカネも入ってこない。そして「好感度」も非常に大事。どんなにサッカーが上手くても、撮影を拒み、口下手でただ黙々と競技している選手や監督だけの団体は結果的には成功しないらしい。この世界でやっていくためには、話術に長けて(特に英語ができると有利)、見た目にも気を遣い、美女との私生活も多少は露出してむしろ堂々としてるぐらいの選手がちょうどいいのかも。 見ごたえのあるドキュメンタリーだった。 選手たちが競技場で蹴りまくり、支持者らが場内/場外で応援しまくり、映像的にはかなり賑やかな番組ともなりえたけれど、語りを担当なさってるのはベン・キングズレー卿。落ち着いた英国オヤジ声で淡々と語ってゆく。
Aug 9, 2020
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「カラスなぜ泣くの」(評価 ★★☆☆☆ 二つ星) ソプラノ歌手マリア・カラスさん(の晩年)を描いた映画を観たのでその感想を。主演はアンジェリーナ・ジョリーさん。 日本ではどうやら未公開。 ぼく自身、カラスさんはその美声を録音で存じてはいたものの、人物像についてよく知らなかったし、数々のオペラの名アリアがちょっとずつ聴けるに違いないと思って、期待しまくって鑑賞。 結論から言うとイマイチ。ぼく好みの映画ではなかった。厳しめに二つ星。 ジョリーさんの演技は普通にお上手。あたくし主演女優賞狙ってますの的な名演技をご披露なさってはいるのだけれど、ぶっちゃけ、もっと華奢で不健康に見える役者さんが演じたほうがよかった。←それ言っちゃおしまい? 晩秋のパリの街並み、彼女のアパルトマンの内装など、映像としては美しい。 脚本とか演出がだるい。 既に歌手としての第一線を退き、体調もすぐれない、そのくせ酒と煙草が大好き。しかし意識高い系で、全然謙虚じゃない。そんなおばさんの日常がだらだら描かれる。 とにかくめんどくさそうな女なわけで、当時のアメリカの大統領JFケネディさんに対してすら上から目線で会話なさっちゃう強者。 富豪アリストテレス・オナシスさんとの恋慕も描かれてるのだけど、やはり中途半端。 せっかく周りのみんなが優しく手を差し伸べてくださってるのに、彼女は常にご機嫌ななめ。そんな言い方ないんじゃね、というような嫌味で乱暴な台詞が次々と出てくる。 実際そうゆうお方だったのか脚色や演出の問題なのか。正直言ってぼくはカラスさんのことが嫌いになった。 もっと現役時代の華々しいご活躍ぶり、舞台で美しく輝く歌姫マリア様を見せつけてくれてもよかった。 この監督のことを調べてみたら、パブロ・ララインさんという「スペンサー、ダイアナの決意」を監督した人。 あの作品もつかみどころのない映画だったよーな。
Dec 18, 2024
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「誰もいない海」 いま、海辺の街を訪ねておりまして、でもさすがに砂浜に人影はありません。凍えるような寒さです。 ふと、「愛がこわれるとき」という映画を思い出しました。舞台となった海辺は確かマサチューセッツ州、ここからは遥かに北なのですが。 閑散とした海って不気味です。夫婦の愛憎を描いたこのサスペンス映画でも、そんな海が効果的に撮影されていました。 ジュリア・ロバーツ主演で有名な映画ですが、僕は、主人公の夫が極度の潔癖症という設定が強く印象が残ってます。いわゆるOCD (Obsessive-Compulsive Disorder、強迫性障害)の病ってことでしょうか。 単なる整理整頓好きということではなく、そうなっていない状況に過度のストレスを感じてしまうという精神障害。 机や本棚、あるいは冷蔵庫の中など、分類や陳列のしかたに極度の規則性や対称性を求める。そして、それを乱されると異常なまでに不安を感じたり、発狂したり。 僕はそこまでひどくはないけど、なんとなくわかる気がします。知人に冗談半分で指摘されたこともあるし。 例えば、財布の中の紙幣の並べかた。必ず同じ向きに、金額が高い順(低い順)で並んでないと気がすまない、とか。 「清潔」というのともちょっと違う。僕は埃や汚れにはけっこう無頓着でそんなに気にはならないし(←こら)。でも「曲がったもの」は嫌い。無造作に置かれたものであっても、どうせ曲がるんだったら、きちんと45度で曲がってくれ、みたいな。 家電の温度や音量を数値設定するときも、無意識のうちにキリのいい数字に設定します。素数だと落ち着かない(?)。 ***** さて、映画に話を戻すと、そんな病的な夫がこよなく愛する曲が、ベルリオーズの幻想交響曲。ストーカー的な彼の執着癖といい劇的な曲の展開といい、なかなか凝った選曲です。 それに、テーマ音楽そのものも印象的でありました。決して歌いやすい旋律ではないものの、一度聞いたら忘れられない。ラフマニノフの交響曲2番の3楽章アダージョに似てます。あと、ちょっとマニアックなところでは、スメタナの弦楽四重奏曲1番「我が生涯から」の3楽章ラルゴにも。 サントラはジェリー・ゴールドスミス氏
Feb 4, 2008
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「不都合な真実 An Inconvenient Truth」 今日はアルペジョーネソナタ(ビオラ)を練習。合わせにつきあってくださったのはピアノのセスさん。 シューベルト嫌いを公言してるはずのぼくではあるけれども、この曲だけは避けて通るわけにはいかない。 ってゆーか、数年前「バイオリンには一切触れずにビオラだけ練習するっ」と心に誓った時期があって、その約四ヶ月のあいだひたすら練習したのがこの曲(とブラームスのソナタ1番)。当時の意気込みとかを懐かしく想い起こしながら、久しぶりに弾いた。 アルペジオーネが「まぼろし系」楽器であるがゆえ、現在この曲はビオラ(またはチェロ)で演奏されるわけで、ただやっぱり音域的にかなり無理がある。 音階を駆け登っていくとことか、急降下するとこ、ここぞというときに音域が合わず、泣く泣くオクターブ変えて調整しなきゃいけない。それって、おそらくド素人が聞いてもバレバレなんではないかと。 いずれにせよ、そんな音域上の不都合にも関わらず名曲と言ってよい。シューベルトのわりには長すぎないのも魅力。多少はクドいけれど、「未完成」同様、楽章数が少ないし。
Oct 30, 2011
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「走る走る、俺たち」 ぼくは走るのはけっこう好きで、てか、これまでも毎年のように大会に出場し、なんとか完走してはドヤ顔写真をここに載せて自慢したりしてきたけれども、今年はコウビッドのせいで何もかも中止。 ま、大会があろうとなかろうと健康のためにときどき走るべきだけど、目標がないとどうしても気が乗らない。そんな自分を何とか盛り上げるべく、今日は関連する英単語などをまとめてみようかと。ランニング、ジョギング - 「走る」は run、ゆっくり(楽しく)走るのは jog。 - ほかにもいろんな「走る」があると思うので、速度に応じて「歩く」から順番に並べてみると、 walk brisk walk, power walk(←競歩 race walk のような早歩き) jog run sprint(←全力走) - 余談。英語の表現で do a runner というのがあって、とんずら、喰い逃げするとかいう意味。マラソン、長距離走大会 - マラソンという単語って、日本や一部の国では長距離走(long-distance running)と同義で使われてしまってるもよう。例えば、単にジョギング好きな人が「趣味はマラソンなんですぅ」と言い放ったり、長距離走の大会を「市民ふれあいマラソン祭り」みたいに呼ぶ自治体があったり。英語だと marathon はずばり42キロメートルの race のことだけを指す。 - その半分は half marathon (21km)。 - さらにその半分の「四半マラソン」という競技名は聞かない。そのかわり10km走という種目はよくあって、10K(テンケイ)と呼ばれる。そのさらに半分は5K(ファイブケイ)。こちらアメリカはキロメートルではなくマイルの世界のはずなのだけれど、陸上業界では素直にキロメートルをご採用。 - 10Kと5Kのあいだの種目があるとすれば、それはおそらく4 miler(フォーマイラー)。←6.5kmぐらい - 半マラソンと10Kのあいだの種目があるとすれば、それはおそらく10 miler(テンマイラー)。←16kmぐらい大会本番 - 走者番号の記された布切れ(ゼッケン)のことは race bib(ビブはよだれかけの意)。ちなみに日本語でビブスというと、サッカーの練習試合とかで敵味方に分かれるときに被る袖なしの色付きチョッキ training bibs を指すはず。←英語だと pinnies とも呼ばれる - 「位置について、用意、ドン」は、Ready, Set, Go。あるいは、On your marks, Get set, Go。 - 全員が一斉に出走する場合もあれば、「密」を避けるために15秒おきとかの時間差出走の場合もある(wave start)。シード seed という単語もたまに聞く。トーナメント式競技以外でも使える単語らしい。 - ほかにも混雑を避けるための措置として、みんなごっちゃに並んで開始を待つのではなく、予定速度とか完走予定時間(自己申告)に応じて似た者どうしの班をいくつか作っておき、速い走者群を先頭にした状態で走り始めるという方式もある。その集団のことを corral と呼ぶ。走るの遅いくせに先頭集団のコラールに間違って入っちゃうと顰蹙を買う。 いちいち追い越し追い越されが発生するので。 - 走路の幅にもよるだろうけど、何人も横並びで走るのは礼儀違反。横並びで走ることを英語では run side by side でよいのだけど、例えば三人並んで走ることを run three abreast と表現する。ちょっと耳慣れない単語。 - 追い越し追い越されというのも約束ごとがあって、大会事務局から事前に説明があるはず。右側走行(run to the right side とか keep right)の大会の場合は、追い越すときは目の前の人に「On your left.(左から追い越しまっせ)」とひとこと声をかけるのが礼儀。 - 走ってる最中にどうしても用を足したくなったら(if nature calls)、仮設便所をご利用。portable toilet でもいいけど、porta potty とよく呼ばれる。 - そろそろ終了地点が近づいてきたら「最後のスパート」。綴りは spurt。実はこの単語はあんまし使われないような気がする。むしろ前述の sprint か。 - 終了地点は、走者にはっきりわかるよう派手に装飾された鳥居みたいのがあったり、誘導柵が設けられたりして、シュート finish chute と呼ばれる。一本の線 finish line だけじゃわかりにくいし。 - 無事に完走したら自分の記録を確認。時間を表現するときに gun time と chip time とを使い分ける大会も多い。「用意ドン」が鳴ってから長蛇の列がどんどん動き始めるわけで、どうしても先頭と最後尾とで時差が生じてしまうから。用意ドンの瞬間からの一律の記録を gun time、走者個人個人のビブに埋め込まれたチップをもとにその人の開始地点から終了地点までの実際の記録を chip time と呼ぶ。ガンとチップのほかに、gross と net とも言う。 - race bandit という単語もたまぁに聞く。正式に参加登録をせずに(ゼッケンなしに)普通に走る人。悪気がなくとも選手たちと一緒に公式走路を走るのは迷惑。あと、替え玉として他人のゼッケンつけて走ったり、途中ズルして自転車で移動したりするイケナイ行為もバンディットに含まれるみたい。 - 残念ながら完走できずに大会を途中で棄権してしまった場合を略語で DNF (did not finish)。関係者、観戦客 - 大会に関わる様々な人にも言及すると、例えば、先頭集団を先導する自転車を lead bike、最後尾の走者を後ろから見守るのは sweep bike。 - 大会によっては、pace runners あるいは pacers と呼ばれる上級走者さまが一緒に走ってくださる。一定の速度を保ち、予定完走時間(5分おきとか)書いた旗とか掲げながら走ってるので、その人の先導する pace group についていけば速度管理を自分でやる必要なし。ちなみに最近知ったのだけど、ペーサーさんのことを rabbit との愛称で呼ぶこともあるらしい。 - 途中にある給水所のことは、water station とか hydration station。基本的には水と運動飲料(Gatoradeなど)のみ。果汁や菓子などの refreshments があるとこもある。 - 要所要所の各給水所とか休憩所とか医療関係者待機所とかには、張り切って仕切ってる親分肌の人がいて、その役職のことはおおげさにも marshal(指揮官)。どうやら運営関係ではかなり栄誉ある役職。 - 走者に何かあったときのために待機/巡回してる車をSAGと呼ぶ(サポートアンドギア)。水や食料や応急処置用のこまごまとしたものを搭載。事務局の人や医療関係者が乗ってると思われ。 - 沿道で応援する観客のことは spectators。 - 観客が走者を応援するときのエール yell to encourage runners、つまり「頑張れ」を英語で何て言うか。これって意外に難易度高い。無数にあるだろうけど、こちらアメリカでは以下のような表現をよく聞くような気がする。 Almost there! Hang in there! You can do it! Looking good! Keep it up! - 走者の健闘を褒め称えてあげたいときは、Good job!。あと、Way to go! も非常によく使われる。 - ぼくには縁がないけど、上位入賞の方々は、表彰式 award ceremony で表彰台 podium に立ってみんなに祝ってもらう。
Nov 2, 2020
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エルガーには妙に惹かれます。交響曲から小編成の曲まで優れた楽曲を書き揃えてますし。 そして彼の譜面を読んでると、Nobilmente という指示が何度も出てくることに気づくのです。ときに Nobilmente e semplice ともなったりして、おぉー、さすがはエルガー!と勝手に萌えてしまう。「高貴かつシンプルに」なんてシブすぎ。 ちょうど先日、ロンドンの某アマオケで彼の「コケイン(ロンドンタウンにて)」という曲を弾きました。演奏される機会は少ないはずの曲ですが、地元のロンドン市民はあたかも暗譜してるかのように嬉々として弾いてて、彼への無垢なる尊敬がそこに読み取れたのでありました。 今年はエルガーの生誕150年記念年。もう終わっちゃうけど。 僕の棲息するアメリカ東海岸一帯でも、エルガーにちなんだお祭りがいくつか催されました。結局はどれにも行けず悔しい思いをしましたが、実際に参加した友人たちが「エルガーTシャツ」を土産に買ってきてくれたのでありました。(って、いつどこで着よう……。) あと、今年は個人的にちょっとだけエルガーの楽曲について調べてみました。ピアノ五重奏曲やバイオリンソナタを中心に。 先日ホームパーティーに招かれた際には、「Chanson de Matin 朝の歌」作品15という小品(バイオリン又はビオラとピアノ)を弾いてみました。「愛の挨拶」だけじゃなくこんな粋な曲も書いてたのであります。演奏そのものは準備不足でボロボロでしたが、やっぱりエルガーワールド、たまには背伸びして「ノビルメンテごっこ」するのはいい経験になります。***** さて、今回のイギリス訪問で最も衝撃的、悲劇的だった発見。それは、20ポンド札の肖像画がエルガーから別の人(アダム・スミス)に代わってたこと! 確かに紙幣デザインの変更に関する記事を以前にどっかで読んだ気もするけど、よりによってエルガー記念の年に彼にご引退願うとは皮肉! いわゆるブリティッシュユーモアのつもりなんでしょうか(笑)。 旧20ポンド紙幣(エルガー) 実際にはエルガー紙幣もまだ市場に流通してたのでひと安心(?)。せっかくだし記念に何枚か保管しておかなきゃとも思ったものの、今の率だと20ポンドって5000円近い大金だし、そんな余裕は自分にはない……。(それにしても物価高すぎ。ロンドンの地下鉄の初乗りは1000円近い!) ま、紙幣からは消えても、エルガーは今後も英国民の心の中に特別な存在として生き続けることでしょう。第二の国歌「威風堂々、希望と栄光の地」が歌い継がれてるわけだし。 毎年プロムスの千秋楽の映像を見るたびにいろいろと考えてしまうのであります。 ↑観客の屈伸運動が笑えます。(ナゼ屈伸……?)
Nov 30, 2007
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「三つ子の魂」(評価 ★★★★☆ 四つ星) 今日はドキュメンタリー映画を観た。公式サイト(英語) 日本ではまだ公開は決まってないもよう。<あらすじ> 生まれてすぐに養子に出された青年が、実は自分は三つ子だったことを偶然知る。再会した三兄弟はテレビや雑誌で人気者となるが、やがて謎めいた出生時の秘密が明らかになっていく。<感想> 前半は興味深くも微笑ましく観られた。ちょっとした美談としてふつうに楽しめる。三兄弟がほんとに似てるし、彼らもまた非常にメディア受けしやすいキャラであり。 後半はどんどん重い話へとなっていく。きちんと取材されていて、飽きさせずに最後まで一気に見せる。<似たような映画> ドキュメンタリーの作り(再現動画とか音楽とか)が、なんとなくマン・オン・ワイヤー Man on Wire(2008年イギリス)に似ている。
Jul 15, 2018
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今日はピアノのレッスン日。小雪の舞うなか、師匠のスタジオへと向かう。 稽古部屋には巨大なツリーが出現してた。 まず、宿題として与えられてた和音進行II→V→Iの練習。 全12調でと言われてたのでヒィヒィー言いながらさらっていったのに、結局最初の三、四調で既に不合格。「もっと流れるように」だの「耳を使って異音を聞き取れ」だの。 つづいて、チャーリー・パーカー「ブルース・フォー・アリス」の譜面をいきなり渡されて、この曲の和音進行について口頭で解説しなさい、とのたまうデイビッド先生。呆気にとられてオロオロしてる僕を尻目に、彼は実際にピアノを弾きながら解析しはじめる。おぉーっ、この曲かっこよい! あと、今後ジャズの勉強を進めていくうえで、現実的にはどのような知識が必要となるのかいろいろと紹介いただいた。コードの鳴らしかたは、ほんとはもっと奥深く、A形式とB形式がある、とか。 ひとくちにジャズピアノと言っても、ダブルベース弾きが共演してくれる場合は役割が大きく変わるらしい。つまり「根音担当」をダブルベースに委ねることができるため、なにもいちいちルート音を弾かなくてもよく、むしろルートは弾かない(=rootless)演奏が上級者流? んでもって、演奏にあたっては上記のようにいろんな知識が必要ではあるけれども、即興で弾くときには、これら和声の掟を「半分守って半分無視する」ぐらいがちょうどいいのだとか(笑)。<次回までの宿題> 今後しばらくお互いの予定が全く合わず、次回の稽古はずっと先になりそうなので、大量の宿題を出された。All Blues: ジョー・ウィリアムズ版とマイルス・デイビス/ビル・エバンス版の両方を聴き比べつつ、ひたすら音源に合わせて共演ごっこしてみることBlues for Alice: 和音進行をいちいち気にしながら練習してみることBluesette(ブルーゼット by トゥーツ・シールマンス): 練習に疲れたら、たまにはワルツなぞいかが?
Dec 9, 2009
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(昨日からのつづき。今回で最後)<映画賞、映画祭に関する用語>film festival 映画祭award, prize 賞←アウォード(発音はアワードではない)とプライズの違いはぼくは自信持って語れない。アカデミー賞は前者、ノーベル賞は後者。あと、reward という単語もあってややこしいaward ceremony 授賞式member 会員。審査員←つまり映画賞の主催団体に属し、ballot(投票用紙)を受け取って voteする(投票する)資格がある会員longlist, shortlist, nomination 候補作。候補者←賞の選考過程にはいくつかの段階あって、ぼくの理解では、選考対象のざっくりとしたものがロングリスト、さらに絞ってショートリスト、そして選考に残った最終候補をノミネーションと表現されるもようnominee, contender 候補者←contestant, competitor などの単語もあるwinner, recipient 受賞者acceptance speech 受賞者による演説<映画制作や編集で使われる用語>shoot a movie, film a movie 映画を撮影する←ちなみに、日本語で「クランクイン」「クランクアウト(クランクアップ?)」だかいう業界用語があるがたぶん和製英語。英語だと start filming, finish filming あたりかscript 台本lines 台詞table-read 本読み。読み合わせ稽古cold-read 初見読み←芝居のオーディション用語として使われるみたい。上記の読み合わせとは違って、いきなり台本を渡されて演技するclapper board, clap board, chalk board かちんこ←ある場面を撮影するときに板に「Scene 12, Take 3」とか書いて記録しておく(マークする mark と言う)blocking 役者の立つ位置や動く方向などの決めごと。日本の業界用語ではおそらくミザンス。どうやら語源はフランス語 mise-en-scène "Places" 「位置について」←撮影開始にあたり役者が所定の位置で用意する"Set", "Action" ("Lights, camera, action!"), "Keep rolling", "Cut" 「準備完了」、「始め」、「カメラを止めるな」、「おしまい」←撮影現場での掛け声OTS 役者の後ろからの背中越しの撮影(over the shoulder)←撮影角度とかの専門用語は無数にあるだろうけど、このOTSはときどき耳にするbleep censor 放送禁止用語が発されたときにピー音をかぶせたりして規制することgoof, blooper 失敗。台詞の言い間違い。NGbehind the scenes 制作の舞台裏。メイキングsubtitles, caption 字幕←なお、CC (closed caption) とは耳の不自由な人とか向けの字幕dub (他言語へ)吹き替える。アテレコ、アフレコする←re-voice するとも言うかもvoice actor, voice-over 声優←VOと略すのを見たことがあるけど、映画業界でVOと言ったら、おそらく原語上映(吹き替えではなく)original version, version originale のことを指すはず(以上)おまけ:音楽/演劇業界用語集 https://plaza.rakuten.co.jp/picardy3rd/diary/201904260000/
Jun 1, 2021
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「我が世誰ぞ、常ならむ」(評価 ★★★★☆ 四つ星) 紀行ものを鑑賞。 カナダの俳優が、同じサッカー好きでアイルランド系の友人とともにスコットランドのセルティック・フットボール・クラブを訪ねる。(なお、その前にアイルランドにも寄り、何百年も前の自分の祖先の軌跡を追う。) ちなみにぼくの理解では、Celtic は「ケルティック」と発音する英語話者が圧倒的に多いと思ってたのだけど、このフットボールクラブは「セルティック」と呼ばれてて、それもあってずーっと気になってた団体。 サッカー好きな人やケルト文化が好きな人なら楽しめるだろうし、そうでない方にも勧められる。とにかく風景が美しいし、異国情緒に溢れてる。 カナダと同様、ケルト地域では今でも昔から変わらない大自然、小自然が身近に見られる。変わっていくのは人間だけ。 移民としてカナダやアメリカに渡ってきたアイルランド系の子孫にとっても興味深く観られるはず。映画前半では、自分のご先祖さまのこと探っているうちに、決してインターネット上では見つからない情報が現地で続々と見つかったりもして、ご本人は感慨もひとしお。 基本的にほのぼの路線で取材は進む。サッカーと宗教の意外な関係も紹介される。 フツーの観光旅行ではなく、こうゆう(その人にとっての)聖地を訪ねるのもいい。
Feb 7, 2021
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