ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Jan 6, 2008
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「反転ワールド」

 モーツァルトのクインテット集のなかからハ短調のを弾いた。Vn1トーニー、Vn2ジェニー、Va1マーティン、Va2僕、Vcピーターの五人で。

 弦楽四重奏にビオラがもう一本加わっただけで楽しみかたが180度変わるのには改めて驚いた。カルテット特有の角ばった四角形の緊張感から解放され、五角形というか円い世界に生きる安心感、安定感がそこにはある。
 それに、このハ短調K406って、ト短調K516とか ハ長調K515 の陰に隠れながらも、ほんとは名曲中の名曲。中低弦が厚く重くなりすぎないようにうまく処理されてるのもお見事。

 冒頭の「いかにも」なハ短調音型(ドー♭ミーソー)をユニゾンで弾くのはなんか照れくさいのだけれど、次から次へといろんなフレーズが出てきて飽きることがない。そしてどれもが耳に優しい。「運命」の動機とか小ト短調交響曲とか、どっかで聞いたことのあるようなフレーズばかりで親近感を覚える。

 特筆すべきは3楽章メヌエット! スコアをボーっと眺めてるだけでも頭の体操になる。

 まずはカノン。ハイドンの「五度」カルテットのメヌエット楽章のパクり?
 何がスゴいって、第1バイオリンとチェロの輪奏を軸としながら、ほかのパートが心憎い動きをしてるところ。
406.JPG


406B.JPG

 ところでこの曲、自身の別編成の曲K388を編み直したものらしいけど、弾いててそんなに違和感はなかった。
 強いて挙げれば、全曲にわたり基本的にフラット三つ(ハ短調または変ホ長調)のままで書かれてるのが「らしくない」ように思ったし、第2ビオラを弾いた自分としては、休みが何十小節も続いて完全に蚊帳の外になるトリオ部分(上記)が、ちょっと寂しかったことぐらい。

*****

 そんなこんなで、みんなでワイワイしゃべりながら楽しく弾けた。弾いてる時間よりウンチク垂れ合ってる時間のほうが長かったかも(笑)。

 このテの「室内楽パーティー」は、そう気軽に参加できるものでもない。準備もすごく大変だし、知らない人と弾くのは緊張する。でも、今日もいろんな人と知り合えて有意義だったと思う。

 またいつの日か是非!

violapiano.JPGショスタコを練習してる人びと





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最終更新日  Jan 10, 2008 11:30:36 AM
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