ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Jun 22, 2019
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カテゴリ: 映画、テレビ
「Your songs 僕の歌は君たちの歌」(評価 ★★★★☆ 四つ星)

 エルトン・ジョンさんの半生を描いた映画を鑑賞。タロン・エガトン主演、脇はジェイミー・ベル、リチャード・マデンほか。日本での公開は八月。 https://rocketman.jp/
 ちなみにご本人はExecutive Producerとして全面的に関わったようで、ご自身の黒歴史を赤裸々に映画化。←1950年代(幼少時代)から1990年代ごろ(中毒患者更生施設に入所)まで

<感想>
 長いうえに(二時間超)、尻切れトンボとも思ったけれど、基本的には楽しく観られた。主演俳優さんも熱演。いきなりミュージカル風になって出演者が歌って踊る場面もある。
 ぼく自身は、ピアノ系歌手と言えばビリージョエル派だし、エルトン氏のことをほとんど存じないまま大人になってしまい、いまだに彼の若いころの事情は知らないことばかり。でも特に彼に関する予備知識がなくても娯楽映画として堪能できるはず。
 そういえば、ぼくが氏の音楽をきちんと聴き始めるようになったきっかけは、1990年代後半、東京ドームで聴いたビリージョエルとエルトンジョンの共同公演。以降、「Your Song」や「Can You Feel The Love Tonight」を結婚式とかで弾くたびに、いい曲書く人だなーとは思ったし、「I Want Love」という曲なども妙に気になっていた折、彼の作曲したミュージカル「アイーダ」を演奏する機会があって、彼の類まれなる才能を再確信。どの曲も妙に頭にこびりついて離れず、思わず鼻唄で歌ってしまう自分に驚いた記憶がある。

 さてこの映画、「薬物中毒とかでいったん堕ちてしまった困ったちゃん芸術家は再帰可能か」、そして、「本人の努力次第では中毒芸術家の残念な過去を世間は赦してあげるべきか」という点を声高に問うている作品ではないにしろ、果たして、道徳観の厳しい日本市場で本作がどう捉えられ、協賛企業とかもどこまで宣伝に協力してくれるのか不安。

 映画のなかでは、家族(特に父親)との確執に加え、仕事仲間であり友人である作詞家バーニーさんとの腐れ縁も丁寧に描かれている。てゆーか、エルトンさんは曲書くのは上手いのに詞は書かず、ほとんどの曲はこのバーニーさんが作詞しているらしい。この映画を観たあとで「Your Song」の歌詞聴くと印象ががらりと変わる。「僕の歌は君の歌」という邦題についても、今の今までぼくは大嫌いだったのだけれど、なんだか見事な邦題なような気がしてきた。

 クイーン/マーキュリーさんを描いて興行的に成功した映画 「ボヘミアンラプソディ」

 彼が薬物やアルコールで身を滅ぼしていったとき、去る人は去ったけど、支えてくれる人もいた。映画では最後に多少の説明が字幕で流れる程度だったけれど、多くの人は彼を見捨てずに今でも交流があるみたい。そもそも彼はダイアナさんら英国王室とも懇意。ってことは、ヤク中アル中という彼の過去に王室や世間は寛容だったわけで、それは彼の才能、人格、さらには商業的価値によるものも大きいはず。
 日本でも近年多くの才能ある芸術家(例えばAスカ氏)たちが薬物がらみで一線を去ったようだけど、エルトン氏のように再び表舞台で人気が出てる人は皆無っぽい。てか、日本社会って、芸能人であっても、芸能そのもの実力よりかは、必ず協賛企業ウケする「好印象」を上乗せしたうえで評価されるから、仕方ないと言うほかないのかも。その人の過去の芸術作品も全て店頭から削除いたしますからっ、という例もあるし。

 確かに周囲に迷惑かけたというエルトン氏のおバカな過去はダメダメだし、迷惑被った当事者たちは彼を非難する権利があるだろうけれど、彼の知人でもなんでもないぼくとしては、今後も彼の優れた芸術作品そのものは素直に愛でつづけてまいりたく。そもそも、この映画観るまで彼がそんなイケナイことしてたとは知らなかった。知ってても知らなくても、名曲は名曲だし、そうじゃない曲はそうじゃないことには変わりない。





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最終更新日  Jun 24, 2019 03:08:10 AM
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